星野源さんの新曲『喜劇』は、源さんの今日までの物語だと思う
な、なんて、なんて最高な曲なんだ!!!
星野源さんの曲がリリースされるたびに、そう思っている私ですが、一昨日リリースされた『喜劇』も御多分に漏れず最高でした。
私、普段ライターをしているんですけど、星野源さんのことを書くときは一気に語彙力が足りなくなるのが悩みです。
だって、最高なんだもの。
最高は、最高ですよね?(ほんっと語彙力)
何が最高って、まず曲がおしゃれなんです。
ダンス、ファンク、ジャズが混じったような、キック音とベースライン、オールディなオルガンの音が気持ちよく響く音楽。ブラックミュージックのルーツがふんだんに表れている曲だなと。でも現代のダンスミュージックっぽさも含まれていて、聴けば聴くほどその深みにはまっていく曲です。
一方で、良い意味で主張の少ない曲だとも思います。日常生活の中に流れていても、自分たちの動作・作業・思考を邪魔しない曲というか。
まだインタビュー記事を読めていないので正確なところは不明ですが、もしかするとアニメ『SPY FAMILY』のED主題歌となっているこの曲。
「日常の中に自然と溶け込むようなサウンド」を目指したのかな、と深読みしています。
『SPY FAMILY』は、スパイ・殺し屋・心が読める子どもという「普通じゃない3人」が集まった、「家族」の日常を描いた物語だからです。
(聴いてほしいので何度でも貼ります)
そうするとですね、歌詞もなんとなく「星野源さんが考える家族&日常とは」が描かれているような気がしてきます。
たとえば……サビ前の、この歌詞とか。
ああ、結婚という制度を通じて、「自分で選んだ家族」はたしかに心の契約だよなあと思います。
サビの歌詞なんかは逆に、星野源さんの理想の「家族像&日常風景」が描かれているようです。
最近の星野源さんは歌詞づくりのアプローチも変わっていて、ご自身が考えていることを音楽の中に表現することが怖くなくなったと、インタビューで答えていました。
今回もそのアプローチでつくった曲なんだろうな、ということがよく分かります。ああ、奥さんと「今日は仕事でこんなことがあってね」という話をされているんだろうな、と。これまで一人だったからこそ、そういう話ができる存在が身近にいることが、本当に嬉しいんだろうな、だからこそ、この歌詞が出てきたんだろうな、と。
以前、雑誌『ダ・ヴィンチ』で連載している「いのちの車窓から」で、奥さんとの食卓の様子を静かな幸せとともに書かれていたことがありました。
もうすぐ結婚1周年となるお二人の姿を想像してにやけそうになりつつ、でも、源さんの曲の神髄ってこれだよなあと思ったりするわけです。
こういう日常の中の小さな幸せを、世界なんて変えることはできないくらいの小さな愛を、この方は本当にじんわりと心に沁み込むように描き出す。
そういう曲だからこそ、こんな悲しくて苦しくてやるせなくてクソみたいな時代でも、多くの人が源さんの曲をすっと受け取ることができるんだろうな、と。
『喜劇』も、歌詞のベースにあるのは「この世界はクソだ」という想いです。この世界はクソで、私たちはどうしようもなく独りだからこそ、大切なあなたと一緒に何気ない話ができる今この瞬間が、とてつもなく愛おしい。あなたとの時間こそが、悲劇と一緒にある”喜劇”なんだ。そんな源さんの想いが、伝わってくるようです。
でも、この曲の歌詞はそれだけでは終わりません(と私は思っています)。あなたと喜劇をつくっていけるのも、過去の自分がひとつずつ時間を積み重ねてきたからこそ。過去の自分に「今日までお疲れ」と言っている源さんの姿が、歌詞から読み取れるからです(と私は思っています。)
この辺とか。ずっとクラスの中のスタンダードではいられなくて、生きづらさを抱えていた子どもの源さんを描写しているように見えます。
この部分は源さん自身が以前インタビューで話していた、20代はこれまでの自分をがんじがらめに縛っていたものを、ひとつひとつ解いていく作業だったという話に通ずるものがあります。
新曲『喜劇』は、星野源さんの今日までの物語であり、公私ともにさらに新しいフェーズへと向かっていく曲。源さんを長年推し続けるファンとして、そんな風に考察しています。
何はともあれ、考察を抜きにしても本当に本当に素敵な曲なので、ぜひ聴いてみてください!あと、『SPY FAMILY』も原作含めてとても面白いのでぜひ!!
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