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ないものねだり

朝から日課の山歩きを終え、6時から開いている温泉へ行く。さっぱりと汗を流し、帰ってきて洗濯機を回す間に朝食の用意。昨日買っておいた古代小麦のカンパーニュを厚切りにして魚焼きのコンロでこんがりと焼き、いただきものの蜂蜜を塗ってきなこをふる。

目玉焼きを焼いて、コーヒーを淹れ、庭で採れたプラムも皿にのせる。朝食用の皿は知り合いの陶芸家のもの。色が鮮やかで朝から気分が上がる。10分もかからずに朝食は済み、食器を洗ったら洗濯物を干す。

我が家の洗濯物干し場は南に面していて、とても日当たりが良い。天気が良ければ、お昼頃にはすっかり乾いてしまう。ベッドに寝転んで数独をしていたら、早朝の山歩きの疲れが出たのか、気づいたら1時間ほど熟睡していた。

今日は友人から電話が来る予定になっていた。目覚めると予定時刻の5分前で慌てる。久しぶりに1時間半ほど話したが、話題はもっぱら「なにをして生きていきたいか」。子育てに奔走している彼女はまだ仕事復帰できる状況ではないが、社会復帰するとして「なにをしていいかわからなくなっている」らしい。

子どもが生まれてからはすべて子ども優先。休日に出かける先は子どもが行きたい場所、外食するときには子どもが食べたいものが優先される。そんな生活を10年以上続けた結果、自分の欲求がわからなくなっているというのだ。

彼女は一人暮らしで自分の時間があるわたしを心底羨ましいといい、わたしは家族がいる生活もいいなと思う。ないものねだり。お昼になり、夏休みで家にいる子どもたちにごはんをつくらなくちゃ、と電話を切る。わたしは自分のためにそばを茹でて出汁をつくり、山芋をすりおろす。昨日煮ておいた黒豆を添えて昼食とする。山芋のせいで手が痒い。

今日はめずらしく体の疲れがとれず、午後からもダラダラとしてしまう。見たかったドラマを一気見しながら、また数独。完成間近でズレを発見するとやる気が一気に失せてしまうため、未完のまま放置された数独がいくつも溜まっていく。

夕方、仕事のメールを見逃していたことに気づき、慌てて「申し訳ありません」と返信。担当の編集者はみんな対応が良い方ばかりで、一緒に仕事をするのが気持ちいい。ありがたいことだ。

夕飯には冷凍しておいた焼き肉用の牛肩ロースを4枚焼き、サラダ、ピーマンとツナの炒め物、黒豆を食べながら缶ビールを2本。最近はアルコール度数3.5%のビールを選んでいる。飲むと食欲が増し、バナナチップス(砂糖不使用)やあられ、ハイカカオチョコレートまで食べてしまった。胃がおもしろいように、どんどん食べ物を吸い込んでいく。いつも食べ過ぎてしまうので、毎日晩酌はできない。

夕食後、新しい仕事の依頼が届く。納期が5日しかないので、明日はかかりっきりになるだろう。明後日はちょっと遠出して山へ行きたいので、明日できるところまで進めておきたい。

来月の上旬、食事に誘っていた方と日程の打ち合わせ。「我が家でごはんでもどうですか」とお誘いしていた。元々はわたしが憧れていた方で、彼女の和菓子教室に何度か参加していた。ずっと、こちらから言葉をかけることなんてできずにいたが、ある日彼女から連絡先を教えてほしいといわれた。

とはいえ連絡できずにいたが、縁とは不思議なもの。またお会いする機会があり、「お茶でも」という流れになった。その後、我が家にも数回来ていただいている。縁がない人とはどうがんばったってつながることができないのに、縁がある人とは会う機会が訪れる。そういえば、今日の友人との電話でもそういう話になり、何事も「無理をしないことが大切」というところに行き着いた。

当日はなにをつくろうか。暑いから、さっぱりとしたきゅうりと干物のちらし寿司やナスの和物、夏野菜の味噌ラタトゥィユ、最近気に入りの温かい豆乳スープなどもいい。余裕があれば冷たいデザートまで用意したい。けれど、彼女はデザートのプロ。そこはおまかせしたほうが良さそうだ。


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