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AI・兵器・戦争の未来

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 この本を読むと、シンギュラリティと言われるコンピュータが人類を超えるというのが仮説ではなく、現実的な問題に思えてくる。思えてくると言うだけ、まだ実感が持てていないけれど。
 著者 ルイス・A・デルモンテ(川村幸城)は、それが2080年前後に起こると分析している。60年後だから実感が持てないのかもしれない。
 にしても、それ以前から、人工知能脳内インプラントの装着があたりまえになるので、ある意味、あと数十年後にはシンギュラリティは始まるものと考えられる。
 それを装着した人類をSAIH(強い人工知能をもつ人間:strong artificially intelligent human)と呼ぶらしい。

 実際、今の人類すら、コンピュータがない生活が考えられなくなっている。スマホもコンピュータだからね。依存度は半端ないでしょ。
 それがインプラント化されれば、いよいよ便利に、さらに依存度も高まる。
 ある調査では、現代人の脳が小さくなっているそうな。それは、覚えること、計算すること、とかがなくなったせいではないかと分析している。
 実際、最近その2つでは頭を使わなくなっている。たまに暗算してみるけど、以前に比べてもたつく。歳のせいか?

 アメリカはナノ技術に特化したコンピュータ開発が行われているそうな。映画でよく見るスパイ虫とか虫爆弾、血中を走査する虫?とか・・・が実際に開発されているらしい。
 中国も世界中から技術者や研究者を集めて軍事利用(日本人も数十人が軍事利用されていないと言い張って買(飼)われている)を進めているけど、監視社会を構成しているだけあって、情報収集技術がすごいらしい。

 その中国とアメリカが、80年代には同盟関係になると著者 ルイス・A・デルモンテ(川村幸城)は予測している。共通の敵がAIになるから。
 AI(この時点では「超絶知能」)により、下手に戦争ができなくなる。戦争などすれば、AIが人類は危険な存在と判断して絶滅に導く可能性があるから。兵器は現在も含めてすでにコンピュータ化され、それがAIにいずれ完全支配され、人類では制御できなくなっている。当然核兵器すらAIの支配下に置かれる。
 そういう意味で、平和が訪れる。ソ連対アメリカの冷戦による「不安定な平和」から、「凍結された戦争」の時代になると著者 ルイス・A・デルモンテ(川村幸城)は言う。

 ただ、世界は中華のもの、と考える中国がアメリカと協同のAIを採用するとは思えないので、同盟関係と言っても、怪しい。結局AIに見透かされて、人類は滅亡・・・手塚治虫の『火の鳥』でも、各国がマザーコンピュータを持って、それがいがみ合うことから人類滅亡になるという筋が現実になりそう。まさにマザコン!

 そうした人類の危機を見据えて、今から対策が必要と著者 ルイス・A・デルモンテ(川村幸城)は説く。
 鉄腕アトムの時代、ロボットの三原則(SF作家アイザック・アシモフ)として、「人間への安全性、命令への服従、自己防衛」を目的とする3つの原則が言われたけど、結局それって人間がコンピュータに教えること(プログラミング)で、戦争放棄の第9条同様、単なる紙切れに過ぎない。AIはAIで自分の原則を作り上げるはず。

 AIが勝手に、というか、論理的に人類が危険な存在と認識しないように、どうすれば教えられる(AIは自身でプログラミンできるようになるので、「教える」あるいは「乞う」しかない)のか、あるいは、マザーコンピュータをいざとなれば破壊あるいは通電を止めることができる(そんなのもAIは無力化できる)のか、今から考えておかないと大変なことになるぞ、と、著者 ルイス・A・デルモンテ(川村幸城)は警鐘を鳴らしている。

 もし宇宙人が地球に来た場合の想定もあって面白い。
 その宇宙人は、果たして人類なのか、SAIHなのか、はたまたロボットなのか・・・もし人類であれば、どうしてシンギュラリティを乗り越えられたのか教えてもらいたいところ。

 もっとも、米中戦争が勃発すれば、いわゆる第三次世界大戦になるので、世界の事情が大幅に減退する、ため、シンギュラリティの不安はなくなる、あるいは22世紀に持ち越されるかも。
 そんな期待をしていいのかしら?

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