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#阪神淡路大震災

村上春樹『神の子どもたちはみな踊る』書評 「死」を求めながら、全力でそれに抗うということ

村上春樹『神の子どもたちはみな踊る』書評 「死」を求めながら、全力でそれに抗うということ

「喪失」と「受容」 この短編集には7つの作品が収録されている。各短編の登場人物はみな、過去に負ったある種の傷を背負いながら生きている。
 その傷は、1995年に発生した阪神大震災に端を発している。中には、同年に起こったオウム真理教による地下鉄サリン事件を想起させる作品もある。
 
 この短編集は、これらの傷ーその傷とはすなわち「喪失」ーを受け入れることをテーマとしている。いかにその「喪失」と向き合

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