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政策パンフレットから見える岸田政権のこと

 2022参院選挙は与党(自民党、公明党)の勝利で終わりました。
 選挙時の興味を引くことのひとつとして、政党ごとの政策パンフレットがあります。

 2022年7月29日の虎ノ門ニュースの中で、この政策パンフレットの話が少し出てきましたので、与党の政策パンフレットを改めて振り返ってみようと思いました。

 ポイントは表紙と1番目に持ってくる政策です。

 2012年総選挙
 これは民主党政権から自民党が政権の座を取り戻すことができるかどうかの戦いでしたね。

 


 2012年の総選挙において自民党は「日本を取り戻す」と銘打って選挙を戦いました。この「日本を取り戻す」というキャッチコピーはいろんな意味が含まれていると思いますが、当時かなりインパクトがあったのではないかと記憶しています。
 政策テーマの最初には経済と復興を持ってきました。
 安倍さんのことなので外交安全保障がトップに来るかと思いきや、重視したのは経済と復興だったことが伺えます。

 2012年の総選挙で大勝し、政権の座に返り咲いた自民党は、翌年2013年には参院選を戦いました。

 2013年の参院選のパンフレットのキャッチコピーは引き続き「日本を取り戻す」でした。

 重点政策としては「復興」を持ってきました。
 2012年から引き続き、復興と経済を最重要課題と位置づけていたことが受け止められます。

 2014年12月は衆議院議員の解散総選挙となりました。
 政府与党は2014年4月に消費税を5%から8%へ増税しました。
 (民主党との約束で)消費増税関連法では15年10月に税率を10%に引き上げることを明記していました。
 しかし8%への増税時に駆け込み需要の反動で消費が落ち込んだことを踏まえ、安倍首相は引き上げを17年4月に延期することを11月に表明し、12月に解散総選挙を戦うこととしました。
 4月に8%へ増税したものの、選挙では10%への増税延期とキャッチコピーの「景気回復、この道しかない」に加え、2年間のアベノミクスの成果を訴えながらの選挙戦でした。

 2014年解散総選挙は、「アベノミクス」と「増税延期」の主張がかなり色濃く出ていた印象がありました。
 政策パンフレットからは「経済重視」の姿勢が見て取れます。



 2016年7月には参院選を迎えました。 
 選挙前の6月には、新興国経済の落ち込みなどで世界経済が危機に陥るリスクを回避するため、再び消費税増税を19年まで延期する旨を発表し、7月の参院選を迎える形となりました。


 自民党が2012年に政権の座を取り戻してから今回の選挙を迎えるまでの間に、オバマ大統領の広島訪問、安倍首相のハワイ真珠湾の訪問など、歴史的な出来事もありました。
 2016年のこの参院選は、政策集パンフレットのトップを見ると、変わらず経済重視の姿勢である、という感じが出ていますね。


 2017年には衆院解散総選挙がありました。
 自民党のキャッチコピーは「この国を、守り抜く」でした。
 キャッチコピーだけ見ると、ようやく外交・安全保障政策重視に舵を切ったか?と思わずにはいられません。
 (実際には経済重視を前面に出しつつも、外交・安全保障もちゃんとやっていましたが)

 2017年、同盟国アメリカでは、共和党のトランプ大統領が誕生しました。
民主党政権で崩壊しかけた日米同盟を立て直し、トランプ大統領に代わっても上手くやっていた印象がありますよね。
 むしろさらに深化させたと言って良いかもしれません。

 政策パンフレットのトップは、北朝鮮でした。
 確かに当時の背景として、度重なる弾道ミサイルの発射に加え、核実験を強行するなど、北朝鮮の脅威は差し迫ったものでした。
 その次に外交を持ってきて、この時の訴えるべき政策優先順位は外交・安全保障政策だったのかな、とう印象を持ちます。


 2019年10月、消費税が8%から10%へ引き上げられました。
 これまで2回延期してきたものの、ついに10%となってしまいました。

 この年、7月に参院選がありました。
 自民党は勝利したものの、改憲発議に必要な3/2を割ってしまいました。
 (改憲賛成の野党を合わせても3/2に届かず)

 

 2019年の参院選パンフレットは、再び経済が重視されました。
 安倍首相にとっては、結果的にこれが首相としての最後の選挙戦となりました。
 安倍政権の約8年間を振り返ると、そのほとんどが経済や東北復興を重視した政策パンフレットになっていました。

 2020年に安倍首相は退任し、変わって菅政権が誕生しました。
 菅政権時は選挙はありませんでしたが、1年間の間に非常に多くのことを成し遂げた、そんな内閣だったのではないでしょうか。


 2021年、岸田内閣が発足しました。
 同年10月には衆院総選挙がありました。
 2020年に始まった新型コロナウイルスの影響は続いており、10月の総選挙はコロナ禍での選挙となるとともに、岸田首相にとっては首相就任後すぐの選挙でもありました。

 与党自民党のコロナ対策の是非も問われる選挙とも取れますが、政策パンフレットのトップ政策はコロナ対策でした。
 これは国内情勢を鑑みれば必然と言えるかもしれません。

 今年2022年7月には参院選がありました。
 

 最新のこの政策パンフレットですが、1番目に外交・安全保障を持ってきました。
 「台湾」にも言及しており、同盟国アメリカだけでなく、豪・印、欧州を始めとした自由主義国、ASEANの国々と連携を強化していく、とあります。
 自民党部会の提言では、中国らに対してかなり踏み込んだ表現となっていたりと、岸田政権になってから安全保障への意識はかなりアップグレードされている印象です。

 菅政権で「台湾」への言及がなされたことや、安倍政権時に国家安全保障会議の創設を始めとして、安全保障に関わる様々な下地が出来たこともありますが、安倍政権→菅政権→岸田政権で着実にアップグレードしてきています。

 政策パンフレットに書かれている順番によって、後ろの方に書かれている政策は疎かになる、というわけではないと思いますが、やはり1番目に訴える政策は最重要課題である、と読み手は受け取るものだと私は思います。

 政策パンフレットは党の打ち出す政策を公式に訴えるものですから、こうやって昔のパンフレットを振り返ってみたり、最新のものと見比べてみたり、野党の政策パンフレットを見て比べてみたりするのも、党が何を重視しているのかを知るうえで、非常に重要なものになるのではないでしょうか。


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