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月刊 撚り糸

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毎月7日にテーマに沿った小説を公開します。また同テーマにて創作を募集し、一緒に楽しめたらと思っています。3月のテーマは『その角を曲がったところに』です。
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#短編

お先にどうぞ  #月刊撚り糸 第804話・4.7

「お先にどうぞ」「ああ、これはどうも」  今日も私は、先に急ごうという人を先に譲った。私…

その角を曲がったところに #月刊撚り糸 第773話・3.7

「その角を曲がったところに」ここで電話が切れた。「その角を曲がったところにって何なんだ?…

#月刊撚り糸 2月のテーマ『窓は開けたままにしておいて』公開しました。

毎月7日にテーマに沿った小説を公開します。また同テーマにて創作を募集し、一緒に楽しめたら…

七屋 糸
2年前
27

裏庭に永久に #月刊撚り糸おまけ

 彼女から告白されないよう細心の注意を払ってきたのに、その瞬間は冷然と僕を襲った。  授…

七屋 糸
2年前
24

窓は開けたままにしておいて  #月刊撚り糸 第745話・2.7

「窓は開けたままにしておいて」と、隣の席からの強めの声が聞こえた。列車に乗り、窓際の座席…

#月刊撚り糸 1月のテーマ『お元気ですか』公開しました。

毎月7日にテーマに沿った小説を公開します。また同テーマにて創作を募集し、一緒に楽しめたら…

七屋 糸
2年前
28

お元気ですか #月刊撚り糸 第714話・1.07

「お元気ですか?」と、夜遅くに笑顔で俺の家にやってきたのは、大学生の甥っ子だ。「ああ、誠也か、見ての通り俺は元気だぞ。でもどうしたんだ、事前の連絡もなしに急にこんな夜更けに?」 「叔父さん、まあこれでも」と誠也が右手に手にスーパーの袋を持っている。俺は受け取って中を見た。「これは、七草セット?なにこれ」 「明日七草だから」「いやそりゃ1月7日の朝には七草がゆ食べる習慣、そんなこと俺も知っているわ。でも何で急に。お前俺に何か相談ごとでもあるのか?」  甥の誠也は、俺にとっては

ずっと前から知っていました (#月刊撚り糸 & #2021クリスマスアドベントカレンダ…

「ずっと前から知っていました。今日ははっきり言います。大輔君、あなたがサンタクロースだっ…

そして透明は鼓動をはじめる。 #月刊撚り糸

 それなりに格好の付きそうな言い訳を並べたところで、反則的に漏れた本心を上回りはしない。…

七屋 糸
2年前
38

もしも夢が叶わないなら? #月刊撚り糸   第654話・11.7

「そうか今日は立冬か、だからこんなに暗くなるのが早いのね」園代は頭の中でつぶやきながら町…

あちらとこちら、夢のまた夢 #月刊撚り糸

 僕から見て、彼女はいつも『あちらに行ってしまいそう』な人だった。あちらってどこかだなん…

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明後日は雨だって #月刊撚り糸 第623話・10.7

「明後日は雨だって」窓を見ながらつぶやく妻の声を聞いた夫は、思わずベッドから起き上がった…

見たことも聞いたこともないよ #月刊撚り糸  第593話・9.7

「見たことも聞いたこともないよ。白露(はくろ)なんて」  外では秋の虫が鳴き始めた夜のひ…

ちょっとコンビニ行ってくる #月刊撚り糸 第562話・8.7

「ちょっとコンビニ行ってくる」「あ、洋平、私も行く」 コンビニに向かおうとする酒田洋平に、鶴岡春香がついていく。  同棲中のふたりは、この日、自宅近くにある丘の上に来ていた。奇跡のあの日。そう、宝くじの高額当選をしたあの日から、生活が大きく変わった。  ふたりはこの事実を隠そうと、極力地味な生活を変えていない。むしろ意識しすぎて貧乏な生活になっていた。だが、唯一の例外として、土地付きの戸建て住宅を建てることを決めたのだ。  今日は、購入候補の土地の視察。見聞が一通り終わ