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月刊 撚り糸

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毎月7日にテーマに沿った小説を公開します。また同テーマにて創作を募集し、一緒に楽しめたらと思っています。3月のテーマは『その角を曲がったところに』です。
運営しているクリエイター

#月刊撚り糸

そこにつくる想い|ショートショート #月刊撚り糸

 じわりじわり、とその感情はわたしを浸食した。だれもなにも悪くない。ただタイミングが悪か…

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お先にどうぞ  #月刊撚り糸 第804話・4.7

「お先にどうぞ」「ああ、これはどうも」  今日も私は、先に急ごうという人を先に譲った。私…

晴天にグレー #月刊撚り糸

 今すぐに桜の花を見に行かなければ死んでしまうような気がしたことはありますか、と彼女に聞…

七屋 糸
2年前
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#月刊撚り糸 3月のテーマ『その角を曲がったところに』公開しました。

毎月7日にテーマに沿った小説を公開します。また同テーマにて創作を募集し、一緒に楽しめたら…

七屋 糸
2年前
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2人の道 #月刊撚り糸 【短編小説】2300文字

仕事用に使っているエルベシャプリエのカバンは淡いラベンダー色だ。 路肩の雪は解けて、コン…

イツキ 彩
2年前
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黒い真珠 #月刊撚り糸

青い空がどこまでも続いている。太陽はいつまでも降り注いでいる。椰子の木はどこまでも連なっ…

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その角を曲がったところに #月刊撚り糸 第773話・3.7

「その角を曲がったところに」ここで電話が切れた。「その角を曲がったところにって何なんだ?」俺はもう一度電話の相手にかけなおそうとしたが、以降は着信音は聞こえても応答しない。何度鳴らしても相手は出ないのだ。 「その角を曲がったところに何があるのだろう」街を歩いていた俺は、腕を組んだ。着信の相手は見たことのない番号。「営業かもしれない」と俺は最初無視をしたが、しつこく何度もかけてくるので思わず取ってしまう。俺は相手が何を言うかわからないので、取ったもののしばらく黙っていた。その時

角を曲がったところにあったもの|ショートショート #月刊撚り糸

「ね。別れよっか」  笑顔でそう告げられたとき、俺はとても間抜けな顔をしたと思う。何を言…

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#月刊撚り糸 2月のテーマ『窓は開けたままにしておいて』公開しました。

毎月7日にテーマに沿った小説を公開します。また同テーマにて創作を募集し、一緒に楽しめたら…

七屋 糸
2年前
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裏庭に永久に #月刊撚り糸おまけ

 彼女から告白されないよう細心の注意を払ってきたのに、その瞬間は冷然と僕を襲った。  授…

七屋 糸
2年前
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#月刊撚り糸 2人の境目【短編小説】1900文字

「パパ、おやすみなさい。ママ、おやすみなさい。」 階下からお姉ちゃんのいつもの挨拶が聞こ…

イツキ 彩
2年前
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この恋を封印して #月刊撚り糸 (2022.2.7)

「バニラアイス、好き?」 「どうしたの、急に」 不思議そうな顔をした蓮は、きっと気づいて…

百瀬七海
2年前
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窓は開けたままにしておいて  #月刊撚り糸 第745話・2.7

「窓は開けたままにしておいて」と、隣の席からの強めの声が聞こえた。列車に乗り、窓際の座席…

ジョハリ #月刊撚り糸

 ふと目覚めて、隣を見て溜息が出そうになるのを慌てて堪えた。安らかな寝顔と安らかな寝息。なんだか息苦しくなって、涙腺が緩んだから反対側に寝返りを打つ。  どうしてだろう、と思う。この人生を選んだはずなのに。この人を選んだはずなのに。  部屋はまだ暗い。きっと朝は遠いのだろう。もうひと眠りして起きたら、あの友人に電話をしようと思う。 *** 「ジョハリの窓って知ってる?」  佳奈がそう言ったのは、社会人になったばかりの頃だった。 「うちら何学部卒よ?」  椎名はそのとき