一福千遥

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一福千遥

趣味でのんびりと書き物をしています。 こちらはすこし長めの小説メインで置いてます。どうぞよろしくお願いします。 ※フォローなどはご自由にどうぞ。 ※ネタが被ったらごめんなさい…… ※平穏不穏問わず、ここで書かれている世界観はすべて架空のものです。

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  • Novelber

    綺想編纂館(朧)様の企画「Novelber」への参加作品を置いています。秋の夜長、ひとときなりと共に過ごしていただけましたなら幸いです。

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2023年の創作回顧

こんばんは、一福千遥です。 みなさま、暮れゆく2023年をいかがお過ごしでしょうか。 さて今年も早いもので大晦日、創作TALK 2023_24の時間がやって来ました。 まずはざっくり今年一年の活動を、手帳とカレンダー、ToDoリストの破片を読み解きながら振り返ってみることにします。 ……ここから先はかなり長くなります。 2023年に参加したイベント1月 短歌ハッシュ参加 ひとり詩歌文アンソロジー『Partitura』を、3月開催のそこの路地入ったとこ文庫でお披露目したさ

    • 文字書きへディテール質問・回答編

      副題・回顧願望に負けました。 唐突な書き出しにて失礼しました。一福千遥です。 さて、ここしばらく書きもののネタに関しては凪いだ状態が続きすぎたので、己に活を入れてみようかと、こちらの企画をお借りしました。 #文字書きへディテール質問 最初はのんびり呟いて回答していこう……と思っていたのですが、めっちゃ長くなったので、こちらで画像一枚ごとに、答えだけガーッと列記していくとにしました。 A1 幻想小説・恋愛小説。恋愛は3L対応してます。 基本的にふわふわあわいシチュエーシ

      • 遅ればせながら、「岸渡しゆく」へのスキ、をありがとうございました! 向こう岸、こちらの岸、どちらの岸にある物語もひとおしく書けたら、と思いながらネタ練りの日々です。

        • 岸渡しゆく

          「もういいわ、わたし、あっちの岸に行く」  きっぱりと言い放ち、少女はまっさらなハンカチを握りしめる。すすけた桟橋にはあざやかに映える白いワンピースを身につけた少女に、舟上から櫂を手に渡し守は尋ねた。 「ああ、そんなことを言いだすひとがまた……こちらの岸がまたずいぶんと、淋しくなるばかりだけど」  つばの広い、褪せた麦藁帽子を目深にかぶりながら、渡し守は首を振る。擦れたジーンズに洗いざらしのシャツと若そうな身なりながら、声はしわがれているせいで、即座には年齢の見当もつかない。

        2023年の創作回顧

        • 文字書きへディテール質問・回答編

        • 遅ればせながら、「岸渡しゆく」へのスキ、をありがとうございました! 向こう岸、こちらの岸、どちらの岸にある物語もひとおしく書けたら、と思いながらネタ練りの日々です。

        • 岸渡しゆく

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          30本

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          なかなかこちらに出られなくてごめんなさい。 遅くなりましたが、フォローにスキ、とありがとうございました! かなり不定期更新の小説書きですが、今後ともどうぞよろしくお願いします。

          なかなかこちらに出られなくてごめんなさい。 遅くなりましたが、フォローにスキ、とありがとうございました! かなり不定期更新の小説書きですが、今後ともどうぞよろしくお願いします。

          涙まつわる夕なれど

          「オレ実は『酒涙雨』って長いこと、憂さ晴らしの酒呑みまくって大泣きすること、だと思ってたんだよな」  あれほど日中は晴れていたのに、夜になれば雲たちこめる七夕の夜。余人が逢瀬を垣間見するのは御法度、と言わんばかりの灰色の空のもと、高畑と深草は今日も今日とて仕事上がりの一杯を決め込んでいた。 「うん、高畑君ならありえる覚え違いかも」  細づくりのグラスに注がれたグラスビールを、おっとりと傾ける深草の隣で、 「言ってくれるな深草! オレはてっきり酒と涙と、みたいなアレかと!」  

          涙まつわる夕なれど

          仮面の裏

           濃密な暗闇に浮かぶ、ひとつの仮面が俺の眼前に現れた。  白陶の地に細い筆で金の唐草模様があしらわれたその仮面は、古の仮面舞踏会を想起させるに足る妖美さをたたえている。そしてそれは毎年、文月の七日前後にあらわれる、名を名乗らぬ絵師が使っている外面──アバターだ。  大小さまざまな画面が世界のあちこちに据えられるなか、あふれているのは 極彩色をまとうキャラクターやアバターたち。そんなあざやかに過ぎる世界のなか、この絵師が描くのは、どれだけ水分を含ませた筆で描いたのだろう、と思わ

          Ne me touchez pas

          「ひとの琴線に響くピアノを弾く、と噂のイヴォンヌ・シュレーヌだが、繊細ゆえの気難しさで、満足にインタビューもできない。それなのにカヨコ、キミはどうしてイヴォンヌとの対談インタビューにオーケーを貰ってこられるんだい?」  全世界的に有名な音楽誌の編集長、オットマーが嘉世子の肩に手を伸ばしながら、実に不思議そうに尋ねてくる。それをさりげなく、小柄な身体を傾けて嘉世子はかわし、にっこりと微笑んだ。 「そうですね……ひとえに、イヴォンヌがこちらからの不躾な申し出を受けてくださるおかげ

          Ne me touchez pas

          水うつ羽の

          「あなたと過ごすのも今日が最後ね、サーラル」  籠の中、首をかしげた文鳥に私はそう声をかけた。  文筆を生業とする同業者が取材旅行に赴く前、どうしてもペットホテルに空きがなくて預けられなかったの、と世話をお願いされた、一羽の文鳥。ペットと無縁だった私に何十頁ものマニュアルと籠を託し、彼女が旅に出て三日──目の前のちいさな鳥におっかなびっくりの手つきはとうとう変わらないまま、私は水浴び場用の桶をあらたな水で満たす。  ゲージを閉め、試し刷りの原稿を手にした私の目の前で、サーラル

          水うつ羽の

          ハートありがとうございます! 今年の文披31題ものんびり更新ですが、お楽しみいただけましたなら幸いです。

          ハートありがとうございます! 今年の文披31題ものんびり更新ですが、お楽しみいただけましたなら幸いです。

          雨滴いざなう古つこと

           合議で煮詰まった挙げ句、なんの結論も得られなかった大広間を出、溜息とともに左衛門は窓外をちら、と見た。近年では珍しい、しっとりした雨があたりの景色を霞ませながらやわらかく濡らしている。 「ああ、いい雨だ」  あの傘を持ってきて正解だった。ふふ、と笑む左衛門に、利輔が声をかけてきた。 「雨だッてのに、ずいぶん楽しそうじゃねェか」  古物を取り扱うのを商いとする同業者──いや、左衛門にとっては数少ない『仲間』と呼べる存在の利輔に、左衛門は己が手にしたものごと、目の高さに掲げてみ

          雨滴いざなう古つこと

          2022年の振り返り/2023年の目標

          暮れなずむ2022年の大晦日、みなさまいかがお過ごしでしょうか。 こんにちは。当方、一福千遥と申します。 普段は「路地ひとつ隔ての異界」を指向した幻想小説をメインで書きつつ、短歌・五行歌を詠んでおります。 さあ今年も年末年始恒例企画、創作TALKの時間がやってきました! この2022年を振り返ってみますと…… 「何故ここまでいろんな企画やイベントに参加挙手したのか自分でもよう分からん」(ノンブレス) の一言に尽きます。 個人的に過去最大規模でいろいろなイベントに参加しまくった

          2022年の振り返り/2023年の目標

          生活と創作に思うこと

          こんばんは、一福千遥です。 一週間ほど前、オンライン即売会「まだまだ!ジャンル迷子オンリー」に参加した際、こちらの企画が目に止まりました。 ……ふむ。 メインの活動は「あわい幻想小説になんやかんやの隠し味ひと匙盛った結果、どんな小説書いているのか説明できない」小説の書き手として、面白そうだなあ、と思った勢いのまま、回答することにしました。 なお、これは概ね素ではありますが、2022年9月時点での感興が多分に含まれています。 年末にはまた違う雰囲気のことを言い出していても、そ

          生活と創作に思うこと

          唐突な宣伝でーす!

          唐突な宣伝でーす!

          Driver's Songs casette tape 開演前口上&Track Titles

          さあ、ドライブに行こう。思い立ったが吉日と、お気に入りの曲を詰めたカセットを手に立ち上がる。  今日は雲ひとつない快晴、絶好のドライブ日和。  地図は持たない。気になる道を見つけたら、逸れてみるのもまた一興だ。  なあに、すべての道はどこかに通ず。  あちこちで出逢ったお気に入りの曲がぎっしりの相棒のカセットテープが導いてくれるさ。  そう信じていれば、けして、淋しくはない。 ──これは、それぞれの人生の一コマ、あるいは揺れまどうこころに沿う曲を、カセットテープに入れて集め

          Driver's Songs casette tape 開演前口上&Track Titles

          「子どもの頃さ、入道雲ってものすごくでっかく見えたんだよ」 夏のスケッチ旅行で訪れた山村で、ぽつりと彼が口にした。 「今にして思うに、あれは夏休みへの期待値メーターだったのかな」 どこまでも白いまま、空の青と拮抗する雲を見上げオレは言う。 「じゃ、あの入道雲はオレの期待値だな」

          「子どもの頃さ、入道雲ってものすごくでっかく見えたんだよ」 夏のスケッチ旅行で訪れた山村で、ぽつりと彼が口にした。 「今にして思うに、あれは夏休みへの期待値メーターだったのかな」 どこまでも白いまま、空の青と拮抗する雲を見上げオレは言う。 「じゃ、あの入道雲はオレの期待値だな」