【コラム】 成長ステージが移行するEコマース

数年前のコロナ禍ではEコマースが間違いなく需要の牽引役でしたが、最近は物流拠点の新設・拡張の動きが少し弱まったように思います。アマゾンが最初の大型物流センターであるアマゾン市川FCを開設したのが2005年11月で、その後20年近くにわたりEコマースは順調な成長が続きました。
特に、この数年はコロナ禍での巣ごもり消費による追い風もあり、物流拠点の新設・拡張が相次ぎました。Eコマースによる物流拠点の多くは賃貸物件で、契約期間は5~10年が一般的なので、コロナ禍での急速な拠点整備によって倉庫需要を先食いしてしまった面は否めないと思います。では今後のEコマースは需要の牽引役として役割は期待できないのでしょうか。

まずEコマースの最近の業績をみると、運送費を含む物流コスト増で利益が圧迫されているケースはありますが、総じてトップライン(売上高)の成長は堅調なままです。取扱高が拡大すれば、どこかのタイミングで自ずと倉庫拡張の必要性は生じます。また、最近はEコマースから、危険物倉庫や冷凍・冷蔵倉庫など多様なニーズがみられ、取扱品目が拡大している様子がうかがえます。そのほか、これまでEコマースの実績が乏しかったB to BのビジネスでもEコマースに積極的に取り組む動きがみられ、長尺物(大きな貨物)でもEコマース用の保管スペースをお探しする話もあります。
Eコマースによる物流ニーズは新設・拡張一辺倒のフェーズから、拠点の集約・統合を繰り返しながら緩やかに倉庫床面積が拡張していく段階に突入しており、今後は多様化したニーズが期待できるセクターに移行していくと考えています。


本稿は株式会社一五不動産情報サービスが運営する、開発が相次ぐ賃貸物流施設に関する情報を集約したウェブサイト「一五蔵」のメールマガジンで投稿されたコラムです。
一五蔵
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