映画感想|フィクサー

主演俳優に対する勝手なイメージで、なんとなく動いて跳ねてする映画かなと思っていたら、冒頭からそんな雰囲気はありませんでした。

弁護士事務所のもみ消し屋(フィクサー)である主人公が、同僚が担当する薬害訴訟に巻き込まれます。「もみ消し屋」という響きから、安易にエンタメを期待してしまったのですが、言葉として出てくるだけで、主人公が本筋の中心にいるというより、最後になってようやく的が近付いてきたという印象です。

ハラハラする場面はあるのですが、退席者がいたぐらいには静かなサスペンスです。最後のスタッフロールまでのカットが、哀愁漂うと同時に長いなぁと思ったり。

そして、私の頭では登場人物の名前と設定を把握することに時間がかかり、物語の構成がこっている分、電話口での名前登場やら本筋とはそこまで関係ないけど主人公の人間性を表現するには必要なキャラクターだったりと、至らない頭をフル回転させていました。

というわけで、銃を撃ち合うような派手なことはありませんが、真実をさぐるのは面白いですし、会話の中に出てくる「本」がカギになったり、それぞれの人物の人間味が伺えるシーンは多く、本筋と関係ない設定も含め、それなりに楽しむことが出来ました。

ただ、欲を言えば主役はジョージ・クルーニーではなくてもよかったと思います。加えて、宣伝の「男は、完璧に罪を消せるはずだった・・・」はちょっと引っかかります。もみ消し屋という具体的な仕事振りはあまり見えませんし、それが話の核ではないような。これは、映画「ブラックブック」を映画館で観た時の衝撃と似ています。宣伝の雰囲気はなんとなく「愛」でしたのに、ふたを開けてみれば本格派サスペンス。

※2008年4月付感想。試写会。

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