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微意 Chapter Ⅰ②(連載推理小説)

   みどり いろ
 
 
振り子が思わせぶりを繰り返す
左 右 右 左 左 右 
… 4.5. 1.2.3
いろ が 呼んでいた 
いと 紡ぐ
 
目の前の扉 を 開くと
一面 緑の 一色
ひとの形が ひとり
 
心臓が濃い緑
足先と指にも 濃い緑
脳は薄い色
脈は中色で
ピアニスト
 
一心不乱に弾き乱れ
音色と共に 踊り狂う
 
ステージは 
そのひとの為だけに用意され
奥行は濃いみどり
近くなるほどに浅いみどり
 
そこには
当たり前に
塔が聳え立つ
 
落雷により
塔が崩壊しては
 
地面に
恐ろしい緑が拡がって
 
全てが飲み込まれていく
塔も
ピアノも
ピアニストも
ステージも
落雷も
 
わたしも
 
いっそのこと
飲み込まれた方が
楽なのかも、と
リップの誘惑が
 
振り切る為に
地に着く足元の
サークルが
翡翠に血を飲ませて
 
迷い込んでは
 
幾重に拡がる
       星
            因子
 

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