民主主義の現在 民主主義指標にみるアジア諸国の民主主義の現状

民主主義指標にみるアジア諸国の民主主義の現状(アジア研究66巻(2020)2号、2020年)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/asianstudies/66/2/66_42/_article/-char/ja

アジア経済研究所の湊一樹による論考。フリーダムハウスの年次報告書『世界の自由』(Freedom in the World)の指標と、「民主主義の多様性」プロジェクトの民主主義指標(V-Dem 指標)アジア諸国について比較検討している。フリーダムハウスと「民主主義の多様性」プロジェクトのいずれも民主主義の後退と表現している。フリーダムハウスは2006年から、「民主主義の多様性」プロジェクトは2010年から民主主義後退の傾向が始まったとしている。
しかし、アジア諸国についてそれぞれの指標の数値を検討してゆくと、実際にははっきりした後退は確認できなかった。新興民主主義国(タイ、フィリピン、インドネシア、スリランカ、バングラデシュ)およびインドではスコアのはっきりした低下が認められた。

余談であるが、私は民主主義の後退は全体的に後退するのではなく、民主主義が発展している国がスコアを落とし、逆に権威主義の国は民主化を進めてスコアを上げ、全体的に瑕疵のある民主主義あるいは指導者民主主義に移行することだと考えており、この論考はそれに近い結果を提示していたので興味深かった。
デジタル権威主義の場合、制度や法律で人々を強制する必要はなく、自分の意思による行動と思いながら知らない間に誘導されているのだから見かけ上民主主義でも全く問題はないはずなのだ。あえて言えば、指導者民主主義が望ましいのだろう。

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