今回の戦争が民主主義国の結束を強めたというのはファンタジーにすぎない Foreign Affairs2022年4月4日より
Foreign Affairsに「The Fantasy of the Free World Are Democracies Really United Against Russia?」(https://www.foreignaffairs.com/articles/india/2022-04-04/fantasy-free-world)と題する記事が2022年4月4日に掲載された。前提として今回のウクライナ危機で民主主義国が結束を強めた、あるいは強めるべきだという論が同誌をはじめとして散見されることへの反論となっている。おおまかな趣旨は下記である。
●今回の戦争は民主主義陣営に亀裂を生み、アジアの自立を促進する結果となる可能性が高い
3月2日の国連総会での結果をもって、反ロシアで団結していると考えるのは早計だ。まず、インドや南アフリカをはじめとする民主主義陣営は棄権した。中南米の国々は賛成票を投じても経済制裁には参加していない。アジア・アフリカ諸国の半数近くが、この決議に棄権または反対票を投じた。そして、米国とEUの対ロシア制裁に全面的に参加しているアジアの国は、日本、シンガポール、韓国の3カ国だけである。
結束が強まったのは西側諸国だけで、アジアはそこに含まれていない。重要なのはすでに地政学的重要度はヨーロッパからアジアに移っており、中国を軸にどのような均衡を実現すべきを模索している。
欧米では今回のような侵略を驚きをもって受け止められているが、アジアはベトナム戦争やイラク侵攻、その他の代理戦争で何度も経験している。
今回の戦争はアジアには深刻な影響をもたらさない可能性が高く、むしろ欧米との亀裂を深め、アジアの自立を加速する可能性が高い。また、ヨーロッパもアメリカへの依存を減らし、戦略的自立性を高めることになる。
●感想
なるほどと納得したけど、アジアというよりもグローバルサウスの自立なのかもしれない。グローバルサウスといった時には、日本、韓国、シンガポールといった国連総会で賛成票を投じた国は入らない。
そう考えると、グローバルノースではあるが、欧米ではない日本はすごく微妙な立場になる。自立を進めるアジアとの関係を保ちつつ、基本はアメリカに依存し、欧州ともよい関係と続け、中国ともビジネス面では取引してゆく。パンデミックと今回の戦争でグローバリゼーションが後退して分断が進む中、資源小国で、アジアあってグローバルサウスでなく、グローバルノースであっても欧米ではない日本はどうなるのだろう?
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