第7話 生き残りやすい賞 1 受賞作の初刷り部数の多い賞は生き残りやすい

生き残る=本が売れ、書き続けられることとすると、受賞作をたくさん販売してくれる新人賞がよいことになります。
もちろん、大変才能があったり、運がよかったりで売れる受賞作や作家もいます。確率の問題です。

1.受賞作の刷り部数
受賞作をたくさん販売してくれる出版社とはどんな出版社でしょうか? いろいろ尺度はありますが、書き手から見たばあいのもっともわかりやすい目安は……

・受賞作をたくさん印刷してくれる

たくさん印刷するということは、それだけ売る態勢があるからに他なりません。たくさん刷ると売れなければ誰かが責任を問われます。数万部刷るということは、いろいろな書店で平積みされ、「○○新人賞受賞作!」といったPOPが置かれる可能性が高いということになります。ひっそりと棚にさしてあるよりは売れる確率は高くなりますし、そもそも刷り部数が少ないと配本されない書店が多くなります。ないものを注文してまで買う人は稀です。
言葉を換えると、刷り部数が多いほど売れる可能性は高くなり、生き残れる可能性も高まると言えます。

最近の小説の単行本(新人賞の受賞作ではないもの)は初刷りが数千のことは珍しくありません。三千部とか四千部はごくふつうにあります。この部数だと「売れないと責任を取ることになる人」はいません。書店に流通させても強くはプッシュしない可能性が高いです。なぜならもっと部数の多いものを売らなければならないからです。またこの部数だと地方の書店や小さな書店まで配本されません。

・単行本の場合、受賞作の刷り部数が〜四千部だと生き残りにくい
・文庫本の場合、受賞作の刷り部数が〜1万部だと生き残りにくい。

最近では上記にあてはまる刷り部数の少ない賞が増えているようです。
出版不況で本が売れないと言われています。無名の作家の本をふつうにただ出版して流通させるだけだと売れない可能性が高いんです。当然そうなりますよね。
言葉を換えると、特別なPRを行わずに本だけ出しても売れない可能性が高い。だから部数を抑える。部数を抑えると書店店頭での露出が少なくなるので売れなくなる。PRもなく書店の店頭でも見かけなかったら、どうやってその本の存在を知って買うんでしょう? 悪循環です。こうなると俄然投稿サイトやSNSなど他で知名度のある人が有利になりますね。

出版業界にいれば売れ行きや刷り部数はある程度わかりますが、新人賞の投稿者からは狙う新人賞の刷り部数はわかりません。どうやって確認すればよいでしょう?
ひたすらネットでプロの作家のデビュー時の話をチェックしたり、推計するのもひとつの方法です。書店でどれくらい平積みにされているかを確認するのもよいです。刷り部数の少ない単行本は平積みにされることも少なく、されていても店舗が少ないです。

単純に有名な賞、新人賞からデビューする人が多い賞は刷り部数も多い可能性があります。

生き残りやすい賞の条件は他にもあります。長くなりましたので、続きは次回。

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