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坂田幸樹『デジタル・フロンティア 米中に日本企業が勝つための「東南アジア発・新しいDX戦略」』

・本書は、シンガポールを拠点とし、現在は3拠点、8国籍のチームで日本企業や現地企業、政府機関向けのプロジェクトに従事する著者が、デジタル・フロンティアである東南アジアのイノベーションを通じて、元来、力を持っている日本の現場が、デジタル技術によってさらなる力を持ち、社会を変革するための方法について考察した1冊。

・多くの人にとって「デジタル・フロンティア」というと、米国や中国の巨大企業をイメージするが、2010年代に中国の生活を一変させた
◇バイドゥ(中国最大の検索エンジン企業)
◇アリババ(世界最大級のEコマース企業)
◇テンセント(中国最大のインターネット企業)
がさまざまなサービスを提供したことで、一気に中国のデジタル化を進ませたなど、東南アジアが、デジタル・フロンティアとして挙げられている。
・近年、デジタル革命が一気に進んだことによって、グローバル化が発展する形で「リージョン化(全世界共通のサービスではなく、その地域ごとの特性に合わせたサービスを提供し、問題解決を図るというもの)」が進展しつつある。
・そして、スマホ革命によって東南アジアの大多数の人々がインターネットを利用するようになり、食事の宅配から医師による遠隔診療や薬の処方まで、さまざまなサービスを受けられるようになった。
・特に近年のコロナ禍を経て、東南アジア諸国のデジタル化は加速度的に進展した。著者が訪れたインドネシアの現地カフェでは、現金での支払いを断られたとのこと。ユニコーン企業(設立10年以内のスタートアップで、評価額10億ドル以上の未上場のテクノロジー企業)が保有するビックデータを活用する形で道路やビルが次々と開発され、街としての利便性が一気に高まっている。

・東南アジアのイノベーションの特徴は、ひと言でいうと、「半径5キロ圏内の問題解決」から生まれている、という点にある。
・例として、「ゴシェック」というアプリが挙げられている。これは、オートバイの配車アプリから事業をスタートさせ、自動車の配車、食事や注文・配達、清掃員やマッサージ師の手配など、次々とサービスの拡張を図った。
・さらに、遠隔で医師の診療を受けることができる上、診察後に薬を配送してもらうこともできたり、バイクドライバーがお店に買い物に行って商品を届けてくれる、などのお買い物サービスもあるなど、家にいながらにして、生活に必要なさまざまなサービスを受けることができる。
・このように、多くのサービスを提供するアプリは「スーパーアプリ」と呼ばれている。
※このようなスーパーアプリがどのようなイノベーションを起こすかについての詳細は本書をお読みください。

・本書では、「『GAFAM』を目指してはならない」という序章から始まり、「『改善』だけではDXにはならない」「ビッグデータの破壊力」「バラバラなデータに価値はない」「『すべてをデータ化』で生まれるイノベーション」「DXを成功に導くフレームワーク」「日本の「真のDX」を考える」という章で構成されており、「事例でも物語でもなく大事なものとは」「DXの本当の意味とは」「すべての基盤となる「ID」の役割とは」「既得権益を破壊する方法」「無駄なデータと使えるデータとは」など、日本が学ぶべき東南アジアのデジタル・フロンティアが収録された内容となっている。

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