見出し画像

落合陽一「忘れる読書」

・本書は、メディアアーティスト、筑波大学准教授、ベンチャー企業の代表など多彩に活躍する著者が、古典から哲学、経済書、理工書、文学に至るまで、著者の思考を形作った書籍を多数紹介し、その内容や読み解き方を解説した1冊。

・著者は、本を読む際、読んだ内容を覚えていようと思ったことはなく、むしろ忘れるために本を読んでいる。
・積読、乱読は当たり前で、本を読み通さずにざっと読む「ザッピング読み」や、何回もパラパラと読んで内容を把握する「周回読み」もしばしばとのこと。
・ある時は小説や漫画を一気読みし、ある時は絶版の哲学書や古典的理工書を読んでいる。
・さらに、頭の中にそれぞれの本の「脳内マップ」を作り、「較べ読み」することで本の内容を血肉にしている。

・著者は、「いま身につけるべき教養は『抽象化する力』である」と語る。
・先行きのわからない時代を生きるからこそ必要になる「新たな教養」を本書では「持続可能な教養」と定義している。
・「持続可能な教養」とは、まずは物事を「抽象化する思考」を鍛えること、そして「気づく」能力を磨くことではないかと著者は考えている。
・「抽象化する思考」を鍛えるためには、読書が向いている。読書はたくさんのレイヤーでものを考え、抽象化し、整理して脳にインプットしていくのに有効だからだ。
※著者の考える「教養のある人」とは、著者の読書体験の詳細については、本書をお読みください。

・読書した内容を逐一頭に入れ込んでいかなければ、と思い込んでいる人は、意外と多いように感じるが、ウェブで調べれば十分な知識は、記憶しておかなくてもいいと著者は考える。必要な時にその都度、調べればいいからだ。
・これからの時代、クリエイティブであるための知的技術は、読後に自分の中に残った知識や考えをざっくりと頭に入れ、「フックがかかった状態」にしておくこと。
・何となくリンクが付いている状態で頭の片隅に残しておけば、いずれ頭の中を「検索すれば」わかるからだ。
・そうするためにも、何かを読んで知識を得た時、適度に忘れておくことが大事なのだと思う。
・だから著者はあえて、読書ノートやメモを取ったりはしない。論文を読む時であれば、重要な箇所にマーカーで印をつけることはあるし、覚えておきたいフレーズが出てきた時に線を引くことは稀にあるが、一般的な本を読んで、意識的に線を引くというような習慣は全くない。
・著者は、「本全体の10%くらいが頭に残るぐらいでちょうどいい」という感覚なので、学生に論文の読み方を指導する際も、「覚えることより忘れる能力が大切」とよく言っているそう。
※著者の本の読み方、読書論についての詳細は本書をお読みください。

・本書は、「持続可能な教養ー新しい時代の読書法」「忘れるために、本を読む」「本で思考のフレームを磨け」「『較べ読み』で捉えるテクノロジーと世界」「『日本』と我々を更新する読書」「感性を磨く読書」「読書で自分の『熱』を探せ」という章で構成されており、
◇「自分の文脈」を見つけるにはまず〇〇文庫から
◇〇〇は読まない
◇好きな〇〇を軸に読書の幅を広げる
◇俯瞰力を鍛える読書とは
◇これから必要な「4つの能力」を学べる4冊の本
◇SF小説は音楽を聴くノリで読む
◇インスタグラムは現代の「〇〇」だ
など、著者が血肉にするための「忘れる読書」の実践法ならびに、さまざまな本(枕草子・ニーチェ・失敗の本質・へうげものなど)の読み方について語った内容となっている。

#瞬読アウトプット #1分書評 #PHP新書 #落合陽一 #読書 #読み方 #本
Amazonはこちら
https://amzn.to/4aNbi26

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?