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阿久津一志『「職人」を教え・鍛え・育てるしつけはこうしなさい!』

・本書は、左官職人のかたわら、左官職人の育成に力を入れている著者による職人教育・育成のためのノウハウ。わかりやすく解説した1冊。

・さまざまな業界で「職人」といわれる人たちが激減している。これは「職人になりたいという人が減ってきていることとともに、現在職人として働いている人の高齢化による引退などの原因が挙げられるが、本当の理由は、職人を育成しようと考えている会社や職人をしっかりと育成できる会社がほとんどないからである。

・職人を自前で育成するには、時間や費用がかかるため、自社で職人を育成しようという発想がない。しかし、卓越した職人の技術を必要とするお客様が世の中にいるので、どんなに不況でなかなか利益が上がらない状態でも、職人育成に力を入れることをやめようと考えてはならない。

・職人と言われる人たちは、仕事が嫌いだからサボったり、ダラダラ仕事をするという人は実は少ない。仕事量が少ないと、無意識に作業をゆっくり進めたり、仕事が終わってしまうと時間を持て余してしまう。現場で働く職人に仕事の量を調整してもらうのではなく、1日にやるべき仕事の量は、経営者側にある程度管理する必要がある。


・経営者は「職人のやる気を引き出す経営者」を目指すこと。自分がやりたくないことを無理やりやらされる苦痛をまず取り除き、やりたいこと、やってもらいたいことだけをやってもらい、それがきちんとできたのであれば評価し、褒めてあげること。その過程でほんの少しずつ、やりたくないことや不得意なことを加えていく。そうすると、さほど苦痛に感じることなくできるようになっていく。

・経営者は、会社のビジョン(夢・将来の展望)を語り、職人を動機づけすることができなければならない。また同時に、職人が仕事をしやすく、勉強をしやすいように環境を整えてあげることが大事。さらに、「経営者自らが会社のビジョン向かって情熱を持って行動し、率先垂範して仕事や勉強に取り組む」という経営者の姿勢に、職人も動機づけされる。

・職人が働く現場は3K(危険・汚い・きつい)の状態になっていることが多い。この環境は劣悪であるが、創意工夫ができる環境である。著者は、条件のよい現場の作業で身につけた技術よりも、過酷な現場で身につけた技術のほうが多いように感じているとのこと。

本書では、「経営者の在り方」「職人の育て方」「職人育成の心得」「職人の強みについて」「強い会社(組織)のつくり方」など、一人前の職業人を育成していくためのポイントがわかりやすく紹介されている。

すべての経営者、これから経営を目指す人に読んでもらいたい1冊です。

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