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行定勲「映画女優のつくり方」

・本書は、「GO」「世界の中心で、愛をさけぶ」「リバーズ・エッジ」など数多くの映画を手がける映画監督の行定勲氏が、自身が監督した映画の出演女優(柴咲コウ・長澤まさみ・二階堂ふみなど)とどのように向き合ってきたかをインタビューし、それをまとめた1冊である。

有村架純について(ナラタージュ)
・行定氏は、有村架純について、
◇女優特有の面倒くささというものを、どうにか取り繕って演技をする人が多い中、有村架純は、決して取り繕わない。彼女は本人の我ではなく、役の我を宿らせる女優なのだと思う。
◇謙虚な人たが、欲はある。
◇誰かに対する思惑を、言葉にしないで表情で見せてくれる。
などと語り、映画化実現までに10年以上を要した「ナラタージュ」(2017年)のヒロインは「明らかに彼女(有村架純)だな」と思ったそう。

二階堂ふみについて(リバーズ・エッジ)
・二階堂ふみには、完全に自分のヴィジョンがあり、時期によってやりたいことは変わるようだが、積極的に自分を試したい人であることに変わりはなく、思いついたことは、すぐやりたい、というのが特徴で、このポテンシャルが行動に結びつくタイプである、と行定氏は語る。
・「リバーズ・エッジ」は二階堂ふみが原作である漫画に出逢い、映画化を行定氏にやってほしいと言ったことが始まりで、「この作品(リバーズ・エッジ)でベルリン映画祭に行きたい」と二階堂ふみは望んでいた。
・また、ある登場人物のキャスティングも二階堂ふみのアイデアであることが本書で語られている。
※誰が、どの役柄を演じているのかについての詳細は本書をお読みください。

芦田愛菜について(円卓 こっこ、ひと夏のイマジン)
・行定氏が初めて芦田愛菜に逢ったとき、「ただの子ども」という印象であった。
・しかし、次に逢ったとき、芦田愛菜は自身が演じる「こっこ」のイメージがあり、既に「意志」があると感じた。
・台本の読み合わせの際、他の子どもたちが台本を持っているのに対し、芦田愛菜は台本を持っていないのに、完璧に演じていた。
・子どもたちは台本を2回読んだのに対し、芦田愛菜は約500回読んだそう。500回読むのは、「台詞覚えが悪いから」だそう。
・行定氏は芦田愛菜に対し、「8歳の女優に、映画の撮り方を教えてもらった」と語る。
・芦田愛菜は間違いなく撮影現場を鼓舞する存在であり、芝居の上では統率力もあったが、彼女は8歳の女の子として、他の子たちと一緒に遊ぶこともできた。このことも含めて、彼女(芦田愛菜)は天才だった。
※芦田愛菜の撮影エピソードの詳細については、本書をお読みください。

・本書では、松岡茉優(劇場)、薬師丸ひろ子(今度は愛妻家)、沢尻エリカ(クローズド・ノート)、綾瀬はるか(リボルバー・リリー)など、行定氏が監督を担当された映画の女優とのエピソードならびにその女優が出演した映画の撮影秘話が収録された内容となっている。

・私は本書を読んで後悔したことは、本書で紹介されていた映画の一部を見ていなかったことである。実際に観た映画(ナラタージュ・リバーズ・エッジ・世界の中心で、愛をさけぶ)もあるが、観ていない映画もあり、その観ていない映画の場合、撮影秘話の部分で深く読み込むことが難しく感じた。

・私は最近、ストーリーテリングなど、物語を創造することについて関心を抱いている。なので、本書は私にとって分岐点となる1冊になった。これを機に、本書で収録されている女優が出演している行定勲監督の映画を観たいと思った。そして、それを踏まえたうえで、また本書を読んでみたい。
そういった意味では、とてもワクワクする1冊だ。来月公開される「リボルバー・リリー」も観に行こうと思います。

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