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井上多恵子「グローバル×AI翻訳時代の新・日本語練習帳」

・本書は、ネイティブ並みの英語力(TOEIC990、英検1級など)を持つ英語通訳案内士である著者が、「AIが適切に英訳できる日本語の書き方」を紹介した1冊。

基本ルール① 必ず主語を書く
・著者がヒアリングをした人全員が、日本語を英語に翻訳する際の工夫点として最初に挙げていたのが主語を補うことであった。
・今の機械翻訳は、推測可能な主語は自動で補うレベルにまで進歩している。とはいえ、確実に意図通りの訳がなされるように、主語を補うようにすること。

・例として、「お目にかかれるのを楽しみにしています。」(ccに部署の人たちを複数名入れたメール文)があり、これを機械翻訳すると、「I look forward to meeting you.」になり、この翻訳を和訳すると、「私は、あなたにお目にかかれるのを楽しみにしている。」になる。
・↑の文は、他のメンバーも受け手に会うことになっている場合であっても、「楽しみにしている」という書き手個人の気持ちだけを伝える英文になっているのでマズイ。なので、「We are looking forward to meeting you.」と「私たちは」と主語を書くことがポイントである。
(元の日本語を書き直すとしたら、「私たちはあなたにお目にかかれるのを楽しみにしています。」である)

・また、「責任は重いですよね。改善してもらわないと困ります。」を機械翻訳すると、「It's a heavy responsibility.We need to improve.」になり、この翻訳を和訳すると、「重い責任です。私たちは改善する必要がある。」になる。
・↑の文がマズイ理由は、和文では、相手に改善を求めているが、英文では責任の主体が自分たちになっている。なので、誰が責任を持ち改善すべきかを明確にする必要があるので、「私たちは、あなたの責任は重いと考えております。改善することを要望します。」と「あなた(you)」を入れること。こうすることにより、「We believe that you are very responsible.We request you to improve it.」に機械翻訳される。
※その他に、「謝罪文・吾輩は猫である」などの例文が記載されているが、詳細は本書をご覧ください。

・①のルール実践のためのヒントとして、
⚪︎和文を作成した後、各文に主語があるか否かを確認し、主語がない場合は、主語を補う。
⚪︎5W1HのWho(誰が)を入れて、和文を書く。
⚪︎英文法で学んだS+V(主語+動詞)やS+V+O(主語+動詞+目的語)などの形になるように、主語であるSを入れて、和文を書く。
が紹介されている。
※ルール実践のヒントの詳細ならびに、ルールを習慣化することために日頃からできる練習が書かれているが、詳細は本書をご覧ください。

・本書では、「グローバル時代にわかりやすい日本語表現の原則」「グローバル・コミュニケーションのルールから、日本語表現を考える」「日本語表現にも役立つ、関係構築のための英語表現」という3部(基礎編・実践編・特別編)で構成されており、グローバル時代に必要な日本語の文章の31の基本ルール(一文を短く書く・単位に気をつける・締め切りを明確に伝えるなど)とわかりやすさを倍増する、脱「起承転結」型文章構成5つのタイプ(PREP法・5W1Hを使うなど)で構成された内容となっている。

巻末には、機械翻訳ツールも紹介されている。

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