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岡田憲治「政治学者、PTA会長になる」

・本書は、政治学専攻で、現代日本の言語・教育・スポーツ等をめぐる状況に関心を持つ法学部教授の著者が、1000日に及ぶPTA活動の記録をまとめた1冊。

・PTA="Parent-Teacher Association(親と先生との任意団体)の省略。
・個別の、各々の地域でのPTAのあり方、やり方、機能、システムは、人体になぞられば、「骨と筋肉と関節と臓器の動きや働き」みたいなもの。
・人の体格はいろいろね各々のバランスや個性があるが、みんな違うといって話ができないということはない。異なる身体の組み立ての話ではなく、すべての身体に共通する話をすればよい。
・自治=「自分の生活や人生に直接関わる決め事は、できれば自分で考えて、自分で判断したい」という気持ちに支えられた生活の技法。
・この自治を政治学の思考のフィルターを通してPTAを見ると、多くの人たちが「さほどそれでいいと思っているわけでもない」のに、誰が作ったのかもよくわからない決め事に縛られてとてもくるしそうだし、そこから生まれるネガティブな気持ちを起点に苦行のようにPTAをやっている人も多いと著者は感じている。
・著者は"やらなきゃだめなもの"とされてしまっているPTAをめぐる出来事を「これは自治(自分たちで決める)の話なんです」と伝えたいとのこと。
・「自治」は、少しトーンを変えて「適切な組織運営」、「良いネットワーク機能」などを変換するだけで、企業やPTAといった社会を維持するのに必要な、多くの人間集団の話に引き寄せて考えるきっかけにもなるはずと著者は語る。
・著者のPTA会長ライフは、間違いと、思い込みと、傲慢さと、葛藤と、小心さと、挫折の連続の話となったそう。
・PTA活動は、成功や栄光などなく、基本は全部うまくいかない話なのだ。
※著者のPTA会長ライフの詳細については、本書をお読みください。

・著者は、PTA会長退任の際、まだ見ぬ友人たちの力を引き出すための「思い出そう、十のこと」というメッセージを書いている。その内容とは、
◇一、PTAは、自発的に作られた「任意団体」です。強制があってはなりません。
◇ニ、PTAは、加入していない家庭の子供を差別しません。企業ではないからです。
◇三、PTAに人が集まらないなら、集まった人たちでできることをするだけです。
◇四、PTAがするのは、「労働」ではありません。対価のないボランティア「活動」です。
◇五、PTAのボランティア活動は、もともと不平等なものです。でも「幸福な不平等」です。
※六〜十については、本書をお読みください。

・本書では、「手荒い歓迎」「「変える」がもたらすもの」「現場という偉大なる磁場」「自分たちで決めるということ」「コロナ禍になって見えたこと」という章で構成されており、著者がPTA会長になるまでの経緯から任期終了までに体験した出来事、そこから学んだ教訓をまとめた内容となっている。

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