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福原正大「日本企業のポテンシャルを解き放つDX×3P経営」

・本書は、ビッグデータとAI、脳科学の知見を基にした、科学的かつデータドリブンなDX組織改革コンサルティングを大企業中心に行っている著者が、DX(デジタルトランスフォーメーション)に強い人と組織をどうつくるのか」を実現するために、「DX×3P経営」というアプローチについて紹介した1冊。

・2018年の経済産業省によるDXの定義
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
著者は「データとデジタル技術を活用して」という表現が気になっている。今やデータやデジタル技術は「活用」ではなく「前提」となっている。たった一語ではあるが、言葉遊びではなく、これが今DXに求められている大きなポイントだと強調したいとのこと。
・著者なりのDXの定義は「データとデジタル技術を前提とした組織と事業によって、顧客価値を大きく向上させるイノベーション」である。別の言い方をすれば、新産業を創造することこそ、DXの本質なのであると著者は考えている。

・「3P」とは、「ヴィジョンと哲学(Philosophy)」「人材戦略(People)」「プロセス(Process)」を指し、イノベーションを志向する企業の必須要素として語られているもの。

・著者が考える日本企業の問題
▷DXの本質について、経営トップで議論されているのか?
▷そもそものヴィジョンをアップデートしているか?
▷新しいヴィジョンとDXにふさわしい人と組織をつくろうとしているか?

・企業がDXを進める前に、
▷自社のヴィジョンは、以前の前提のままに留まっていないだろうか?
▷前提が変わりつつある世界で、自分たちはどんな未来を実現して、どんな顧客価値を提供しようとしているのか?あるいは、何を手放すべきなのか?
▷創造性を育むようなカルチャーをつくろうとしているのか?
という点についてしっかりと考え、自社なりの考え方を確立しておかないと、DXは成功しないだろう。DXを目的とするのではなく、ヴィジョンを実現する手段としてDXを進めるべきなのだ。

・すべての企業がDXに取り組むべきかといえば、必ずしもそうではない。デジタル時代に新産業を創造するためには膨大なデータが必要であり、またそれに投資するための資本が必要である。中小規模の企業であれば、アップストアやアマゾンマーケットプレイスなど、すでに他社が実現した産業プラットフォーム上で新しいビジネスを目指すという道もある。また、デジタルの「活用」によって既存ビジネスの効率化をすれば十分、という場合もあるだろう。DXという言葉が毎日のようにあちこちで使われているが、だからといって、すべての企業がDXをやればいいとは、著者はまったく思っていない。ただ、それだけでは長続きはできない可能性がいることも認識しておく必要がある。なぜならら今の時代の転換は、産業の進化のプロセスに過ぎないからだ。長い目で見ると、一定以上の規模の企業は、DXの要素を持ち合わせていなければ淘汰されてしまう危険性がある。「GAFAなんて、自分たちの業界には関係ない」と考えていたら、ある日突然、想像もしない形で競合になってしまうことが起こり得るのだ。

・本書では、「DX時代に企業は何が問われているのか」「DXの本質と日本企業の課題」「ヴィジョンと哲学・人材戦略・プロセスを問い直す」という章で構成されており、「現状からDXに強い人と組織のどのようにつくるか」について指南した内容となっている。

今いる組織のアップデートを考えたい方はぜひ本書を手に取ってみてください。

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