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伊藤亜紗「目の見えない人は世界をどう見ているのか」

・本書は美学と現代アートを専門とする著者が、視覚障害者の空間認識、感覚の使い方、体の使い方、コミュニケーションの仕方、生きるための戦略としてのユーモアなどを分析し、目の見えない人の「見方」を迫りながら、「見る」ことそのものを問い直した1冊。

・見えないことと目をつぶることは全く違う。それはいわば、四本脚の椅子と三本脚の椅子の違いのようなもの。もともと四本ある椅子から一本取ってしまったら、その椅子は傾いてしまう。でも、脚の配置を変えれば、三本でも立てる。つまり、見えない人は、耳の働かせ方、足腰の能力、はたまた言葉の定義などが、見える人とはちょっとずつ違う。ちょっとずつ使い方を変えることでら視覚なしでも立てるバランスを見つけている。目の見えない人になることとは、そうした視覚抜きのバランスで世界を感じてみるということ。脚が一本ないという「欠如」ではなく、三本が作る「全体」を感じるということ。

・見えない人が見える人よりも空間を大きく俯瞰的にとらえている場合がある。普通に考えるとら見える人の方が、「見通す」ことができるので、遠くまで空間をとらえていそうだか、そのことによってかえって「道」にしばられてしまう。だから、かえって見えない人の方が、目が見通すことのできる範囲を越えて、大きく空間をとらえることができる。視野を持たないゆえに視野が狭くならない。とんちみたいだか、私たちの先入観を裏切る面白い経験である。

・物をみた経験を持たない全盲の人でも「色」の概念を理解していることがある。「私の好きな色は青」なんて言われるとかなりびっくりしてしまうのだが、その色をしているものの集合を覚えることで、色の概念を獲得するらしい。たとえば赤は「りんご」「いちご」「トマト」「くちびる」が属していて、「あたたかい気持ちになる色」、黄色は「バナナ」「踏切」「卵」が属していて、「黒と組み合わせると警告を意味する色」といった具合である。

本書では、「見えない世界を見る方法」「空間」「感覚」「運動」「言葉」ユーモア」という章で構成され、目の見えない人はどういった空間認識か、どんな聴覚、触覚か、目の見えない人の体の使い方とは、見えない人の美術鑑賞などが紹介されている。

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