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小野尾勝彦「ガチャガチャの経済学」

・本書は、日本のガチャガチャ元年である1965年に生まれ、ガチャガチャビジネスのコンサルティングや商品の企画や開発を手がけ、現在に至るまで約30年間にわたってガチャガチャビジネスに携わり、業界の歴史やビジネス事情に精通した数少ないガチャガチャビジネスの伝道師として活躍する著者が、610億円もの市場規模を誇る、ガチャガチャビジネスのスタート(1965年)から現在(2023年)までの歴史や、ガチャガチャビジネスのしくみなど、知られざるガチャガチャビジネスについて解説した1冊。

・ガチャガチャ市場をけん引する二大要因は、
①専門店の登場
②女性ファンの急増
である。
・全国に置かれたマシーンの設置台数は推定60万台強であり、その数は全国にある郵便ポスト18万台を大きく上回る。
・また、設置場所が推定7万ヵ所であり、これは、全国にあるコンビニの約5万7000店舗を大きく上回るほどの数である。
・設置場所推定7万ヵ所のうち、近年増えているガチャガチャ専門店(ガチャガチャの森・ガシャココ・ドリームカプセルなど)が推定で500店舗ぐらいあり、ガチャガチャの中身をつくっているメーカーは現在約40社まで増えている。
※商品の年間の生産数量は推定2億2000万個であるが、メーカーの生産数の内訳については本書をお読みください。ちなみにある会社が、2億2000万個のうち1億個くらいを生産しているとのこと。

・近年のガチャガチャ市場の盛り上がりを語る上で、欠かすことができないのは、20〜30代の若い女性の増加である。
・現在も子どもたちの間でガチャガチャは人気だが、少子化で子どもの数が減っている状況で子どもの客だけで市場が拡大することはありえない。むしろ昨今のガチャガチャ市場は大人の女性客の増加によって拡大しているのが現実なのだ。
・ある調査によると、20代の51.9%、30代の50.3%が、大人になってからカプセルトイ(ガチャガチャ)を購入していると答えている。
(ちなみに同年代の男性の場合、20代の37.4%、30代は32.4%が同様の回答をしている)
・これまで、「キン肉マン」「ディズニー」「鬼滅の刃」など国内外の著名キャラクターものが定番中の定番であったが、この10年間は、著名キャラクターに頼らないガチャガチャオリジナルの「ノンキャラもの」(雑貨やミニチュア)などの比重が増えており、そのきっかけとなったのが、2012年の発売開始以来、現在までに累計2000万個というガチャ史上に残る大ヒットなった「コップのフチ子」シリーズである。
・この「コップのフチ子」の大ヒットをきっかけに、ガチャガチャオリジナルの商品が他のメーカーから続々とリリースされるようになった。
※そこからこの10年間、どのようにガチャガチャは展開していったのかについては、本書をお読みください。

・本書は、「市場規模は610億円へ!コロナ禍でも急成長したガチャガチャビジネス」「誰がつくって、誰が売っている?知られざるガチャガチャビジネスのしくみ」「フロントランナーに聞く、ガチャガチャビジネスで成功する方法」「カプセルレス、キャッシュも登場!進化を続けるガチャガチャビジネス最新トレンド」という章で構成されており、本書で、ガチャガチャの歴史から現在のガチャガチャのトレンドが学べる内容となっている。
また、巻末には、著者と、経済アナリストの森永卓郎氏の対談(ガチャガチャに学ぶ、今後のビジネスヒント)が収録されている。

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