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佐宗邦威「じぶん時間を生きる TRANSITION」

・本書は、BtoC消費財のブランドデザインやハイテクR&Dのコンセプトデザイン、サービスデザインを得意領域とし、NHKエデュケーショナル、サッカー協会など、バラエティ豊かな企業・組織のイノベーション支援を行い、東京のオフィスと生活の拠点である軽井沢を往復する働き方(二拠点生活)を実践する著者が、移住をきっかけに著者自身に起きた内的変化を、同じく移住をした人たちのインタビューを参考にしながら「じぶん時間」の視点で具体的に言葉にした1冊。

・コロナ禍が始まった当時、著者は、様々な企業からビジョンづくりやイノベーション支援についての依頼が届き、クライアントの期待に応えようと、時間効率を極限まで高め、移動しながら1日4、5件のミーティングをこなし、週に3回もの半日・1日ワークショップをファシリテーションを実施すると同時に、日々考えていることをSNSで発信、夜や週末の時間は、原稿の執筆、プライベートでは、キャリアアップと子育ての両立を目指すなど、時間不足に悩む生活を送っていた。
・そんな終わりのない時間不足に悩んでいた著者だったが、あるチームと一緒に、デジタルデトックスの体験をするプロジェクトに関わったことがきっかけで、「時間を「効率的に」使うのではなく、自分が過ごしている時間を、「自分を主語に」今は感じて豊かに過ごせるか」への転換が必要ではないか、ということに気づき、様々なきっかけが重なり、家族の拠点を軽井沢に移す決断をした。
※著者の軽井沢での暮らし、移住したことで働き方にどのような変化があったかについての詳細は本書をお読みください。

・『大人の時間はなぜ短いのか』(集英社新書)などの著書で知られる千葉大学の一川誠教授によると、体験するイベントの数が多いほど、知覚する刺激の量が多いほど、代謝が高いほど時間を長く感じやすいという。
・在宅ワークの場合、毎日見える景色が変わらないからイベントは少ないし、視覚・聴覚だけの情報で五感に感じる刺激も少なく、物理的に動かないので代謝も低い。だから、ただ、オンラインミーティングだけをして過ぎていく在宅ワークは、むしろ時間が早く過ぎ去ってしまうように感じられてしまうのだ。

・今の時代に「じぶん時間」を有効に使うためにできることのひとつとして、「ゆっくり歩いて散歩に行く」ということを著者は挙げている。
・自分がよく知っている近所に散歩に行く際、できればスマホは持たずに、普段の半分のスピードで歩くことを意識することを著者は提案している。
・最初は退屈だと思うかもしれないが、そのうち、近所に生えていた何気ない植物や、意外な景色に出会ったりする。
・著者は、真冬の軽井沢で散歩をした際、近所の葉っぱの落ちた道を歩く時に「冬なのに残っている葉っぱを採集しながら散歩しよう」というテーマを決めて、散歩した。すると、普段の荒涼とした冬の景色だった世界にも楽しみ方があったことに気づくことができた、とのこと。
※本書では、じぶん時間を有効に使うためにできることについて著者が7つ提案されているが、詳細は本書をお読みください。

・本書では、「グレートリセット 生まれた4つの内省」「トランジション 新しい自分に出会う」「新世界 24時間のポートフォリオを書き換える」「「じぶん時間」を取り戻す」という章で構成されており、「コロナ禍になって、人々はどのように時間の考え方(在り方)が変化したか」「転機における3段階とは」「方向はどのように決めていくべきか」「不安を飼い慣らす3つの方法」など、自身の移住経験などを通じて、本当の意味で自分の理想のライフスタイルを見つけるヒントとなるお話が収録された内容となっている。

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