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阿部悦子/矢吹紀人「伝統の技キラリ!暮らしを彩る和食器具」

・本書は、「信頼できる食情報」を届ける月刊誌「食べもの通信」の連載のひとつである「伝統の技キラリ!和食器具」の掲載原稿に加筆・修正を加えた1冊で、全国各地(関東・東海・関西・四国・信州・東北・北陸など)の職人の和食器具ならびにエピソードが収録されている。

・「食べもの通信」の「伝統の技キラリ!和食器具」は大量生産・大量破棄の経済で激減している職人さんを応援し、地球環境に配慮できるものがいい」という思いから2015年11月から連載がスタートした。

本書で紹介されている和食器具(一部)

和せいろ 麻彦商店(埼玉県)
・せいろには「中華せいろ」と「和せいろ」があり、中華せいろは底が浅く、ふたは薄い竹を編んだもので、強火では蒸気が逃げるため、中火以下で作るシューマイや茶碗蒸しなどに用いる。
・いっぽう、和せいろは、深さがあり、そこに竹のすだれをしいて、木のふたをする。湯を沸かした鍋に食材を入れたせいろをのせるとら木のふたが熱い蒸気を閉じ込め、一気に蒸すことができる。餅つき用のもち米や赤飯らおこわなど強火で蒸かす料理に最適である。
・さらに、和せいろは木が余分な蒸気を吸うので蒸し野菜も水っぽくならず、ホクホクに。茶碗蒸しやプリンも滑らかにおいしく作ることができる。また、魚や肉の蒸し料理も、せいろを使えば栄養やうま味が逃げず、骨が身からはがれやすい、余計な油が落ちてヘルシーなどと人気である。
・こちらで紹介されている和せいろは、麻彦商店の矢島清さんが作っており、腐りにくい吉野ヒノキを使用している。また、枠を留めるのは、収縮性に優れた吉野の山桜の皮である。
※和せいろの詳細やそのすごさについて知りたい方は、本書をお読みください。

銅製の茶器 長澤製作所(東京)
・荒川区指定文化財に認定された江戸漆器の第一人者、職人歴55年の角光男さんは江戸漆器の魅力について、「すし桶やせいろ、丼、重箱など商業用の道具として発展したため、丈夫さが勝負。半日、水に浸けても大丈夫」と胸を張っている。
・ほかにも、油汚れや付きにくくて落ちやすく、手入れが簡単。熱やアルコール、アルカリ、酸にも強く、更新作用があり、湿気の多い日本の気候に適している。
・漆はうるしの木から分泌される乳白色の樹液を、ろ過や精製して塗料にしたもの。現在、国産漆は激減したため、価格が高騰し、国産漆は国内消費量の1〜2%程度である。
・江戸漆器は、使うほどにつやが出て、風合いも増す。

※今回紹介した2点は、表紙に掲載されているものです。

・本書では、「台所道具」「食卓を彩る 食器類」の2章で構成されており、「ご飯用土鍋(滋賀県)」「ヘルシー蒸し鍋(三重県)」「鉄製の中華鍋&フライパン(長野県)」「南部鉄器の急須(岩手県)」「曲げわっぱの弁当箱&マグカップ(長野県)」など24の和食器具の概要ならびにマル秘エピソードが収録された内容となっている。

読み終えた後、普段、日常で使っている料理器具の見方が変わりますので、日本人である私達は、目を通すべきだと思いました。

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