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私を作った美術館5選

美術館がすきです。
静謐な空気の中、絵を眺める時間は何ものにも替えがたく特別です。

美術に対する造形は決して深くはないのですが、ただ作品や画家と、時代や場所を超えて対面する時間がすきです。

うつくしい作品に出会うと、色彩、造形、構図、タッチなどにただただ見惚れます。
頭を空っぽにしてしあわせになれるとても稀有な時間。

裸の魂を晒してるような生々しい作品に対峙して、画家に想いを馳せるのもすきです。
私の妄想力は美術館で鍛えられたのかもしれません。

最近はマンガ熱が強いので、時間を見つけて足を運ぶのはもっぱら原画展ですが、美術館巡りそのものも大好きです。

今回は、「私を作った美術館」をご紹介します。

①国立西洋美術館(上野)

初めて行ったのは高校生の時。
その後も何回も足を運びました。
人生で一番通った美術館です。

常設展の印象派コレクションが大好きで。
就活がうまく行かない時は上野に行って常設展を眺め、上野公園でオヤツをかじって気分転換しました。

クロード・モネ「睡蓮」

②ソフィア王妃芸術センター(マドリード)

大学生の頃、初めての海外旅行がスペイン3週間の旅で、その中で行った美術館です。

ピカソのゲルニカに衝撃を受けて30分ほど絵の前で固まってしまい…見終えたあとにベンチにへたりこみました。
あんなにも疲れる作品は初めて。

目をそらしたくなるような戦争の苦しみ
内臓がよじれるような魂の叫び
一方でモノクロでシックな色使い
完璧にバランスのとれている構図

苦しみと美が両立する不思議

教科書で見た時には「ふーん」で終わっていたゲルニカは、想像を遥かに超える強い強い力を持っていました。

ちなみに世界的に有名なこの作品を30分見ている間、他の人に邪魔されることはほとんどありませんでした。
東京の特別展ならあり得ない。

ここで海外の美術館の面白さを知ったと思います。

パブロ・ピカソ「ゲルニカ」

③オルセー美術館(パリ)

スペインで味をしめ、大学生活はバイト代を海外の美術館巡りにつぎ込むようになりました。
格安チケットで今よりずいぶん安く行けたので。

パリにはすてきな美術館がたくさんあるけど、オルセーは「住みたい!」と思った最初の美術館。

1週間の滞在中、毎日あちこちの美術館に足を運ぶ中で、オルセーは3度行きました。

ほどよい広さと選りすぐりの名作ばかりなのが最高です。

フィンセント・ファン・ゴッホ「星月夜」
クロード・モネ「日傘の女」

④ベルヴェデーレ宮殿(ウイーン)

ウイーンはあちこち旅した中でも特に好きな街。

ベルヴェデーレ宮殿には美術館も併設されていて、上宮にはウイーン分離派のクリムトとシーレがたくさん!
クリムトの繊細できらびやかな美しさ、シーレの力強い生命力を感じられます。
宮殿も優美で終始目が喜ぶ。

ふたり共通のテーマに「生と死」「エロス」があるそうですが、描く絵の方向性は真逆なのが面白い。
クリムトが優美ならシーレはおしゃれ。

当時大学生の私には特にシーレの力強さがガツンときました。

ふたりとも代表作は人物画中心ですが、私が惹きつけられたのはシーレの風景画でした。
退廃的で、でも生への渇望に満ちてる。
風景画にエロスを感じたのは初めてで衝撃でした。

グスタフ・クリムト「接吻」
エゴン・シーレ「四本の木」

⑤細見美術館(京都)

もっぱら印象派前後の絵がすきだったのですが、東京国立博物館で対決展(※)を見て突如日本画にハマりました。

※ 対決ー巨匠たちの日本美術
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=55

それまで西洋画ばかりだったのに、雷に打たれたように琳派ファンに。

ハマると一直線な私。
週末になると、琳派作品を観られる都内近郊の美術館を探して、せっせと足を運びました。
ちょうど琳派展があちこちで開催されていたので
充実してました。
熱海のMOA美術館にも行ったかな。

細見美術館はその年の新婚旅行で初めて訪問しました。
その後も数回訪問。

琳派の名品をたくさん所蔵していて、こじんまりとしているけど充実の時間を過ごせます。
グッズもおしゃれ。

ここも「住みたい!」と思った美術館です。

琳派では鈴木其一が特にすきです。
はっとするくらいパッキリと明快な色使い、理知的でモダンな構図。
でも扱うモチーフは可愛くて、どことなく優しい目線を感じます。

鈴木其一「紫陽花四季草花図」

※琳派だと、尾形光琳の道楽ボンボンならではのリッチな洗練っぷりもたまりませんが、細見美術館ではあまり見たことがないかも。

琳派の画家は面白くてキャラ立ちしてる人が多いので、もっと小説やマンガで取り上げられたらいいのにな、と思ってます。
馴染みの薄い層にも日本画人気が出たら嬉しい。

その他に好きな美術館

ダリ劇場美術館(フィゲラス)
ミロ美術館(バルセロナ)
ゼセッション館(ウイーン)
フンデルトヴァッサー美術館(ウイーン)
テート美術館(ロンドン)
MoMA(ニューヨーク)
笠間日動美術館(茨城)
川村記念美術館(千葉)
千葉市美術館
相国寺承天閣美術館(京都)
ポーラ美術館(箱根)
山形美術館(山形)

どの美術館も小一時間語りたいくらい大好きなのですが、きりがないので名前だけ。

こじんまりとしていて、バランスのよい展示をしているところが好きかもしれません。

あと常設展があるほうがすき!
その美術館のカラーや大切にしているものが明確な気がします。

ルーヴル、ナショナルギャラリー、メトロポリタンのような超大型ミュージアムも行ったけど、広すぎて1〜2回じゃ全体を把握することはできず。

有名作品が目白押しなので興奮はするんですが、愛着は生まれなかったです。

でも本当の芸術好きならルーヴルにこそ住みたいんだろうな、と思うので、私のアプローチは独特なのかもしれません。

アプローチの仕方がこちらに丸投げされてて、好きに向き合えるところも美術館のいいところです。

いつか行ってみたい美術館

諸橋近代美術館(福島)
MIHO MUSEUM(滋賀)
田中一村記念美術館(奄美大島)
グッゲンハイム美術館
ワシントン・ナショナルギャラリー
ボストン美術館
シカゴ美術館
ノルウェー国立美術館

特に国内!
なかなかチャンスが巡ってこないのですが、いつかきっと!


今回の記事は、過去にTwitterで投稿した内容に加筆したものです。

140文字でこれを伝えようとしてた私、無茶苦茶だな?

そのうち原画展の感想なんかもまとめたいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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