甘くて 温かくて 柔らかい
もうすぐ冬がくる
指先がじんじん冷えて
たくさん着込んだ服はもそもそして
人混みの中をくねくね掻き分けていると
早くあの空間に包まれたいと願う。
わたしは
スタバのキャラメルスチーマーがだいすきだ。
甘いキャラメルシロップが溶け込むホットミルクに、煌めくキャラメルソースのリボンを纏うホイップクリームが美しく浮いている。
スタバの柔らかい照明と
心地よい音楽に包まれ、
珈琲豆の香りに癒されながら、
空いている席に滑り込む。
白く ころんとした可愛らしいマグカップをそっと両手で包み込み、黄金色に輝くホイップの山をうっとりと眺める。
そっとひとくち
甘く香ばしいキャラメルがホットミルクに優しく包み込まれ、わたしの中にとろりと流れてくる。
からだの奥から、じんわりと温まる。
いつの間にか、指先の冷えも治まった。
いつもそうだった。
受験勉強が苦しくて、模擬試験の結果表をぐしゃぐしゃに丸めたとき
試験当日の朝に、緊張で震えが止まらなかったとき
卒業論文の指導が多くて、一生結論にたどり着けない気がしたとき
就職活動のための自己分析で、空っぽな自分に嫌気が差したとき
上京してホームシックになり、家族写真を見て涙が止まらなくなったとき
仕事で身に覚えのないことで酷く叱責され、黙って耐えたとき
人生最大級の失恋をして髪を30cm切っても全く気分が晴れないことに気付いたとき
結婚を両親に許してもらうための方法に悩んだとき
自分の病気と不妊治療に直面したとき
産後うつに飲み込まれたとき
いつもスタバのキャラメルスチーマーがわたしをそっと優しく包み込み、じんわりと温めてくれた。
体だけでなく心まで冷えきってしまいそうなとき、わたしはスタバのキャラメルスチーマーに温めてもらうことを習慣にしている。
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