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企業研究ならHPより「中経」もおもしろい

#中経 #中期経営計画

中経とは「中期経営計画」のことだ。その会社が向こう3〜5年ほどで達成したい目標を具体的な数値をもって取りまとめることだ。その数値を達成するために会社がこれからやっていく施策なんかが記されている。

株主に対して、あるいは従業員は外部に対して会社の方針を明確にするために定めている会社はある。ただ義務があるわけじゃないし、外部に公表しない会社もあるも。

むろん作っていない会社も多い。

従ってしっかりと中経を作って、ネット上で公表している会社は大手だけとなるが、もしも志望している会社の中経が見れるなら見ておくのもよい。

まぁたぶん有価証券報告書なみにわからないことが多いだろう。
少しだけ有価証券報告書の見方を説明した記事はこちら↓

ちなみに中経は2000年ごろから始まった、日本企業独自の文化なのだそうだ。
欧米では中経に相当するようなものはないのだとか。

しかしまぁ企業のVisionを具体的に知る上で、貴重な情報源ではある。中経の策定には実は賛否あるようだが、就活で使える情報は使おうではないか。

中経にフォーマットはない。トレンドはある

中経は企業が独自に作成するものであって、基本的にフォーマットはない。経営者が自由にVisionを描くフリーの資料となる。

したがって有価証券報告書なんかと違ってパターンはないから、ものすごーくわかりやすい中経もあれば、その会社の経営幹部以外は理解できないだろーなーという中経も結構ある。

しかし中経にはトレンドがある。どうしてもその時、その時代の世論の影響をもろにうける傾向があるのだ。例えば近年では「サステナビリティ」や「SDGs」「人的資本経営」という言葉を入れた中経が多いことだろう。

ちなみにプレコロナの前に、中経を100社分くらい集めてきてテキスト分析を行ったことがある。その頃は「従業員満足度」「エンゲージメント」「DX」というキーワードが多かった。

DXはわかるが、当時はブラック企業がどうのこうの、過労がどうのこうの騒がれていたのだろうか?なんだろう。プレコロナの記憶が薄い・・・。

もっと昔、例えばリーマンショック直後の中経とかだったら、また一味違ったキーワードで埋め尽くされていただろう。

残念ながら中経をアーカイブ的に保存、公開している企業は多くない。なので昔の中経を拾ってくるのは結構むずかしい。

よって多くの企業の中経のトレンドの変化を追い続けることは難しいのだ。よほどのマニアでなければ無理だろう。

しかし中経の読み解き方はこういうルールだ。どの企業も違う言葉で、同じテーマについて話すことが多い。例えば5つの目標があったのなら、そのうち3つくらいはどの企業もトレンドを押さえた同じテーマの可能性が高い。

企業が同じテーマをどう表現するか、どう実現するかを理解する読解ゲームなのだ。

実際に中継を見てみる

Googleで「中期経営計画」を検索してみる。企業の中経でトップに出てくるのは三菱商事だ。これを開いてみよう。

作成日が2022年とあるので、同じ中経の3年目と考えてもよいかもしれない。

細かいところは飛ばしていって、「中期経営計画2024の骨子」というページがわかりやすい。やはり脱炭素系の話、サステナビリティ、人的資本経営に関するワードが表現されていると読める。

その他はDXや内部統制関連といったあたりか。

ざっくり斜め読みをしていくと、同社は売上の拡大を優先的な目標に置いているわけではない。また一時期流行った「従業員満足度」「エンゲージメント」向上の方針も見られない。

また「顧客」というキーワードが

同社は多くのページにおいて、自らが作成した「カーボンニュートラル社会へのロードマップ」への取り組みを重視しているように見える。

大手企業として社会的責任を果たすことがここ数年の最優先事項と経営は考えたのかもしれない。

新卒がこれを読み解いた時に、さすがは大手は自社と自社の取引先以外にも目を向けていると考えることができるだろう。社会的に影響力の高い企業だというような評価だ。

一方で随所にカーボンニュートラルに向けた取り組みや、従業員にむけた人的資本経営、ステークホルダーに対する方針が描かれているものの、「顧客」というキーワドが極めて少ない中経でもある。

「顧客満足度の向上に努めます」はよく中経のポイントなので、この辺りをどう評価するのかも、読者次第だろう。
まぁ十分に満足しているだろうから、あえてやることはないという話なのかもしれないが・・・。



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