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東洋陶磁美術館 リニューアルオープン記念特別展「シン・東洋陶磁―MOCOコレクション」

コロナ禍を利用して、なのかどうか定かではないけれど、2年間という長い休館を終えて、ついに今年リニューアルオープン。

コロナ前に一度訪れてとても楽しかったので、是非また再訪したいと思い続けていました。

今展示はリニューアルオープン記念に相応しい、自慢のコレクションからさらに選び抜いた珠玉のセレクションを惜しげもなく並べて、本当に楽しい展覧会となっています。

陶磁器と言うと魯山人や波山など気難しいおっさんがしかめっ面して作ってる印象があるけれど(僕だけ?)、作家名が冠された芸術作品ではなく、祭祀や王族の暮らし、あるいは庶民の生活の中で使われてきた器や祭具が、長い時を経て幸いにも破損せず遺り、歴史の証人として、当時生きた人びとの息遣いを伝える。そんな展覧会です。

展示会場への階段
打ち放しのコンクリートの壁も湾曲している
イメージキャラクターのmoco
こう見えて虎らしい

理屈は抜きにして、造形や色、佇まいに惹かれるものを感じる作品の前でゆっくりと時間を過ごす、そんな楽しみ方でひとときを過ごしてきました。

陶磁器の鑑賞には自然光が一番とのことで、作品に自然光が当たるような工夫がされているそうです。

そのせいかどうか、とにかく展示室の居心地が良く、作品がとても身近に感じられます。

陶磁器について分かりやすい説明もサイトにあるので、それを読みながら観て回るのも楽しいと思います。

どちらかと言うと美術館より博物館寄りの展示かとは思いますが、それでも、形の面白さ色の美しさは、やはりアートとして心に響くものがあります。

いくつか印象に残る作品をご紹介。

まるで現代アートのような
愛嬌ある表情の牛
滋味深いオリーブ色が印象的
唐の理想の女性像その1
ふくよかでチャーミング
唐の理想の女性像その2
先程違ってスリムすぎる〜
本物の枯れ葉を焼き入れた木葉天目茶碗

他にもたくさん魅力的なものがありますが、最後に国宝「油滴天目茶碗」について触れておきます。

観る角度で全く表情を変える

曜変天目ほどの希少性はありませんが、油滴天目の美しさも目を瞠るものがあります。本当に見惚れます。
美術館には、VRを活用して、実際に茶碗を持って動かすと、それと同じ動きをする油滴天目がモニターに映し出されるという体験コーナーがありました。これがまた、大興奮の体験でした。

思いのままに油滴天目を動かせる

この東洋陶磁美術館は、安宅産業という企業の創業家の安宅英一氏が集めたコレクション(所有権は安宅産業にあり、会社の資産としてコレクションしたそう)が元になっていますが、安宅産業が倒産の憂き目に合い、コレクション散逸の危機に瀕したところを、住友銀行がコレクションを引き受けることで救いの手を差し伸べ、さらにそれを大阪市に寄贈して美術館開設に辿り着いたそうです。
この辺りの消息はwikipediaに詳しい。


併設のカフェで休憩
カフェだけでも利用できます

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