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"強豪校" 関西学院大学

関西地区の大学陸上にその名を轟かす関西学院大学。しかし、彼らが「強豪校」と呼ばれる裏側には様々な苦難や努力がありました。
強豪校の伝統を継ぐべく、日々様々な工夫を重ねる長距離パートのキャプテン、富家慈就さんにチームの目線から語ってもらいました!

1.駅伝を見据えた1年間

「関学は前期と後期で目標が違うんです。」

富家さんは最初にこう語りました。

関西学院大学は、9月まではトラックで結果を残し駅伝につなげ、9月から11月にかけては駅伝に特化し練習を重ねていきます。

昨年度の関西インカレでも圧倒的な力で男子1部総合優勝を収めた関学ですが、長距離パートにとってトラック種目は駅伝を見据えた土台作りでした。そのためにもまずは駅伝を見据える前に駅伝に出場できなければ意味がありません。前期は全日本大学駅伝選考会を中心に、確実に通過していくことをチームの目標として掲げ、またトラック種目でも実績を残すことで駅伝への精神的な弾みにもなると富家さんは語りました。9月以降はトラックがシーズンオフとなるので駅伝へ向けて練習内容をシフトします。

「練習には専用のトラックを利用することが多いですが、学校の近くにある武庫川の河川敷や兜山の坂道を使って坂対策を行います。」

丹後駅伝のコースは自然の地形を活かした独特なコースで、大学周辺の自然を利用することで本番を想定した練習が積めています。

また、部員数も多いため最初のジョグはキャプテンが部員の人達と駅伝のことや選手の体調のことを聞いたりする場所になっています。

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「関学の陸上部は他の大学よりも人数が大きく中長距離パートだけでも約40人もいます。部員が多いことで色々なことで助け合いができます。」

富家さんは関西学院大学陸上部での大きな魅力としてこのように話してくれました。さらに、お互いに引っ張りあえるところも大きな強みだといいます。例えば試合では、故障者が出た時に直ぐにメンバー変更を行うことができ、また練習では主力のメンバーが練習をしている時に他のメンバーが協力してペースメーカーをして質の高い練習を行うことができるそうです。

——しかし、人数が多い分なかなかチームがまとまらない側面もあるそうです。

2.強豪校であり続けるために

「うちのチームは余裕で勝てるほど強くないんです。」

関西インカレ男子1部総合優勝や丹後駅伝でも3年連続準優勝と、関西ではトップレベルの強豪校である関西学院大学ですが、常にギリギリの戦いを乗り越えてきた過去がありました。

昨年の丹後駅伝のチームは4年生が戦力の中心で、4年生が欠けてしまった今年のチームは不安だったといいます。また4年生の先輩からは「来年のチームは頑張らないとやばいよ」という言葉もかけられたそうです。

その中で長距離パート長に任命された富家さんはチームの強豪校というネームバリューを守るため様々な取り組みをしました。河川敷でのジョグでは、富家さんが疲労などの体のことや調子についてメンバーに聞いていくことで、練習をしながらチームの状況を把握することに努めています。

また富家さんは年の前期と後期の2回に長距離メンバーと1対1で面談をし、各々の目標を明確にすること機会を新たに設けました。個人の実力が向上し、結果としてチームの目標に近づくためには必要であると富家さんは考えており、チーム全員がそれぞれ危機感を持ち強豪校であり続けるために冬季練に取り組んだそうです。

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工夫を凝らした冬を超え、迎えたシーズンイン。

4月の関西インカレロードの部ではチームの主力である守屋和希さんが優勝し、良いスタートダッシュを切りました。そして6月13日、全日本大学駅伝の選考会では立命館大学に23秒差に迫るタイムで全体として2位、また3位の大阪経済大学に約2分30秒の大差をつけ全日本大学駅伝への切符を獲得しました。しかし表面上は余裕の選考会突破でしたが、実はメンバー10人中2人が疲労骨折していたそうです。もし選考会前に疲労骨折が判明していたら———。
記録上は「強豪校」でしたが、その裏側には極限の戦いがありました。

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3.丹後路へ馳せる想い

「立命館大学の一強を倒し連覇を阻止したい。」

富家さんは力強く語ってくれました。今年のチームは富家さんが経験した4年間の中で最も縦横の繋がりが深く、このメンバーでやってきたからこそ立命館大学を打倒したい、そう感じるそうです。また富家さんは今年を勝ち抜くことで来年への礎を築き、後輩にチームの想いがこもった襷を繋ぎチーム内の繋がりを来年以降にも継承できるよう最後の2ヶ月間いいチーム作りに励んでいきたいと、来年をも見据えたパート長としての思いを語ってくれました。


——しかし、関西の天辺を決める大一番は一筋縄では行かないようです。「2018年の丹後駅伝から3年連続2位でずっと銀メダルなんです。」
富家さんが経験した3年間の丹後駅伝をそう振り返りました。

「今年は例年にも増して気が抜けません。」

そう語った富家さんは今年の選考会からの他大学の動向を危惧していました。全日本大学駅伝選考会前、チームの中でのライバルは立命館大学、京都産業大学、びわこ学院大学、関西大学を挙げていましたが、蓋を開けてみると予想外の結果がそこにはありました。伊勢への切符は3枚。その最後の3枚目を勝ち取ったのは大阪経済大学でした。関西の駅伝ファンが驚愕したこの事実をチームも見過ごすことはできません。ノーマークだった大阪経済大学が勝ち残れたことを、練習もうまくいきチームとしての雰囲気もとてもいいのではと富家さんは分析します。実際に出雲駅伝では主力となる田中優樹さんはメンバーから外れ、大阪経済大学に40秒差で敗北。丹後駅伝前に苦しい現実が待っていました。

また富家さんは続けて「敗北を知る京都産業大学も強敵になるかもしれない」と語りました。富家さんが三日月を背負って走り出した2018年、チームは全日本大学駅伝選考会で敗北し出雲と全日本に出場することは叶いませんでした。その悔しさを晴らすべく挑んだ丹後駅伝では、その年の両大会に出場した京都産業大学と大阪経済大学を抑え準優勝の結果を残しました。

「悔しさをバネに全力で来るのでは。」

2年前の自分達と多くが重なる京都産業大学も富家さんは危険視しています。また、びわこ学院大学は昨年の全日本大学駅伝を経験しているメンバーがいること、関西大学は10000mの平均タイムが高くチームとしての総合力があるため今年の丹後駅伝は気を抜けないと富家さんは語ります。

関西地区の大学駅伝の上位争いは例年以上に熾烈を極めます。

チームでは日本インカレの10000mで日本人トップでフィニッシュした上田颯汰さん、全日本大学駅伝選考会でチームトップの成績を収めた田中優樹さん、関西インカレロードの部で1部優勝を果たした守屋和希さんを中心とした練習が展開されています。特に守屋和希さんは8月の夏合宿の月間走行距離が1000kmを超え、帰省期間中もひとり長野で合宿を行うほど練習を積み調子も上がっているそうです。

チームの中での練習の基準が上がることで「あいつがやってるなら俺だって」と言った、互いに切磋琢磨し、メンバーの人数を比較すると数少ないチームとしての駅伝出場枠を賭け、全員で上を目指すとてもいい環境で練習ができているそうです。集大成の丹後駅伝へ向けて状況はとても良いと富家さんは語ります。

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11月7日午前8時5分には全日本大学駅伝の号砲が、11月20日午前7時45分には丹後駅伝の号砲が打ち鳴らされます。
丹後駅伝はあすリートチャンネルにてLIVE配信予定です。

三日月の戦士たちの活躍に是非ご注目ください!


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