つわりが教えてくれたこと

およそ10週間超に及ぶつわりから脱し、無事に安定期を迎えた。40度以上になるインフルエンザもノロウイルスやカンピロバクターによる胃腸炎も複数回経験してきたが、29年間の人生の中で1番辛い時期だった。結構地獄。

これだけは途中で離脱する方がいる前に言っておきたい。
つわりはお腹が大きくなる前、つまり妊娠発覚前後〜お腹が目立ってくる頃の期間で起こる人が多い。「お腹が大きい=つわりで大変」と思っている方に数名出会ったので、ぜひ覚えておいてほしい!本当に!(つわりは個人差が大きく、全く無い人もいれば産むまで続く人もいるし、妊娠悪阻と診断され入院が必要な人もいる)

辛すぎる!!という記事はこの世に山程あるので同じことを書いても仕方がないのは分かっているが、どうにもこうにもどこかで吐き出さねば帳尻が合わない(何の?)と思ってしまった。

尚、このnoteで以下のことは書かない。

  • 具体的な症状の詳細

  • つわりがいつ始まり、いつがピークで、いつ終わったか

私自身、つわり期間中は狂ったように毎日自分と同じ週数の人のSNSを探しては「もうすぐ終わるかも(終わらない)」「この人より軽いから頑張ろう(だとしても辛すぎ)」など一喜一憂していた。つわりに苦しむほぼすべての妊婦にとって他人のつわり事情ほど本質的に為にならず、精神的にしんどくさせるものはないと学んだので、敢えて書かないことにした。

当たり前すぎて自覚したことがなかったが、わたしにとって大事なものをつわりは教えてくれたんだ、というポジティブな目線で出来るだけ書きたい気持ちはある。

美味しく食べ物を食べる喜び・楽しさ

つわり中、これまで好きだった食べ物にも苦味を感じて不味くなり、食べたいものが極端に減った。それなのに空腹は吐き気を引き起こすため、辛うじて食べられるものだけを1日7食に分けて食べていた。
気分の良い日にスーパーに行くも何もカゴに入れられず、勿論食べたいものもないので料理もできなくなった。献立アプリを開いてもたくさんの料理の写真に気持ちが悪くなった。
これまで当たり前に食べていたものを口にしても味が違う、美味しくない瞬間は絶望そのもの。

少しずつ食べたいものや食べられるものが増え、口に入れて「美味しい」と感じたとき、本当に幸せだった。高級料理でなくていいのだ、何でもいいから食べ物を美味しいと感じられることは幸せなことだと思った。

ちなみに妊婦健診後は決まって元気で、ミスドのポン・デ・リングと担々麺とご褒美のカフェラテのセットを平らげていた。(カフェインも摂り過ぎなければよいとのこと)

自分の理想の外見を維持できること

ほぼ毎日、夕方以降は特に気分が悪く、もう無理…と横になることが増えた。横になったら起き上がることは困難で、気持ち悪さを押し殺して寝落ちさせた。酷い日は寝る前にお風呂に入ることも歯を磨くことも顔を洗うことも諦めざるを得なかった。
それでも朝は来るので、寝起きの空腹による不快感を抑えるため、起きてすぐにパンと牛乳を胃に入れ、9時頃には酷い身なりで仕事を開始する。
後に学んで、食後すぐに歯は磨き、日中にお風呂に入ることにした。それでもお風呂は2日に1回が限度という日が数週間続いた。

そして、大人になっても悩まされていた肌荒れ。美容医療や皮膚科医療の力も虚しく、ホルモンの急激な変化によって顔全面にニキビと湿疹が再発。医療脱毛で全身脱毛した体も毛深くなった。お腹が毛深くなるのは赤ちゃんを守るためかな?とまあ許せるが、その他部位については許せない。出産すると戻るらしいが、一時的であっても30万円は軽く投資しているので結構悔しい。

ちなみに、バストアップを期待したが、思い描いたバストアップとは程遠く、青い血管がデコルテから胸にかけて浮き出てきて全然美しくない。来世に期待だ。

やりたい仕事をやりたいときにできること

これが私にとって一番大きかった。酷いと週2-3回は夜な夜な突然泣き出しては夫に嘆いていた。

やりたいこと・やるべきことはあるのに、体が全然追いつかない。ミーティングは想像以上に体力を奪うため30分が限界。黙々やる作業ですら、日によってはモニターに映る字を追うだけでウッとなった。
一部メンバーには妊娠発覚直後に報告していたため協力してくれて本当に本当にありがたかった。それでも、みんなも忙しい中で仕事をしているのに自分だけができない事実を「つわりだから仕方がない」と受け入れることは難しく、ただただ苦しかった。

わたしが自分に感じる存在価値や、日々の達成感や充実感の多くは仕事から得ていたようで、それが思うようにならなくなったことで自分の価値がボコッと失われた感覚だった。とはいえどうすることもできず、元々蓄えていたHPを削り、HP0になる前につわりが終わることを祈った。最後の方は「いっそのこと休職したほうが気持ちが楽なのでは」と思い始めており、HPは枯渇寸前だったと思う。

結局、突然泣く頻度が上がって自分に怖くなったので、仕事を丸2日間休んだ。久しぶりにきちんと着替えてメイクをして外出したり、買い物をしてみたりすることで「きちんとわたしも生活できる」と自信が持て、元気に復帰できた。


あまりにも溜め込んでいたので長くなったが、わたしがつわり期間で失い、気付いたことは以上だ。辛かったね、偉いね自分。
つわりは肉体的にも負担があるが、精神的にもかなり負担がある。わたしは後者の方がきつかった。1日がとてつもなく長く、終わりが見えない。これからの数ヶ月も同じように悩み苦しむことがあるだろうが、なんとなく頑張れると思う。この10週間も頑張れたのだから。

そして、夫の存在が大事すぎたので感謝とともに。
正直なところ、妊娠は女性だけに負担があると思っていた。確かに生物学的に直接の肉体的負担が女性にかかってくるのは事実ではあるが、その間の男性は果たしてラクなのか、という話だ。
(少なくともわたしの夫は)暗い顔ばかり、そして突然泣き出して毎回同じことで嘆く大人を目の前に、話を聞いてなだめて落ち着くまで隣にいて。家事を全くしなくなったことも咎めず、妻の食べたいものを買いに行き。

まだ外からは妊婦に見えないのに、まるっと変わってしまったわたしと二人の生活を受け入れてサポートするのは容易ではないと思った。夫は「別に何もしていないよ」と言っていたが、わたしが逆の立場なら同じようにサポートできただろうかと不安になる。

今後も多くのサポートをしてもらうことになると思うけれど、まずはここまでの手厚いサポート、本当にありがとう。いつかまた一緒にお酒を飲める日が楽しみです。オクトーバーフェストで炎天下の中でビールとチョリソー食べたいなあ〜、あとマグロマートも行こう、家だったらピザパーティーもアヒージョパーティーもいいな。

あいかりん

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