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マリアビートルHollywood Remix(a.k.a『ブレット・トレイン』)への異常な愛情 または私は如何にして二次創作を再開して潤安を愛するようになったか



4/2現在。未だに有料レンタルだけなんですけど、祝わせろ。

祝!!!!トンチキ弾丸列車アマプラ見放題解禁!!!!(4/7より、吹替字幕両方とも)


まともな方のおれ「待って」


↓完全にノリと勢いだけで作ってしまった駅名標パロ。イかれてる?何でかなぁ、他の記事でもそんなこと言われたっけ?おれは全然普通だよ

ブレトレはいいぞ。


いやもういつか来るとは思ってましたよ。有料レンタルならもう解禁されてましたからね。米国版ネトフリパイセンは早々と解禁しておりましたが、やはり日本は長い。遅い。お膝元たる日本でこんな遅くて大丈夫か??と白目を剥いていたおれですが、Twitterでやはりこの通知を見るとまぁ上がったわけで。


や っ た ぜ(歓喜の舞)


となって思わずスマホをぶん投げそうになりました。そうだね、おれは全然普通じゃないね。


ブレット・トレイン。

またの名をトンチキ弾丸列車。


伊坂幸太郎先生の傑作エンターテイメント「マリアビートル」に、外国人もといアメリカ人が考えるトンチキ不思議の国ZIPANG(追加して不思議の国MEXICO)幻想と、そのくせやけにリアルな日本要素と(スマートトイレのくだりは劇場で爆笑しそうになるのを必死に堪えてました。トイレと戯れるレディバおじちゃんカワイイネ……)頭がバグるくらいに可愛すぎるオジサマ筆頭ブラピと、トンチキ映画と呼ぶにはあまりにも多量の原作へのリスペクトをぶち込んだ挙句、ハリウッド映画という大鍋でかのデッドプール(二作目だけどね)を実写化した監督が強火で煮込んだ結果生まれた、まぁ阿呆な映画です。景気よく人は死ぬし吹替ではひたすらに口の悪いツダケンが大暴れ。血が景気よく出るし首は飛ぶのでR15指定食らってますが、痛々しいグロさは控えめで寧ろ「殺し屋が派手に死んだ!!(いい笑顔)」「このひとでなし!!(いい笑顔)」となるノリと勢いなので、あまり生々しいバイオレンスが得意でない人も安心設計。完全にグロ耐性無い人はきついと思いますけどね。

率直に言ってB級映画です。キャストはA級だけどな。しゃぁないね主演ブラピだもの。かわいいかわいいレディバおじちゃん。(白目)


中学生くらいから伊坂は読んでいた(なお、昔は流石にこんなのではなかったため、魔王JRを読んで「!?!?」と目を白黒させてた記憶がありました。かつてのおれには潤也さんのぶっ壊れっぷりは刺激が強すぎたらしい)おれ、マリビがまさかのハリウッドで実写化という一報を聞いてからソワソワしておりました。グラホ実写版ももちろん観ております。色々と賛否分かれるものとなってましたがおれ的には「有り」でした。主に岩蝉的に。こっちの媒体の岩蝉もこれはこれで美味いな……と思ったおれは確かに普通じゃない

↑グラホ実写版。鯨さんと槿さんは個人的には解釈違いでしたが、岩蝉と鈴木先生はこれもありでしたし、あと紫髪のbba──もとい妙齢女性じゃない比与子さんが見れたので万事オッケーですぅゎ菜○緒さんっょい

大須賀先生も観るんやろうか、などとあほなことを思いつつ、公開翌週の劇場に足を運んだわけですが。


おれ「たのしい」


原作へのリスペクトを忘れずに、それでも好き放題魔改造と違法建築を積み重ね、まさしく「正確にはマリビではないけどたしかにマリビである」を体現してみせたゆかり号の旅路。観終わった瞬間には興奮のあまり、次回乗車分のチケットを取ってしまっていたおれは、確かにこの魔改造をこよなく愛しておりました。なんやかんやで7回映画館に通ったもんおれ。個人最高記録更新です。たのしい。

いやほんとマリアビートルではないんです。東京発盛岡行きの東北新幹線は東京発京都行きの東海道新幹線へ(大阪の民、新大阪が華麗にスルーされて白目を剥く)という、設定上の最大の変更を筆頭に、違法改造された点は数しれず。米原駅は少なくともあんな霧の秘境ではないよ

あと地味に好きな点がですね、ブレトレの本編は126分なんですけど、この時間が実際の東海道新幹線の東京〜京都間の大体の時間なんですよね。(のぞみ号の場合130分くらいなんですほんまに)ここが地味に大好きなんですよ。マリアビートルは文庫にするとかなり頁数の多い長編なわけなんですが、上手く映画映えするように内容を濃縮した結果、現実の新幹線乗車時間と近くなったのが本当にエモエモです。これデヴィッド・リーチ監督狙ってないよな??狙ってたら全裸で土下座します


ともかく、鑑賞後半年以上経ってるくせに、あの日の衝撃をおれは未だに覚えています。これはマリアビートルではない、という鑑賞後感なのに、これはこれでドチャクソ楽しくて癖になる。それに崩すところは極限までぶっ壊しているのに、きちんとマリアビートル本来の骨格は尊重して、日本での実写化だったら実現不可能なレベルの「トンチキエンターテイメント」に仕上がっていたというのが、もう完璧オブ完璧でした。鑑賞後の頭の中はまさに「わーい!!たーのしー!!!」と異常な盛り上がり。


──待てよ?

なんでおれは、この魔改造が、こんなに楽しいんだ??


鑑賞後の居酒屋で、七尾くんことこの世界線ではレディバおいたんのかわいさに頭を灼かれながら、エルダーじいじ無双の名残をアテにひとり酒を飲みながら、おれはそう頭を悩ませました。

原作からブレットトレイン。それこそ、頭が可笑しくなるほどの数多の改変と、解釈の変化に満ち溢れています。それこそ過激派原作至上主義者の人はブチ切れてちゃぶ台をひっくり返すほどの。それなのになんでおれは、この魔改造をすんなり受け容れられたのだろう。
ツッコミどころ満載のトンチキ日本で(少なくともジャパニーズ・ヤクザが全員日本刀を帯刀してるわけではない)、エルダーじいじが麻倉未稀をBGMに新幹線内で無双して(なおその直後にモーコンをキメていたせいで、その後の乗車のたびにエルダーじいじが『Get over here!』と言う幻覚を観たおれです。モーコンもいいぞ。景気よく人が死ぬ映画おれ大好き)。

王子が女体化されていて(そのおかげで映画版のプリンス『ちゃん』は映画版のプリンスちゃんならではの味が出ていて、おれは『別世界のプリンスちゃん』として彼女はすこでした)、狼もといこの世界線ではウルフくんが相対的に物凄く強化されていて。新幹線の中には謎(?)のゆるキャラ「モモもん」(そのくせしっかり設定練られてて、公開後の公式ツイッターが細かい設定をお出ししてきたときには、『その情報なんでこのタイミングで!出すの!!(白目)』と発狂したのを覚えているおれです)が丸々占領した車両があって、スズメバチがちゃんと「痴女じゃない」のだけれど、原作とは異なり「一人である」世界線を。



───待て。
待て待て待て。


そもそも、「スズメバチが痴女じゃない」となった時点で、正常じゃないだろ、おれ!?(白目)


となった時点で、全て腑に落ちたおれです。


ホーネットさん、もといスズメバチ。原作では二人組。パーサーさんと車掌さんに装ってましたね。映画版ではえげつなく過酷な労働環境に置かれて、最後の最後で原作通り、パーサーさんの姿で七尾くんもといレディバおじちゃんと対峙する彼女を見た瞬間に、「痴女じゃない」と思った時点でおれはイカれてました。原作版のスズメバチも知ってる上でこの反応。もはや末期です。


「あっ、この魔改造のノリ──見たことあるわ。魔王のコミカライズやん


そう思い出してしまったのが、運の尽きでした。


スズメバチがロリータ衣装のはいてない痴女である、と思った時点で余程衝撃が強かったんだなぁ、過去のおれ。

どう見てもカワイイ痴女です。しかもはいてません。


速攻で帰宅し、引っ張り出したのはかつて少年サンデーで連載されていた、「魔王 Juvenile Remix」の全10巻でした。小説版「魔王」と「グラスホッパー」(そして節々に挟まれるその他の伊坂作品)を融合させ、時に違法改築なみの魔改造を行い、居所的に「スーパー伊坂大戦」と呼ばれるほどの混沌を生み出してしまった作品。コミカライズという言葉で括るにはあまりにも気狂いじみていて、原作の魂を宿しつつもそこから大いに姿形を変えてしまったモノを生みだしてしまった、奇跡にして異形の一作。これは魔王ではないが確かに魔王であると、それ以外の言葉が見つからない、そのような類の作品です。

単行本は買っていたので、一晩で一気読みしてしまいました。ちっぽけな能力で世界の潮流に抗いぬいた兄と、その影を追って狂い咲く弟の叙事詩。物語の勢いに突き動かされるまま、彼らの旅路を伴走したおれは、


「しんどい(嗚咽)」


と、一人悶えておりました。潤也さんしんどい。(あほ)

そして今のおれがいます。ドール概念香水概念カクテルと見事に潤也さんという男にトチ狂いまくるオタクです。潤安限界オタクはこうして生まれた、というわけです。


話が逸れました。


マリビHollywood Remix、もといブレトレを手放しで褒められるかというと、大いに迷うのは確かです。日本のソニピクさんは特に、公開時には様々な日本とコラボレーションした企画を打ち出してくださり、原作出版元の特権とはいえすごい良いプロモーションしてくれたな──と思っていたんですが、まぁ本国のプロモーション、広報担当部隊が倫理観ゼロでして。詳しくは語りませんが、真田先生やコージさん、ブライアンさんのファンを尽く裏切るようなあの所業の数々を、決して許してはいけないとおれは未だに思ってます。ファ☓☓ン白人至上主義。くたばれ人種差別。


その影響で、おれも暫くブレトレからは暫く距離を置いていました。それらの汚らしいものを思い起こすのが辛くて、敢えて距離を取っていました。

けれど魔王沼もといおーすが沼にドッポンし、やはりおれこのノリ好きだなぁとなって、久々にネトフリパイセンで観たわけです。英語版英語字幕というあほのやり方で。


おれ「やっぱ無理しゅきぴ……(白目)」


映画館で7回乗車したんです。


普通のフォーマットだけでなく、ドルビーシネマ版もファーストクラス(シア○ス心斎橋さんのグランシアター。料金は相応ですが天国です。貸し切り乗車のときなんか脳汁ドバドバでした。多幸感やべぇ)乗車もキメていたおれです。IMAX版を多忙でキメれなかったことを今でも後悔しているおれです。

↓大阪でたぶん一番ドーパミンドバドバ映画体験のできる場所。一度キメたら頭おかしくなる場所。ゆかり号ファーストクラス。またおれもキメにいきます。


公式は嫌いでも、映画を嫌いになれるわけがない。


やっぱりおれはブレトレが好きなんだ。


おれ「ブレトレはいいぞ(ガンギまった眼差しで)」



かくして、今のおれが在ります。

トンチキ不思議の国ZIPANG。
新幹線のはずなのに深夜東京を出て明け方京都につく「夜行高速鉄道」ゆかり号。
ハチャメチャなくせに出てくるもの全てに役目がある、伊坂スピリットを否応なしに感じてしまう演出。
原作からさらにはっちゃけて魔改造されて、それでも誰一人スピリットを失っていない、登場人物たち。

「マリアビートル」既読の人はこのトンチキ魔改造を(是非はともかく)楽しめると思いますが、きっと未読の人がこれを観てから「マリアビートル」を読んでも、たぶんクッッッソ面白いんだろうなと思います。トンチキ成分が抜けた伊坂純度100%の文章に焼かれるがいい。そしてその原液が美味しいと思った人間、そこから「グラスホッパー」を読もう。読んで岩西と蝉の物語に興味を惹かれた全員、「Waltz」を読め。そして「魔王Juvenile Remix」に至るんだ。最後は余計でしたねすいません。


ともあれ、酒飲みながらなんか楽しい映画のウォッチパーティしたいな、ってとき。
気分が落ち込んでるのでなんか景気の良くて元気の出る、もといくっそ笑える映画が見たいな〜!!!ってとき。

「ブレット・トレイン」を。おれの愛しのトンチキ弾丸列車を、よろしくお願いいたします。
愛おしくてだからこそ一時期向き合えなくて、それでもやっぱり大好きな、おれの大好きな違法魔改造を。おれの愛しの、「マリアビートル Hollywood Remix」を。気が向いたときでいい、しょーがねぇな付き合ってやるか!!ってノリでいいので。観てください。ブレトレを、ゆかり号の旅を、これからどうぞよろしくお願いいたします。ブレトレはいいぞ。

そして原作を読んだ上で、「ブレトレの魔改造いいやん?」となった奇特なお人がいれば、是非とも大須賀めぐみ先生による「Waltz」「魔王 Juvenile Remix」をキメてください。マリビ→ブレトレの魔改造が許せるならイケるはずなので。よろしくお願いします。


結論:ブレトレもマリビも魔王も全部「いいぞ」


さっそくウォッチパーティ企画しようと思います。おつまみはわさび豆指定でな!!あとぷくぷくたいを見つけた人は確保してきて!!!(おれの地元、ぷくぷくたいが売っていない)(白目)

レディバちゃんと同じタイミングでわさび豆、食べようね。ウイスキーのボトル持参していいよ。初見の方も大歓迎。


本当ならTジ○イ梅田様でやりたいところですが、(カクテルメニューに蜜柑、檸檬を使ったカクテルと、『ディーゼル』なるカクテルもある)流石に一オタクの戯言なのでここは無視していただきたいと思います。



何はともあれ、ブレトレはいいぞ。
人類皆可愛い笑顔で「(ブラピボイス)ワッサァービ♡♡」と言おうな。これぞ世界平和。(末期)



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