ネガティブ•ケイパビリティ

今回の記事のテーマはネガティブ•ケイパビリティです。
何だそれは?と思う人が多いのではないでしょうか。
実はとある僕の恩師からこの言葉を教えてもらったばかりで僕にとってもまだ聞き馴染みのない言葉です。
しかしその意味を調べてみると、僕が常日頃生きている中でよく考えている内容だったので記事にしてみたいと思いました。

ネガティブ•ケイパビリティとは何かを例のごとくChatGPTに聞いてみたのですが、なんとChatGPTはこの言葉を知らないとの事です。
そこですぐさまwikipediaのネガティブ•ケイパビリティの記事をコピーしてChatGPTに教えた上でChatGPTに再度ネガティブ•ケイパビリティについて見解を聞いたところこのような返答が来ました。
(長いので一部省略しています)

【ChatGPTから引用】
ネガティブ・ケイパビリティは、私たちが不確かな状況や未解決の問いに直面した際に、それを受容し探求する能力を指します。
ネガティブ・ケイパビリティを持つことは、私たちが常に確かな答えや解決策を求めるのではなく、不確実さや複雑さを受け入れ、それらに向き合うことを意味します。
この能力によって、私たちは自身の思考や知識の限界を認識し、新たな視点やアイデアを発見することができます。

以上がChatGPTによるネガティブ•ケイパビリティの解説です。
ざっくりした説明ではありますが、ここから僕がガンガン持論を書いていきますので、だいたい意味が伝わっていれば良いかなと思っています笑

ネガティブ•ケイパビリティとは何かを僕の言葉で表現するのであれば、「何事も安易に信じずに別の可能性を常に検証し続ける事」であると考えています。
誤解されそうですが、これは頑なに何も信じないというような人間不信的な態度とは違います。
むしろネガティブ•ケイパビリティは信じる気持ちを持つ人間でなければ得る事ができない高度な構えでしょう。
ネガティブ•ケイパビリティとはその名前に反してポジティブな裏メッセージが込められた言葉ではないかと思います。
ここで言う「安易に信じない」というのはつまりより精度の高い答えやより有益な答えがまだあるんじゃないか?というポジティブな原動力から生まれるものです。
ネガティブ•ケイパビリティを手に入れるには、もっと良い答えがあるかもしれないという不確かな未来に期待をする事が必要になるため、人間不信的な構えでは到底達成できるものではありません。

世の中には様々な意見や理論などが無数に出回っている中でどんな時もそれが間違っている可能性を視野に入れておくという事は大切です。
近年はSNSなどで誰でも自由に発言できるようになった事もあるため、有益な情報と共に誤った情報も多数出回る時代になっています。
そのような時代においてネガティブ•ケイパビリティは、非常に大切な構えではないでしょうか。

最近の話題で最も分かりやすい話としては新型コロナウィルスのワクチンについてではないでしょうか。
ワクチンは非常に有効だから打つべきだの一点張りでワクチン後遺症になるリスクは一切無視しようとする人、逆に頑なにワクチンは悪だとか陰謀だという主張しかせずにワクチンが有効である可能性に一切目を向けない人、こういう両極端な意見の割れ方を見ているとネガティブ•ケイパビリティが不足しているのではないかと感じざるを得ません。

しかし人から支持を得るには「こうだ!」という結論が明確に提示されている方が有利なのは言うまでもありません。
こうかもしれないけど違うかもしれないとか歯切れの悪い事を言ったり、何も断定しない人というのは大衆から支持を得づらいのです。
しかし断定できるほどの根拠がない事を安易に断定する事は実はとても無責任なのではないでしょうか。

ワクチンに関しても「本当は誰も分からない」のが正解ではないでしょうか。
無論、ワクチンについて研究している専門家などであればもしかしたら何かしらの正解も掴んでいる可能性はあるのかもしれませんが、少なくとも99.999%の人は断定できるほどの材料を持つ事ができないのではないでしょうか。
しかしこれは決して分からないから考えないで放置しておけばいいというわけではありません。
分からないなりに考えてみる事や様々な情報に触れながら完全な正解を導き出せなくとも分かる範囲で理解をしていって情報の精度を上げていく事自体はできるんじゃないかと思います。

このようなネガティブ•ケイパビリティ的な発想を僕自身が高めていったのは、持病である潰瘍性大腸炎がキッカケとして非常に大きいです。
潰瘍性大腸炎は今現在、特定疾患(難病)に指定されておりハッキリとした原因は不明で根本解決に繋がる治療法もまだ確立されていない状態です。
潰瘍性大腸炎を治療している際に想定外の出来事というのはたくさんありました。
内視鏡的には寛解状態であるにも関わらず症状が全く改善されない、投薬治療で薬の説明には書いていない副作用が出てしまう、などイレギュラーがたくさん発生しました。

潰瘍性大腸炎については分からない事が多い状態ではありますが、僕は自分なりにこの病気をどうやって改善させていくかを考えてきました。
それは西洋医学における潰瘍性大腸炎に対しての治療指針の範囲内だけでは、改善させられないという事に気がついたからです。
潰瘍性大腸炎の治療について詳しくはこちらの記事に書いています。

分からない事について向き合い続けるというのは精神的に非常に疲れる事です。
考える事をやめて思考停止してしまうか、安易に出した適当な結論に飛びついて断定してしまう方が簡単なのかもしれません。
しかし今回の記事で僕が1番書きたい事は、分からないものを分かったフリをする事なく、分かろうとし続ける事には尊い価値があるという事です。
その土台にあるネガティブ•ケイパビリティ的な発想の重要さを伝えたいとそう考えています。

ネガティブ•ケイパビリティは何らかの発明をする人であったり、研究者、また芸術家などには特に必要な構えです。
今現在正解だと思われているものが本当に正解であるかを一度疑い、見逃されている情報がないかを考察する中で思わぬ発見が見つかるものです。

今の世の中は誰もが簡単に情報にアクセスできる時代です。
したがって分からない事や問題があっても調べれば一見正しそうな正解というのは簡単に見つけられるものです。
無論それによる恩恵もたくさんあるのは事実です。
しかし自分の頭で考え尽くして結論を出すという段階を踏まずに安易な結論に辿り着く人が増えている事は非常に問題でしょう。

カルト宗教やマルチ商法に引っかかる人というのもまさにこのネガティブ•ケイパビリティが不足した人たちであると言えるでしょう。
カルト宗教やマルチ商法で人を取り込む為に有効な方法として他に選択肢がないと相手に思わせるというやり方があります。
他に選択肢を与えないようにする事でそれが全てであるという風にあっさり思い込んでしまう、そのような人は与えられた情報をそのまま受け取って安易に信じてしまう為、ネガティブ•ケイパビリティを持ち合わせていないと言えるでしょう。
不確かなことに対しては分からないと素直に認めて安易に結論を出さない事や分かったような気にならない事の価値を問われているように最近強く感じています。

さて今回の記事はこれで終わりにします。
次回はボイストレーニングについての記事を書きたいと思います。
というのも今回の記事で書いたネガティブ•ケイパビリティ的な構えがボイストレーニングにおいても非常に大切だなと思ったからです。
自身の機能性発声障害についても絡めながら書いてみようと思います。
ご期待ください。

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