日台コロナ比較―台北在住者の独り言
こんばんは、今日もお疲れ様です。NOTEで第一号の投稿になります。試しに書いてみようかと思いました。私は台北に住んで6年になります。現在、2021年1月28日に日本から帰国し、コロナの防疫のための隔離生活の13日目です。自宅のある台北中心部のマンションで、長い二週間が終わろうとしています。そう、明日でいよいよ隔離が明けます。今まではそれでよかったのですが、今はさらに一週間の自主健康管理という時間が必要です。外には出られるのですが、甘く見てはいけません。
罰金は380万円と実名公表
コンビニは行けても、レストランなど人ごみに行くことは禁止です。最近、隔離が終わって火鍋屋に行ったフィリピン人がつかまりました。罰金は4万円程度でしたが、少し前にはコンサートに行って、入り口のIDカードチェックで自主管理機関なのがばれて、50万円程度の罰金となったとか。これが今の台湾です。実は隔離中はこんなものではありません。実は私はコロナ騒動が始まってから3回目の入国となり、隔離も三回目です。隔離中に外出したら、380万円の罰金です。すでに7人ほど逮捕されているようです。しかも実名を全国報道です。
警察の24時間リアルタイム監視
なぜわかるのか?私のスマホには、隔離中は毎日、警察、防疫、あとはどこかわからない政府機関から連絡が入ります。ライン、電話、SMS。そして健康状態のチェックですが、それだけではありません。位置情報が確実に把握されてモニターされています。なぜそれがわかったかというと、スマホの充電の端子が調子悪いので、会社のスタッフにスマホの修理屋にもっていってもらいました。1時間もたたないうちに返してもらったのですが。驚くべきことに、すぐにドスの利いた声で「警察だ、君は法律を破った」(多分中国語でそう言っていた)「えー。違います。それは違います。私は無実です!」
私の中国語を総動員してなんとか説明し、何とか電話が切れて安心していたら。玄関のチャイムを鳴らす音が!そこには制服の警官が二人。私はわかりました。完全に電話会社と連携して、私の居場所が警察にウォッチされていることを。なんとか最後は笑って帰りましたが。(面倒くさい日本人だ。悪人ではなさそうだ)と思ってくれたと信じています。
台湾は今、経済絶好調
また、先日「ガイアの××」という番組で、私も取材協力の候補の一人になりました。この機会にぜひ日本の政府の方に台湾のやり方を報告したいと思いましたが、個人的に絵にならないからか?選択されませんでした。番組の放映期待していましたが、中途半端な内容でがっかりしました。何も核心には触れていませんでした。
台湾経済は、今、絶好調です。今年の台湾のシンクタンクのGDP成長率予想は4.5%。対前年の実績も3%台だったと思います。もちろん今や世界で絶好調の半導体製造メーカーのTSMCが輸出で経済をけん引していますが、消費部門も絶好調のようです。市内の街の様子は、完全にコロナ前の活況を取り戻しています。人口2,300万人の国で、毎年1,600万人が海外旅行をします。
これは日本と同レベルの数字です。日本と比較して、それほどリッチな給与水準とはいえません。もし旅エンゲル係数というものがあれば、台湾はかなりの水準になるはずです。つまり海外旅行(そして食)が本当に好きな方々なのです。コロナで行き場を失ったその海外旅行マネーが、国内に向いているということもあります。しかし根本的には、コロナの封じ込めに早期から成功したということが、台湾のこの思いもかけない好況の原因になっている気がしてなりません。
台湾に住んでいると、日本のことが良く見えてきます。私はこの5年間で59回日本に出張しました(つまり一回休みで毎月)。日本もリアルでリアルタイムで見てきています。その中で容易に二か国の違いが見えてきます。とにかく、台湾は初動が早かった。2019年12月31日に、台湾はすでに武漢からの入国者に検疫を開始していたということです。武漢肺炎がニュースになった1月には、すでに公共の施設や電車の改札、大きなビルの入り口にはすでに検問が設置されていました。そこで、検温、アルコール消毒、マスクチェックが行われていました。この時、政府というよりも民間の意識の高さと一致した行動の速さに驚きました。
軍隊?の施設に収容される
二月に日本に戻った時のことです。成田空港でたしかは何綿棒を入れる、かなり痛い検査をされた記憶がありますが、驚いたのはそのあとです。迎えの人間が来るまで来ていることを確認したら、結果が出る前に無罪放免。実質、どこに行ってもOKでした。厚生省とライン友達になって、少しうれしかったのですが、寂しいことに一回もラインは来ませんでした。隔離最終日近くに電話が一度なっただけです。ところがどっこい。台湾に帰国した時のこと。空港についたとき私は少し困りました。のどが少し痒かったのです。私は悩みました。言うべきか。言わないべきか。なぜなら、言わないでおいて、万が一後から感染が判明し、さらに申告しなかったことがわかったら莫大なる罰金なのです。
意を決して言いました。「のどが少し痒い」。すぐさま二人の防護服に身を包んだ人が現れ、空港の奥深くに連れていかれ、のどを綿棒でかき回すというこれまたキツい検査が待っておりまして、それが終わるや否や、有無を言わさず透明なビニールで社内を覆われた車に乗せられ、どこか遠くに連れていかれました。今回、少し高いが奮発して市内の松山空港行のチケットを買ったのですが、なんと桃園空港(数十キロ郊外のいつもの空港)方面に車が走っていくではありませんか。しかし車は空港にはいきませんでした。鉄条網と頑丈な門。警備の兵隊のいる施設に入り、その奥深くの建物へと私は収容?されたのです。
続きはまた今度。。。
二日目の投稿になりました。まだNoteの仕組みがよくわかりませんが、とにかく「習うより慣れろ」です。2月の話ですが、続けていきます。
映画のシーンのような収容生活
広大な敷地でした。しかしGoogle Mapを見ても施設名が載っていません。しかしどうみても、ここは軍隊の施設であることは間違いありません。そしてある建物の前に車は止まりました。同乗していたおばちゃんと一緒に車から降りました。その建物全部がなんと「網」でおおわれていました。これは逃亡防止に違いありません。そして全く人の気配のない建物の廊下を進み、部屋まで案内されると私はその部屋に入れられました。ちょうど囚人が牢屋に入る時はこのような感じでしょう。手錠だけはありませんでしたが。20平米ほどの広めの部屋には、ベッド、洗濯機、給水サーバー、そしてシャワー設備。これからどうなるのか?よくわからないままでした。
台湾政府の意外な気遣い
部屋の中を見ました。なんと、スーパーの袋の中には、アメニティグッズがいっぱい。コップ、歯ブラシ、タオル、石鹸、選択粉、なんとカップラーメンまで入っているではないですか。なんか、台湾政府と軍の方の心遣いを感じてしまいました。一方、何日いるのだろう?という不安もありましたが。
さて、登録させられたラインには、ガンガン指令が来ます。顔の見えない相手から、検温、ごみ捨て、弁当配給など、人気のない部屋に居て、顔の全く見えない相手から次々と指令が来るのは、まるで映画のシーンのようです。しかしすぐにわかりました。この建物には私だけではなく、3,40名くらいが収容されていることを。そして皆、司令者の呼びかけに対して返事をしないとなりません。だから皆の様子がラインを通してよくわかりました。
この施設が有料か無料かもわかりませんが、配給される弁当は、味はともかくボリュームと内容は、それは立派なものでした。そして夕方になるころ、番号リストがラインで通知されました。番号は各収容者で、どうやら検査結果がシロの人たちが施設を出ていく様です。呼ばれた人たちは、口々に感謝の言葉を述べて施設を去っていきました。みな施設のスタッフと台湾政府に感謝していました。
夜は寒かったです。天井は高く、手の届かない情報の窓は開けっぱなし。台北といえども冬は結構寒いのです。そして台湾には通常暖房施設というものがありません。空港からそのまま持ってきた荷物には暖を取る冬物衣類もなく、毛布にくるまって一夜を過ごしました。ふと気づいたシーツについているマークから見て、私は海軍施設に収容されたようです。することもなく、受験中の試験勉強が進みました。そして二日目が来ました。
やっと自宅へ
相変わらずまったくの人気がなく、検温の指示から始まり、ラインでの指令が次々と来ます。意外とドアにカギはかかっていません。しかし外に面した廊下には、すっぽりと網がかかっていて逃亡はできません。する気もないですが。そして夕方になりました。そして、そう。リストが来たのです。ありました。私の番号が。それからすぐに荷物をまとめて廊下に出るようにとのこと。廊下に出ると、すでに10名くらいの人がスーツケースを手に間隔をあけて並んでいました。私も感謝の言葉を述べ、防疫タクシーで台北市内の家に向かったのです。結局、最後のタクシー代1,450元(5,000円程度)以外は、全部無料でした。もちろんそこから、第一回目の自宅での隔離生活が始まりました。
二回目の日本への帰国で思ったこと
今回のコロナの対応では、日本政府の方々も、慣れない事態の対応にいろいろと大変であるかと思われますが、7月のころに、今回のコロナ後に二回目に成田についたとき、やはり決定的にまずいなと思うことがありました。
成田空港では当時、公共交通機関を利用しなければ、例えば自家用車で身内が迎えに来ていれば、空港での検査結果が出る前にその場で帰宅が許されることです。台湾のように、電話会社との連携による監視もありません。まっすぐ自宅に帰らない人もいるかもしれない。繁華街に食事に行くかもしれない。もし陽性であったら、その間に海外からのウィルスと日本車化に持ち込んで感染させることになります。監視もなければ罰則もない。しかも海外からの渡航者が集まる空港での体制がそうであったわけです。
人間やはり強制力は必要
私の日台での隔離期間は、今日でちょうど12週間になりました。台湾の隔離はきつかったです。10日目くらいまでは耐えられますが、過ぎるとストレスも溜まり、少なくとも健全な精神状態ではありません。しかし私は台湾式が正しかったと思います。正しいとは、最大数の人が最悪の事態にならなかったという結果から言っています。
台湾では、純粋な国内感染ゼロが半年以上続き、結果として人々が6月ころから完全な日常を取り戻し、1年後の今は国内経済が絶好調なのです。入国者に対する、これだけの監視と罰金があったからこそ、私は「仕方ない」と諦めて隔離生活に耐えることができました。結果として、短期的にはきつかったものの、国民皆が恩恵を受けた、というより大損害を受けなかったといえます。台湾は、日本のように中小企業や国民への補償は手厚くありません。手厚くする必要もなく済んだともいえます。
日台コロナ対応は何が違ったか
台湾では、純粋な国内発生による感染は9か月間で1人とのこと。つまり水際で完璧に防いでいるということです。いったどのようにして、水際防疫を完璧できたのか?その詳細は、あまり日本では報道されいません。なんとか日本政府に台湾を参考にしてほしいと思い、人生初のYouTubeも有名ブロガーとコラボして作ってみました。私の動画を政府の人が見るわけがないと知りながら何かしたくて。でも何にも、微動だに、起きませんでしたが。
両国とも、特に衛生や医療のレベルが大きく異なるわけでもないのに、この結果の違いは何でしょうか。昨年の1月から両国間を3往復し、個人的に直接体験した観点からまとめたいと思います。
政府の徹底した隔離監視と罰金
まず台湾は政府の動きが早かった。大陸からの情報入手と、判断が早かったようです。それに沿うかのように民衆の対応も早かった。18年前のSARSの時に、70人以上死亡させた記憶が影響したという意見を多くの方から聞きました。そして水際対策です。入国者に対して厳しい監視を徹底し、インパクトのある罰金を課したこと。隔離違反は最高100万元(380万円)の罰金、そして全国に実名公表でした。たしか7人が該当したと記憶しています。それだけ厳しい規制にもかかわらず政府に文句言う人は、私の知る限りでは見たことがありません。そして私が特に言いたいのはマスコミの違いです。
日台の大きな違いはマスコミ
台湾のマスコミもゴシップ好きで、品の良い大人のメディアたちかどうかはわかりませんが。コロナに対しては政府発表を淡々と伝え、国民への注意事項を伝え、「台湾国民一致団結してコロナと戦おう」という感じで素直な印象でした。少なくとも日本のマスコミのように、政府や自治体の責任ある人の発表を揶揄したり、上げ足を取ったりするような馬鹿な報道は見られませんでした。
日本のマスコミの行動と、果たした役割を今振り返るとどうでしょうか。日本の様子は当然気になっていました。しかしヤフージャパンのサイトを開くたびに、嫌な気分になりました。政府や自治体の責任ある人たちが、この未曽有の状況の中、多岐にわたる利害関係者のことを考え、リスクを考慮し、悩み、苦渋の選択をしている最中に、マスコミはまるで高みの見物です。何か発言するたびに、言葉の上げ足を取ったり、まるで他人事のような批判しかしない。国民に対して、一致団結して頑張って乗り切ろう、というような励ましのメッセージを発信しいたマスコミなど皆無です。
そもそも一国を代表する総理大臣を寄ってたかって揶揄して、いったいこの国のマスコミは何をしているのだろうかと毎日怒りを感じていました。そりゃ、病気にもなります。なったらなったで、途中で投げ出すのか?と。特にひどいのが、お笑い芸人を中心とした芸能界。彼らの意見をニュースとして、連日マスコミがトップで取り上げていることです。聞かれたら言うでしょう。悪いのは聞いてニュースにする方です。そもそも芸能人の感想は、いったいニュースなのでしょうか?専門家より芸能人がこの国では重要なのでしょうか。
メディアが煽り役!?
どうして日本のメディアがそうなのかはわかりません。どこかの国に買収されたのか、視聴率が欲しいだけなのか、判断力がマヒしているのか、批判しないといけないという集団心理なのか。わかりません。メディアとしての役割を果たしているというより、国民を分断してコロナ回復を遅らせたといえるのではないでしょうか。リスクも責任もなく何も動かない人が、無責任な感想か偽善的正義感で、リスクと責任を持って動いている人を批判している。それを煽ってきたのは日本のメディアではなかったでしょうか。
その影響を受けてかどうか民衆も批判合戦に乗り、結果、この国の人たちは一致団結するどころかバラバラになった感じがします。決定しなければまだかと煽り、決定するとそれにより利益が減った人にインタビューし、いったい何を伝えたいためのインタビューなのか全くわかりません。結果として、政府は台湾のような毅然とした動きも取れず、かえって大きな被害を拡大したように思えてなりません。
「社会全体の共通認識」
38歳、閣僚としては台湾史上最年少のIT大臣のオードリータン氏がNHKのインタビューに答えていました。「成功の秘訣は、社会全体の共通認識であった」とのこと。この言葉がすべてを物語っています。それを最も阻んだものはなんであったのでしょうか。マスコミであったと断言したいのです。1万歩譲ったとしても、少なくとも日本のマスコミは、社会全体の共通認識を作ることには貢献しませんでした。タン氏のこういう言葉もありました。「市民のだれもが政府のメッセージの重要性を初期段階から理解してくれた」そのメッセージをストレートに伝えたのは、台湾のマスコミでした。
崩れた日本神話
台湾人にとって、物事に対してしっかりした対応ができると信じていた日本がこの様子。長年にわたって築いてきた日本ブランドが大きく棄損しました。昨年秋の台湾の世論調査では、日本政府の判断を信用するか?の問いに信用すると答えた人は30%、台湾政府の判断を信用すると答えた人は70%でした。長年にわたり築いてきた信用が失われるのは早いものです。結果として両国がどのようになったのかは興味深い事実です。
三度目の正直の封じ込めに向けて
日本は3回の失敗を犯して大きな損害を払った挙句、ようやく第三波が収まりつつあります。旅行業、飲食店、旅に関する業界をはじめ、皆苦しいと思います。両国の往来が前提で仕事をしている当社も、実際は大変苦しいです。しかし新規感染者のグラフを見ていると、あと少しの我慢で、コロナをを封じ込めて、一度安定した状態に何とか持っていける気がします。ここで一つ、短期的な視点より中長期的な視点に立ち、国民同士、国民政府、一致団結してコロナを封じ込めましょう。
日本のマスコミには何も期待しませんが、せめて政府のメッセージや現実に起きている情報を正しく伝えていただき、無責任で意味不明のコメンテーターという人々や、根本的に無関係な芸能人がああいった、をニュースにして社会全体の共通認識の醸成を邪魔することだけはやめましょう。
では、桃園空港が、また日本に行く人でいっぱいになる日を信じて。
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台湾政府は、感染病指定の病気をキャラクター化してるらしい!
若者の興味を引き疫病を分かりやすく伝える為だそうです。さすが。
柔らかい。
(ミラクルニキの代表が教えてくれました)
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