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「学ぶ楽しさを思い出す」iBASEが中学受験を通して目指したいこと

はじめに

こんにちは!公立中高一貫校対策のiBASEです。
2023年度の受検がひと段落しました。今年も数多くの生徒や保護者の皆さんから嬉しいご報告をいただき、胸をなでおろすばかりです。

iBASEの講師一同はいま、今年をゆっくりと振り返り、次年度に向けた準備を進めています。何度も立ち返るのは、「iBASEは何のためにこの社会に存在しているのか?」という存在意義(パーパス)についての議論。数年前から私たちが大事にしているのは、「学ぶ楽しさを思い出す」場と時間を提供したいという願いです。

人は生まれてから毎日、何かを学んでいます。それは本来、楽しくワクワクするものであったはず。しかしいつしか私たちは、評価の目にさらされ、他人と比較され、序列を付けられることを通して、学ぶ楽しさを忘れていってしまうのではないでしょうか。

中学受験は、その最たる存在です。毎回のテストの出来不出来で一喜一憂し、場合によっては人格と紐づけられ、「テストで点が取れない」=「ダメな存在だ」という強迫意識が育ってしまうケースは少なくありません。小学校高学年の貴重な時間は、一度しかない。そんな大事な時期をご一緒するiBASEは、中学受験に「学ぶ楽しさを取り戻したい」。それこそが、私たちがこの塾を続けている意義なのではないかと思うのです。


1.学ぶとは、どういうことか

そもそも「学ぶ」とは、一体どういうことなのでしょうか。中学受験の領域において学びとは「知識を獲得すること」や「スキルを習得すること」だと考えられがちです。旧来から続く、特に私立型の入試では実際のところ、こうした学習観に支えられた選抜(出題)がなされていることも事実です。

もちろん知識やスキルの重要性を否定するわけではありませんが、学びをその範疇だけで捉えてしまうのは、あまりに偏った見方ではないかと思います。学習論の研究を紐解けば、そうした知識やスキルに閉じた学びはたくさんの批判にさらされてきたことは明らかです。

新しい学習指導要領に登場した「探究」という概念は、認知科学者のジャン・ピアジェによって提唱された「(社会)構成主義」という考え方に立脚していると考えられます。詳しくは上の記事に詳しいですが、学びとは「外界との相互作用の中で、新しい認知の枠組みを構成すること」と定義されました。

「新しい認知の枠組みを構成する」とは、なかなか難解な表現ですが…iBASE的に言いかえれば「世界の見え方が変わる」「自分の見方が変わる」ということ。これをわかりやすく解説しているのは、解剖学者として有名な養老孟司さんです。2023年の著書『ものがわかるということ』の中で、こんな風に書かれています。

学問をするとは、目からウロコが落ちること、自分の見方がガラッと変わることです。自分がガラッと変わると、どうなるか。それまでの自分は、いったい何を考えていたんだと思うようになります。
前の自分がいなくなる、たとえて言えば「死ぬ」わけです。わかりやすいたとえは、恋が冷めた時です。なんであんな女に、あんな男に、死ぬほど一生懸命になったんだろうか。いまはそう思う。実は一生懸命だった自分と、いまの自分は「違う人」なんです。

養老孟司『ものがわかるということ』(P.39)2023年、祥伝社

みなさんにも、「世界の見え方がガラっと変わった経験」が一度はあるのではないでしょうか。自分の見方が変わることで、世界が急に面白くなったり、生きているのが楽しくなったり、もっと何かを知りたいという好奇心が湧いてきたり……。そういう新しい自分に脱皮して生まれ変わる、そんなドラマチックな変化のことを、iBASEは「学び」と呼びたいのです。

2.「見方が変わる」学びとは

iBASEのカリキュラムにおいては、この「見方の変容」が学びの最上位におかれています。しかし、こうした本質的な変容を確信的に起こすのは、そう容易いことではありません。試行錯誤の末(まだまだ改良の過渡期ですが)iBASEの授業においては「レンズ」という考え方を使った授業を主軸としています。

毎回の授業で新しい「レンズ」を学び、そのレンズを通して世界(問題)を眺めてみることで、新しい気づきを得る。そのうちいつしか、そのレンズ(世界の見方)が生徒に内面化され、新しい世界が立ち現れるようになる。その繰り返しによってじわじわと、いろいろな豊かな見方を身に着けていくのです。

ここで、iBASEの授業では定番の「レンズ」について、2つ紹介してみたいと思います。

例①:課題解決のレンズ(社会分野)

まずはじめに取り上げるのは「課題解決のレンズ」です。これは主に社会の授業で取り扱うことが多いのですが、とても汎用的で使いやすいレンズの1つ。詳細は実際の授業に譲りますが、ビジネスパーソンとしても使える、とてもパワフルなレンズの1つです。

iBASEオリジナル「課題解決のレンズ」(授業資料より)

例②:仮説検証のレンズ(算数・理科分野)

理系科目で頻出なのは、「仮説検証」のレンズ。何かを検証するために、様々な仮説を立てて、スピーディーに回していく。そういう思考は将来にわたって必要となります。特に、この変化の激しい令和の時代においては、仮説の量やスピードが大切になることは自明ではないでしょうか。

iBASEオリジナル「仮説検証のレンズ」(授業資料より)

こうした「レンズ」を学んだあとに、日常生活に戻ってみる。すると、毎日のお母さんの家事が「課題解決」であることに気づいてしまう。退屈な毎日の登下校や教室の掃除だって、「仮説検証」のレンズをかけてみることで、途端にワクワクしてくる。そんな風に、自分の見方が変われば、世界はいつだって面白い。それこそが、iBASEが目指したい学びの姿なのです。

3.学ぶ楽しさを思い出す

こうした「学び」を小学生に届けたい。そう思ったときに出会ったのが、公立中高一貫校の適性検査でした。一般的な私立入試とは違い、本質的な思考力・表現力を問う独特の出題は、私たちが届けたい学びを扱うのにぴったりだったのです。

たとえば、私たちが長らく対策講座を開いている広島叡智学園においては、毎年「課題解決」を扱う出題がなされます。

複雑で曖昧で変化の激しい現代。解消すべき課題は山積して、いま生きている私たちで一歩ずつ、よりよい世界を作っていく必要があります。そんなとき、手をこまねいて見ているのではなく、当事者としてコミットし、問題解決に踏み出せる人。そんな人を求める学校からのメッセージが色濃い出題です。

こうした出題への対策としては、先ほど紹介した「課題解決のレンズ」がぴったりです。本質的で汎用的な「レンズ」を身に着けておくことで、複雑な世界がすっきり見えてきたり、解決への糸口がつかみやすくなったり。混沌とした世界への見方を知り身に着けておくだけで、適性検査への取り組み方も変わってきます。

iBASEの受講生からはよく「このレンズを習ってから、資料問題が得意になった!」「社会の課題解決型の出題は、もう満点を取れる気がする」など、大きな反響をもらいます。そして何よりうれしいのは、「そもそも受験勉強そのものが、課題解決だってことがわかった」「毎日何かしらで、自分も課題解決をしていることに気づいた」など、日常にもそのレンズを持ち帰ってくれていること。

こうして毎日の見え方の変化を起こすための手段として、公立中高一貫校の適性検査対策は、とても有効なのです。iBASEは適性検査という便利な手段を使って、私たちが本当に届けたい学びを、目の前の生徒に届けていく。そうして一人でも多くの小学生に「学ぶ楽しさを思い出す」瞬間を味わってほしい。そんな願いを持って毎日の授業に臨んでいます。

おわりに

こうしたiBASEが目指す学びのあり方について、保護者の皆さんから高い評価いただいていることに、大きな歓びを感じています。一部を抜粋して、紹介させていただきます。

問題ごとに解答方法を教える、というスタイルしか見たことが無かったのですが、iBASEでは抽象度の高い解答方法を教えてくれていたことに感動しました。 これは現代社会を生きていく上での知恵と同じで、どんな事が起きても立ち返る場所、思考の原点を教えてくれていると思い、小学生の授業でそこまでいっちゃうんだ…と深く感心していました。

2023年度受講生の保護者様より①

モノの考え方のベースを教えてくれているので汎用性があり、例え問題の傾向が変わったとしても、iBASEで学んだ思考回路で対応出来るのではないかと思えた。

2023年度受講生の保護者様より②

2024年度もまた、新しい生徒たちに出会うことでしょう。学びに対してネガティブな思いを抱いていたり、受験にやる気が出なかったり。いろいろな背景を抱えた生徒たちに、iBASEの授業が一筋の光となり、「学ぶ楽しさを思い出す」場と時間が提供できれば幸いです。

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