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公立中高一貫校が求める「自己分析」について

こんにちは!公立中高一貫校対策の iBASE です。
今日のテーマは、公立中高一貫校が受検生に求める「自己分析」について。

国語(作文)や面接などを通して、受検生自身の”強み”や”弱み”、あるいは中学校に入ってからやりたいことや将来の見通しなど、私立入試に比べ「受検生自身」の内面を問われるのが、公立中高一貫校の特徴の一つでもあります。

(そうした「自己分析」って、果たして本当に選抜において必要なのか…?という問いも生まれるところですが、今回は一旦置いておくことにして。)受検直前期に多くの方が不安になる「自己分析」について、お話ししようと思います。

求められる自己分析

一口に「自己分析」と言っても、様々なパターンがあり網羅するのは大変ですが……とりあえず大きく3つに大別して捉えておくと良いかと思います。

①過去について
「小学校生活で印象的だったこと」「一番頑張ったこと」等、過去の出来事についての問いがこれにあたります。出来事の羅列を自分なりに解釈して、ストーリーとして紡ぐことが求められます。

②現在について
「あなたの強みと弱み」「好きなことと嫌いなこと」等、受検生自身の内面を問う問題です。飾ることなく正直に、自分自身を見つめ内省し、あやふやな思いをクリアに言語化することが求められます。

③未来について
「中学校に入ってやりたいこと」「将来の目標」等、未来のことについての問いがこれにあたります。②と連続して問われることも多いのが特徴です。ここも、でっち上げることなく素直に答えることが大事です。

iBASEの塾生とは、これらの観点を講師との「対話」の中で、じわじわっと醸成していってもらう機会を作っています。(志望校にもよりますが、だいたい受検日の1か月前ぐらいに)「そもそも、なんで受験するんだっけ?」から始める一連の対話によって、ここまでの人生を言語化していくプロセスです。

この対話形式の対策、実はやみくもに&網羅的に深掘るわけではありません。ちょっとしたコツがあります。それは、志望校の「校訓」や「求める生徒像」などから逆算して、問われそうな観点を予想の上、濃淡をつけていくこと。やはり学校によって、特色・傾向が見られるためです。

詳しくは、具体例と共に見ていきましょう。

実際の出題から

鹿児島市立鹿児島玉龍中学校の求める生徒像の記述と、実際の出題内容(2019年/適性検査Ⅰ)を題材に、この問題について考えてみようと思います。

学校パンフレット P.8「小学生の皆さんへ」より

●基礎学力を有するとともに、ふるさとや自然現象、社会現象、身の回りの生活等に興味・関心を持ち、日々学び続けようとする生徒
●社会の一員としてルールや決まりごとを守るとともに、協力し合い、共によりよく生活していこうとする生徒
●心身の健康増進に意欲的に取り組むとともに、自らの課題解決に向けて努力し続けようとする生徒

太字にしてみましたが「自らの課題解決に向けて努力し続けようとする生徒」というフレーズが、鹿児島玉龍中学校のパンフレットには記載されています。そんなことを踏まえつつ、実際の検査問題を見てみると…

▼2019年度 適性検査Ⅰ(問三より抜粋)

あなたが中学校生活で克服したいと思っている課題について、次の〈条件〉にしたがって書きなさい。
〈条件〉
1  二段落構成とし、一段落目には、自分の課題と、その課題がどのような体験を通して明らかになったかを書きなさい。また、二段落目には、中学校生活で、どのように課題を克服していこうと考えるかを書きなさい。
2  題名と氏名は書かずに、原稿用紙の使い方にしたがって、一行二十字で八行以上、十行以内で書きなさい。

まさに、ドンピシャの出題です。
②(克服したい課題)をきっかけとして、①(どのような体験を通して明らかになったか)を振り返らせ、③(どのように克服していくか)につなげるという、定番パターン。この【②現在→①過去→③未来】のパターンを取る学校は多いため、慣れておくと有利です。

「学校が目指す姿」→「求める生徒像」→「検査問題」は、大きく相関し合っているものです。(当然と言えば当然ですよね。)なので自己分析系の出題が見られる学校については、ある程度予測の上で準備が可能。その読み解きと予測・対策はやや高度なので、その辺はプロの私たちにお任せ頂ければと思っていますが、ぜひ保護者の皆さんもHPやパンフレット等から目を通してみてください。

〈ちょっとだけ解説〉

ちなみにこの「克服しようと思っている課題」という出題、ベタですがかなり高度です。大人である私たちが急に問われても、「えっ…(就活みたい!)」と、ちょっと困ると思います。「どのような体験を通して明らかになったのか」まで書く必要があるため、その場で創作することも難しい。

ということで、対策時にはマストで準備するテーマの一つ。このテーマにおいて、iBASE講師たちは生徒との対話の中で、「リフレーミング」という技術を使います。

リフレーミング」…ある出来事や物事を、今の見方とは違った見方をすることで、それらの意味合いを変化させること。

急に「課題」と言われても難しい。そして、自分自身のよくないところに目を向けるのは、生徒にとって精神的な負担がかなり大きいものです。なので、課題を見つける際のプロセスは、以下の3段階を踏みます。

①講師(または保護者の方)から、生徒の「よいところ」「ほめたいところ」「得意だと思うとこと」をたくさん挙げます。

②そのうえで、生徒と一緒に「リフレーミング」を行っていきます。たとえば、以下のような感じです。

【+】好奇心旺盛 ⇔【-】飽きっぽいところがある
【+】正義感が強い ⇔【-】カッとしやすい
【+】アイデア出しが得意 ⇔【-】計画を立てるのは苦手

③最後に、自分自身の【-】な一面が出たエピソードがあるかどうか、一緒に過去の経験をさかのぼるお手伝いをしていきます。

「人の長所と短所は”ウラオモテ”の関係なんだよ~」と、まず生徒たちに伝えつつ、上記のようなプロセスで課題を特定していくことが大切でしょう。そしてその後は、【②現在→①過去→③未来】のパターンで、ストーリー作りをしていきます。

と、こんな風に対話を通した「自己理解」によって、無理なく嘘のない面接・作文の対策が可能になると、iBASEでは考え実践しています。

まとめ

今日は、鹿児島市立鹿児島玉龍中学校の出題を参考にしながら、受検生に求められる「自己分析」についてお話ししました。

いよいよ受検は追い込み期に入りますね。玉龍中学校に限らず、特に面接などで「自己分析」を求められる学校を志望する生徒さんも、ぼちぼち対策を始める時期かと思います。

上記の通りですが「自己分析」には他者との対話が効果的。
玉龍中学校をはじめ、自己分析系の出題が見られる学校の作文問題(過去問)の演習と添削を通したサポートも行っていますので、不安な方はぜひお問い合わせください。志望校に応じた「自己理解用」演習プログラムをご提案させて頂いています!

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