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イラストのクオリティをグッと上げるかもしれない仕上げのポイント備忘録

 今回、ご依頼でカードゲームに使用するイラストを描かせていただきました。
 MTGのカードのサイズは63mm×88mmくらいらしいのでその寸法で若干余裕のある大きさにして制作。

 特に納期指定の無いご依頼だったおかげで納得行くまで試行錯誤できたので、その過程で得た気付きをメモしておこうと思います。
 主に、完成したかな?と思ったイラストを見直すべきポイントについてです。

before → after

 まず、こちらは「だいたい纏まってきたかなあ~」と思った時点での途中経過(未完成のものをお見せするのは恥ずかしいのですが……)。

まだ全然纏まってないっ!

︎︎︎︎✔︎︎︎︎ 視線誘導は十分か

 主題にすんなり目が行くようになっているか、あまり見てほしくないところが悪目立ちしていないかは真っ先に確認したいポイント。

目立たせたい部分の調整・光の追加

 キャラクターイラストの場合は大抵キャラの顔が重要になります。
 重要なのは分かりきっているけれど正解が見えるわけではないので、顔の修正はいつも苦行です。左右反転等を繰り返しながら粘り強く修正します。

 キャラクターと画面の距離は近くした方が映える事が多いので、キャラを拡大してしっくりくるサイズにします。

 また、光を追加すると目線を引きやすくなります。髪や瞳、宝石やグラスの中の液体など、魅力的に見せたい且つ光りそうなものには光を足します。
 夜空の方にも、星を追加して月の線画を外しました。

目立たせたくない部分の存在感を消す

 基本的に背景のコントラストはキャラクターのコントラストより弱くなるようにはしていますが、パッと見た時の印象はどうでしょうか。

 今回の場合、背景のお城は森と闇に溶けていく感じにしようと思って描いていたにも関わらず目立ちすぎており、あんまり注目してほしくないところが丸見えのような「ヤメテ!!恥ずかしいッ!!」という感じになっていました。
 キャラの顔からも遠いので視線が散らばります。

 一応スクリーンレイヤーで霧をふわっと乗せてコントラストを弱めているのですが、それだけでは足りないようです。
 なので上から通常レイヤーや乗算レイヤーをクリッピングして、森の中へ溶け込むように思いっきり塗りつぶしておきました。

 また、背景の画面端の方はほんのりとぼかしをかけます。まるで視界の端のような、目線から外れたような感じになると同時に、遠近感も出せますね。

︎︎︎︎︎︎︎︎✔︎︎︎︎ 空間・動きが伝わるか

 今回は「キャラが飛行している事をアピールしたい」という意図で上下感のある構図にしていました。
 が、そのわりに動きや空間の奥行きが足りないような印象がありました。もっと風を感じるようなイラストにできないものか?

 こちらの動画の「前後感強調構図」「集中線背景」が応用できるのではないか……?という事で、集中線のような風のエフェクトをソフトライトレイヤーで描いてみました。
 ほんのりとした感じで乗せていますが印象はだいぶ変化すると思います。

 右下の蝙蝠は画面に対してまっすぐ過ぎる気がしたのでずらしました。
 整然とした印象にしたいなどの意図が特に無ければ、あまり画面に垂直に物を配置しない方が良いというのは意識しておいて損はなさそうです。

 あとは白しぶきですね。
 光が差しているような構成のイラストの場合、空気中のチリを白い飛沫で表現すると空間に奥行きが出る感じがします。
 キャラクターに近い位置に乗せるので︎︎︎︎︎︎、先程の項目で触れた視線誘導の効果も期待できるかも。

︎︎︎︎︎︎✔︎︎︎︎ 色味の追加・調整

色相に幅を出す

 色遣いは作者の個性が出るポイントで、少ない色数とハッキリした階調で表現する作風もたくさんあります。
 しかし、特に計算が無ければふわっと色味を足して色相に幅を出した方がリッチに見える気がします。
 やり過ぎると色が濁るので、色相を離し過ぎないよう工夫したりレイヤー合成モードの変更を活用したいところ。

 私はオーバーレイレイヤーで水彩筆やエアブラシを使ってふんわり色味を足すのがお気に入り。
 特に、影になる部分は青みを足し明るいところは黄色を足すと自然に立体感も出ます。

 このようなカラフルなグラデーションマップを薄く被せるのもおすすめ。

彩度はちょうど良いか?

 デジタルで絵を描いているとうっかり鮮やか過ぎになっている事が多い気がします。
 発光、乗算、オーバーレイなどで色を重ねていくと下塗りより鮮やかになりやすいからかもしれません。

 どのくらいの彩度がちょうど良いかは作風によりますが、例えば極彩色の作風のアーティストであっても彩度濃度MAXのギンギンの原色にはしていない事が多いです。
 特に赤は強い色なので思ったより彩度を落としても充分鮮やかに見えたり……。

 色がキツくなっているところは色調補正で彩度を落としましょう。
 逆にくすみすぎている部分があればカラーやオーバーレイで色味を足します。

完成!

瓶に髑髏ちゃんも描きました

 最初と比べたらだいぶ作品として纏まりが出たかな……!?
 今後も絵の仕上げの時にはこれらを意識してしっかり見直しをしようと思います。

 私の絵を欲しいと思ってくださる方々がいる事に感謝しつつ、日々楽しく精進していきたいですね└('ω')┘

他のお絵描き修行中の方々の参考にもなったら嬉しいです。


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