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〚詩〛仮面ピアノ
鍵盤を滑る指が、奏でる
一粒一粒正確な 透明感のある 音の色彩
聴きたくない 見たくない 触れたくない
意図して あるいは 意図せず
聴覚も視覚も触覚も失せたとて
心に従ってさえいれば 正しく指は運ばれる
胸の奥で育んだ 芯
確固たる澱みのない 自分だけの自分
その芯さえ見失わなければ 正しく音は生きていく
聴きたい 見たい 触れたい
意図して 間違いなく 意図して
無力な けれども純粋で、無抵抗な
芯への 身勝手な暴力をはたらいたのなら
腐った粘液に侵された 鍵盤が織りなす
ノイズまみれの無彩の音に 気付くこともなく
荒唐無稽に指は踊り続ける
聴覚も視覚も触覚も
たしかに存在して そこにいるはずなのに
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