見出し画像

〚詩〛蛇の鎖

いったい いつの頃から始まった 因の果てか

知らず知らずのうち 己の尾を噛んでいた蛇
干からびた皮 棺を囲むのは流れない涙
音もにおいもない乾いた末路は
愛し方の不具合の果てか

当然のことのように 己の尾を噛む蛇
圧死する前に平伏した 碌でもない契約
職人になれず 賢者になれず 旅人になれず
生きる意味のために 怪物を産む

それが仕来たりであると 己の尾を噛まされた蛇
呼んでもいない援軍は 白々しい時世
替えのない青や赤の流体なる首輪、外せずとも
いつでも立ち、どこへでも発ち、自由に絶てる

牙の痕ついた蛇はいよいよ
   歪に絡まり連なった鎖を 自由に絶てるのだ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?