〚詩〛マリオネットの足音

嘆きを抱えた不安定。

トコトコ、トコット、トコトココ

下手な足音近付いて
「悪夢に戻る」を拒む少年は
目を閉じた
強く強く、目を閉じた

足音が消え　少年は目覚め
四肢から伸びるそれぞれの糸を断ち
立ち上がり、歩き、扉へむかう

渇望の扉の外は万華鏡のよう
どこもかしこも
色鮮やかな意志に満ち
彼らはうごめき、世界を彩る

少年も真似してうごめき、溶け込み
世界の一部になった
　　　　　　　　　　　　気でいた

少年には色がなかった
皆とちがう　異様な体のモノクロ
泣きに泣き　しかし涙は
一粒さえも落ちてはこない
こんなにも、嘆きを外に
放ちたいのに

どうして　どうして

トコトコ、トコット、トコトココ

下手な足音響かせて
来た道戻り、扉を開く

そこには
　　強く強く、目を閉じた
　　　　夢見る人形が　眠っていた