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資料作成のプロセス

今回は資料作成の第二弾として、資料作成のプロセスを具体的に書きます。

資料作成のプロセス

資料作成のプロセスを大きく5つに分けて、それぞれの内容について説明します。
1.目的を決める
2.資料に載せる情報を集める
3.情報をまとめる
4.資料を作る
5.相手に伝える

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1.目的を決める
別記事でも記載しておりますが、資料作成の目的は、単純に資料を作ることではありません。
自分の言いたいことを伝え、相手に期待する行動を起こしてもらうことです。これ以外に、資料作成の目的はありません。

相手期待する行動とは、大別して3つです。
・情報を知ってもらうこと
 (例:コロナによる売上減少の規模と経営破綻リスクを認識してもらう)
・フィードバックをもらうこと
 (例:提案書の商品情報に載せる情報の過不足がないかフィードバックしてもらう)
・依頼に対してなんらかのアクションを撮ってもらうこと
 (例:マーケティング試作実行のための予算承認をもらう)

2.資料に載せる情報を集める
リサーチですね。インプット無くしてアウトプットなしです。ここでのポイントは2つ。
・目的を達成するために必要な情報であること
・相手が知りたい情報であること
特に2つ目は見落としがち。いかに「目的を達成するために必要な情報である」と自分が判断したとしても、「相手が知りたい情報」でないと意味ないです。

例えば、僕自身が経験したケースで考えてみます。
ある時、営業課長に下期の売上予測報告をすることになりました。「数字を知りたい」というオーダーに対して、上期の成績を元に下期の売上予測を作りで提出しました。当時の僕はガチガチにロジックで固めて準備したのですが、課長はなんとなくピンときていない様子。

「何か不明点がございますか?」と伺った際に、「んで、どれくらいブレ幅があるの?」と聞かれてしまい、僕は答えに詰まってしまいました。

僕のミスは、単純に上期からの予測で下期の数字予測を点(1ケース)だけ提出したことであり、課長は数字を幅(複数ケース)を知りたかった、という認識相違に気づかなかったことです。これは、数字の幅という情報が、課長が部長に対して売上予測の説明をするために必要な情報だ、という認識がすっぽり抜けていたからです。

時間もなかったため、結局は上下に5%ブラした数字を楽観ケース、悲観ケースとしてその場で提出し、何とかミーティングを乗り切りました。

相手が知りたい情報が欠けている資料は、価値が恐ろしく下がることを身に染みた事例です。

3.情報をまとめる
情報収集ができたら、情報をまとめて資料を作る準備を進めます。僕はここが山場だと思っています。なぜなら、コンサルでいう仮説検証のフェーズだからです。

端的にいうと、集めた情報から何が言えるのか(So What?)を考えて、メッセージを作る。そのメッセージが仮説と合致しているかどうかを確かめるという段階です。
(どちらかというと、ここでは仮説ベースでの資料作成を想定して書いていますが、当然、集めた情報から言えること(示唆)を導くというアプローチもあります。)

そして、メッセージをつなぎ合わせ、1つの論理的に妥当性のあるストーリーに仕上げる。という営みです。細かい内容は省きますが、メッセージを導き出し、言葉にまとめあげることが何よりも難しいと僕は思っています。
(ここは、問題解決に関する記事で詳しく書こうと思います。)

4.資料を作る
いよいよ資料作成に着手します。ここで間違っても、いきなりPowerPointやExcelを開いてはいけません。なぜかというと、自分の中で資料の設計図ができていないからです。

設計図もないままモノを組み立てるのは、地図をもたずに旅に出るのと同じです。地図がなければ目的地にはたどり着けません。

どのコンサル本でも、どの資料作成の本でも行っていますが、まずは手書きでイメージを紙に落とす作業をしてください。自分の資料の設計図を作る作業です。横着していきなりスライドを作っても、結局のところ見る人とイメージが違っていたらムダでしかありません。

まずはイメージを合わせるために、手書きで設計図を作り、認識を合わせた上でスライド等を作りましょう。

5.相手に伝える
作った資料を使って説明をする段階です。会議での説明、クライアントへのプレゼンなど色々な場面で行います。

プレゼンは、資料作成の中では扱いにくい「話す」というコミュニケーション方法なので、別のスキルが必要になります。そして、僕はプレゼンが苦手なので、なんとかしてスキルアップ が必要だと思っています。
何か、おすすめのトレーニングがあれば教えてください。

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以上が資料作成を行うプロセスになります。資料作成といえば、手を動かしているイメージが強いと思いますが、実際は手を動かす前の仕込みがほとんどの活動を占めます。

段取り8割と言いますが、もはや段取りが9.5割くらいを占めていると僕は感じています。

資料作成の基本方針(先輩コンサルの教え)

さて、最後に僕が先輩コンサルの方から伺った資料作成の考え方も合わせて載せておきます。+アルファの知識ではありますが、僕の資料作成に関する基本方針になっているものでもあります。

<品質よりスピードを重視>
コンプリートワーク(=100点)を目指すことが前提ですが、これには時間が膨大にかかります。経験上、さっさと品質をあげるには、スピーディにドラフトを作り、チームメンバーや上司のフィードバックをもらい、改善する方が断然早いです。

僕がよくやるのは、資料作成に関してはWordでタイトルとメッセージだけ直ぐに作り、「認識があってるか?」を確認します。全体として10点-30点くらいの段階ですね。そこでフィードバックをもらって、目次が決まってしまえば、あとは中身を埋めるだけ。大きな手戻りは基本的にありません。

<過不足の無い資料がベスト>
これも難しい話ですが、やはり必要な分量をまとめた資料がベストです。過剰な資料も読まれないし、不足のある資料は納得できない。
不足部分については、目次を立て、それを言い切るだけの情報を集めれば、対応できます。

問題は、過剰な方です。コンサルはやたら資料を作る傾向があるように感じます。多い時だと100枚を超えます。確かに、100枚以上が必要な場合も無きにしも非ずですが、基本的に僕は好きではありません。やはり大切なことに絞った20枚〜30枚が限度かなと思います。
ちなみに、なぜ多くなるのかという点について、ある時パートナーに聞いたことがありますが、その理由は刺さるポイントを多く設けるため、らしいです。確かに一理あるなとは思いましたが、やはり僕はこの文化には慣れません。

上記は枚数の話でしたが、内容についても同様です。文字サイズ9ptで、びっしりテキストが書き込まれた資料は読むのに疲れます。僕自身が文字を大量に読むのが嫌いなので、12ptで余白があるくらいがちょうど良いのでは、と感じています。

非常に難しいところではありますが、過不足の無い資料がベストだということを肝に命じておきたいです。

<全てを相手に合わせる>
相手目線に立つ、ということに関連しますが、ExcelやPowerPointの使い方についても同様です。

新卒の時、僕がエクセルでプロジェクトスケジュールを作ったときのこと。僕のスキルがなかったこともありますが、1セルの行の高さを最大にしてその中にオブジェクトをびっちり埋めるという愚行をやってしまいました。これはセルの行き来が大きくなるため、細かく資料を見るときに、見にくくてしょうがないわけです。
(今だったら絶対にしません。細かいスケジュールを作るときは、セル幅を「2」に設定し、方眼紙型にセルを整形してから使うと良いです。(ctrl+A → Alt+H+O+W+2 → Enter))

そんなことを知らず、僕は当時のシニアマネジャーにスケジュールを提出したところ、「てめーのスケジュール、使いにくいんだよ!」とブチギレられました。

シニアマネジャーは当然のことながら、使いやすさと見やすさを兼ねた方眼紙でのスケジュール作成を求めていたわけですね。さらに、フォントの違いや、フォントサイズの違いと言ったシニアマネジャーが普段使っていたルールと全く異なるスケジュールを使っていました。

要は人は自分が慣れているルールをベースに物事を考えるので、それに合わせないと理解できない、あるいは納得できない生き物です。それを無視して好き勝手に資料を作っても、怒られるだけなので、やめましょう。相手視線に立ち、相手に合わせることを徹底しましょう。


結局のところ、資料作成のプロセスや考え方について書いてきましたが、最も言いたいことは、資料作成は準備で決まる、ということです。実際に手を動かすのはほんの一部。これを頭に入れて資料作成に臨みましょう。

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