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ガーナは夏でした

ガーナから帰国して1週間。ジリジリと焼けるように暑い日差しや、全身を揺さぶるボコボコの泥道が懐かしい。とても収穫が多かった旅。プロジェクトはほぼ確実に実現できる。現場チームの実行力は文句なし。

ドクター・ジャブは森林局に勤めて37年。トーマスは国土局のトップと繋がってる。パットは植樹経験13年。ソロモンは信頼のおけるリーダーで、僕にとっては兄弟のような存在。今後の全ての基盤となる土台は強固だ。本当に素晴らしいチームに恵まれた。

チームと森で

パートナーの Climate Investment Partners とは初対面。ジェイミーは気さくでいい人だ。13時間ほぼ毎日車で一緒だったが、ジョークを連発しあってた。大先輩のパートナーが実力だけじゃなく、ユーモアセンスまで兼ね備えているのは本当に幸運なことだ。

ガーナには大きなポテンシャルがある。アクセスする方法さえ持っていれば、荒れた土地はたくさんある。喜ぶべきことではないけど、これが笑える。職業柄、荒れ果てた土地を見るとチームのみんなが「いいね〜!」と言ってガッツポーズで喜ぶ。荒れているほど良い。焼畑を見つけて全員テンションが上がる。ダメでしょうが 笑

焼畑

ガーナの生物多様性を正直ナメてた。チンパンジーや森に住むタイプのアフリカ像がいると今回初めて知った。いずれも、ガーナではもちろん、西アフリカ全体で個体数がかなり少なくなってしまっている。プロジェクトは、生息地の拡大を通して、こういった希少な種の保全も目指す。

たぶん、視察期間の8日間で2000km 以上移動した。運転中の尻の感覚は2日目ぐらいからほとんど無し。ある先輩によると、再エネの土地視察も同じらしく、気候変動を緩和するアクションは尻が鍛えられるんだね、という話になり笑った。

大体8箇所ぐらいを見たが、正直国中の土地が荒れてる。木炭や木材のために木は切っても植えないし、農業は焼畑が多い。新芽は放牧の牛やヤギに踏み潰されるか食べられて育たない。それか、再びの焼畑で燃える。これが森が再生しない構図だ。1983年には、歴史的な規模の森林火災があり、莫大な森が失われた。その後、多くの人々が飢餓で苦しみ、死んだ。あまり誰も口にしたがらない、ガーナの黒歴史だそうだ。ジャブが教えてくれた。

森が無くなったことで地域によっては土壌が痩せ、雨量が減少し、作物が取りにくい。とある地域で目撃したのは、見渡す限りの放棄された、死んだカカオの林。年々、人が村から消えているらしい。村の長たちは必死だ。

今回はたくさんのチーフ(長)にお世話になった。どこに行こうと、土地を見る場合は基本一度チーフへの挨拶が必須。たぶんチーフに50人ぐらい会ったと思う。人生でこれほどの数にチーフに会うなんて思ってなかった 笑。
イケてる模様の派手な服を着てない時は、ほとんどのチーフがただの田舎のおっちゃんだ。でもチーフであることは名誉であり、大きな責任を意味する。

とあるチーフ達とのミーティング

チーフに挨拶するのはいいんだが、いちいちギフトを渡す必要があるから高くつく。封筒に包んだお金でチーフ(の村)に寄付をするんだが、毎回やってるとあっという間に大変な額になる。今後、チーフ寄付金対策が必要だ 笑

64,000 ヘクタールの土地に出会った。チーフいわく、譲ってもらえるらしい。おそらく実際に使える土地はもう少し減るが、それでもかなりの面積がある。東京23区が60,000haぐらいしい。いきなり超えるのか。このプロジェクトが決まれば、3Tは一気に世界の注目の的となる。でもまだどの候補地になるかはわからない。

期待が膨らむ一方で、当然だけど、土地には人が住んでいる。プロジェクトをするにあたって、一部の人の移動が余儀なくされそうだ。どういった背景があるかわからないが、この分野で経験が豊富なコミュニティ関連を担当するトーマスや、チーフ達に言わせれば移動は大したことないらしい。本当なのか?移動し続けてきた過去があるのだろうか。いずれにしても、細心のケアが必要だと感じている。

笑顔が素敵だった現地の人

森のために人が移動する。地域経済の復興や、気候変動の緩和は、どこまで犠牲を伴ってもいいのか?一気に強いる側になる可能性が浮上したことで、日々考えさせられる。この場合の倫理とは?雇用すれば済む話なのか?

そういう意味では、自分の思想は極端なのだろう。軍師のようにコマを移動する立場の感覚が少しわかる(キングダムの読みすぎ)。俯瞰した場所から眺める正しさは、きっとどんな時も極端なのだろう。でもだからこそ現実を直視したいと思うし、現場には出来る限り足を運ぼうと思う。

暮らしの景色

日々の業務の中では、現場との距離を考えることが多くなってきた。超国際的なチームの強みとは?どうサポートできるのか?「文化の違い」はどこまでが事実で、どこから先が言い訳なのか?

こっからは、候補地の分析と、プロジェクトへの出資先候補の企業との話し合いが加速していく。後者に関しては、パートナーの CIP がすでに100社近くと話をはじめていて、彼らいわくめちゃくちゃ手答えがあるらしい。早ければ年内に植樹ができる。そうなれば最高だが、期待はしすぎないようにしている。

ガーナの森はたくましく、成長が早い。焦らず、淡々と、確実に、素早く。たゆまずに日々を生きたいと思う。(時差ぼけで寝れない朝1時に執筆)



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