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UC Berkeley Business Schoolからの手紙⑩(人材開発/研修の原則)

さて、今回は人材開発についてです。特に“トレーニング”というものに対して書いていきたいと思います。トレーニングは時に考課試験として、時に選抜のように、別の目的が設定されることがあります。

そのような前提を踏まえつつ、なぜトレーニングを実施するのか、どうすれば効果的なトレーニングが実施できるのか、本ブログでいくつかの気づきがあれば幸いです。

早速ですが、人間には3つの学習スタイルがあるといわれています。以下のリンクから(英語です)、皆さんがどのようなタイプなのかがわかります。ぜひ取り組んでみて頂ければ幸いです。

Q:自分の学習スタイルがわかる20の質問(リンクをクリックしてみてください)

Have you ever wondered why you do better in some classes than others? It may depend on your individual learning style. Your learning style influences the way you understand information and solve problems. There are three primary learning styles:

① Visual(見て学ぶ)
② Auditory(聞いて学ぶ)
③ Tactile(やってみて学ぶ)

1. 人材開発の目的

より良い成果を効果的・効率的に生み出すために、人材開発は存在します。従って、「学びという結果を生み出す、効果的な介入」が重要となります。「効果的な介入」とは、以下のプロセスを踏んでいるものです。

 参加者の学習スタイルと研修スタイルをマッチングさせている
 得たスキルや知識を長期間維持できるサポートプロセスを構築している
 行動変化を観察してトレーニングの有効性をテストしている

※ご自分の学習スタイルを理解したい方は上のリンクから!

2. トレーニングの原則

では、開発すべき内容の特定の仕方を考えてみましょう。

1) 社員の「できない」問題を解決する/社員の「やらない」問題を解決しない
2)選抜とトレーニングのトレードオフを区別する(同時にはやらない)
3)「スキル/技術トレーニング」と「教育」の違いを理解しておく
4)「スキル/技術トレーニング」 とは・・・
  成果が目に見える(有形)もの。時間や売上など、
  そのスキルが上がれば数字になって(形になって)返ってくる。
  その検証にはスキル/パフォーマンステストを行う。  
  例:コーディングテスト、タイピングスピード、プレゼンテスト
5)教育(知識習得)とは
  目に見えない(無形)もの。知っている、知らないなど。
  成果は、知識テストで測定する
  例:法律に関するテスト、商品知識に関するテスト
6)ニーズに基づいてトレーニングタイプを選択する(新しいスキル/行動が必要?新しい知識が必要?)

その他にも、Training と Learningの違いを意識しながら全体像を設計しておくことが大事です。Trainingは限定的だがすぐに使える実践型。一方で、Learningはすぐに使えないが汎用的な気づきをもたらす理論型。

例えば、新入社員研修と称してビジネスマナーや名刺交換等を学ぶことは「限定的だがすぐ使える実践型のTraining」です。一方で、タスクマネジメントやレジリエンスなど、非日常的にしか発生しない予期できない状況に対して使える「すぐには使えないが汎用的な気づきをもたらす理論型」は、あとから「あぁ、あの時にXXを学んだな」という気づきがある学びです。

3. 効果的なトレーニングの設計のステップ

上記のような前提条件を抑えながら、具体的なプログラム設計をする際には以下のステップを踏んでいく必要があります。

1)ニーズアセスメントを実施する
2)具体的、行動ベース、観察可能な研修目標を特定する
(良い例)15分で商品名、商品性能、他社との違いについて網羅的に話せている
(悪い例)営業として、必要なことを適切に話せている
3)目的を達成するための内容を設計する
※テーマを深く理解・経験している人と、そのテーマを学ぶためにもっとも有益な概念的モデルに基づいて設計する。コンテンツを本質的に分割し、本質を階層構造(ロジックツリー的に)に整理する、など
4)設計の進捗状況をチェックし、トレーニングプロセスに入れる
5)トレーニングテクニックとコンテンツのマッチングを考える
6)トレーニングの有効性を評価する:実験、満足度、学習度合い、行動変容、職務成績の変化、組織結果の変化などでチェックする

注意が必要な点は1)、2)、6)の部分ではないでしょうか。

1)のニーズアセスメントと呼ばれるものは、トレーニング原則に技術しました“社員の「できない」問題を解決する/社員の「やらない」問題を解決しない”というものに由来しています。社員が“実際にやっていてできないこと”が大事なポイントであり、“将来的にできたらいいな”と思っている問題は敢えて解決しないという事が重要です。

更に、2)の研修目標については、できる限り具体的で、また行動ベースで、観察(≒測定)が可能な目標を設定することが重要です。従って、営業向け研修だとしても、具体的な要素分解(例:ヒアリング、商品紹介、クロージング、など)を行ったうえで、チェックリストを使いながらその変化が観察できるようにして頂くことが重要です。

悪い目標:この研修を通じて、1人前の営業になってもらう
良い目標:この研修を通じて、ヒアリングシートにある項目を
     所定の時間内で違和感なく埋めることができる状態に
     なってもらう

6)について、多くの企業が研修実施後すぐのアンケートで「満足度は難点ですか?どのような気づきがありましたか?」という質問をされていると思います。このアクションは“トレーニングの有用性を検証する”をいう点で非常に重要です。一方で、行動変容を検証しているHRは、残念ながらほぼいないのではないでしょうか。

4. より効果的に学習してもらうためにコンテンツ設計で重視すること

では、プログラム設計において更に重視することについて、いくつかの原則に触れていきたいと思います。上述した原則にリンクする部分もありますが、研修講師を担当される方などは改めて以下の要素が含まれているかを振り返っていただくといいかと思います。

・動機形成(なぜ学ぶのか、を実感してもらう)
・参加型(議論や練習に参加してもらう)
・練習/リハーサル(実際にやってみてもらう)
・強化していく(繰り返す)
・フィードバックの機会(第三者から意見を貰う)
・意味深い気づき(学んだ内容の要素分解によって本質的な点を抑える)
・全体像の理解(フレームワークで理解する)
・現実性/親近感(現実的なケーススタディを用意する)

5. 3か月後に「学びを浸透させるアクション」を行おう

先日お客様と会話している中でも「研修は一度やったって大きく何かが変わるものではない」というお話がありました。確かにその通りです。それほど学びの定着というものは難しいテーマです。一方で、「学びを浸透させるためのアクション」は十分にできているか?という事を振り返っていただくといいかもしれません。研修前後のアンケートを予め作っておいたり、学んだコンテンツを改めてシェアしたり。時間があれば、直接的に全員で集う場を設ければ勿論効果的ですし、オンラインでメールでのリマインドやサーベイだとしても「あ、そういえばやったな」という気づきがあるかもしれません。

従って、3か月後に皆さんで振り返る機会を設けましょう。ぜひ取り組んでみていただけたらと思います。


<参考リンク>
https://www.talentlms.com/elearning/learning-vs-training
https://www.jica.go.jp/project/cambodia/0601331/pdf/english/3_TNA_01.pdf
https://www.shrm.org/resourcesandtools/tools-and-samples/how-to-guides/pages/conduct-training-needs-assessment.aspx

Copyright © 2019 Cristina G Banks and Masamitsu Matsuzawa All Rights Reserved.

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HRをもっと面白く/㈱トライアンフ執行役員/ UC Berkeley Haas School of Business, BHGAP program修了/MIT Sloan "AI in Business"修了//DiSC認定トレーナー