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UC Berkeley Business Schoolからの手紙⑥(どのようにして集めるか)

採用テーマ3回目の今回は、アメリカの母集団形成の方法について触れていきます。母集団形成の手法は、すでにご存じの方も多いかと思いますが、日米間で大きく異っています。特筆すべき点はリファラル採用と呼ばれる社員紹介の仕組みです。アメリカではどんな採用が主流なのか、なぜリファラルが一般的になっているのか。今後日本でも主流になるであろうこの採用手法についても、ご紹介していきます。

1.アメリカの求人メディア

日本に求人メディアや人材紹介というサービスがあるように、アメリカにも求人メディアというものが存在します。アメリカの有名どころはざっとこのような感じです(参考:https://www.thebalancecareers.com/top-best-job-websites-2064080)。

・Indeed
・Glassdoor
・Dice.com
・LinkedIn
・CareerBuilder
・Monster

最近ではGoogleがこの領域に参入開始。ビジネスサイドからするとこのメディア領域はこれまで人力で行っていた領域ですが、本質的には「広告」です。従って、主にMachine Learningなどの技術があれば、早々にそして大きなビジネスインパクトを出す可能性があるのです。採用側、求人側双方により良いサービスとして発展が見込まれている領域でもあります。

2.アメリカで最も主流な採用方法は?

ご存じの方も多いかと思いますが、アメリカで最も主流な採用は「リファラル(社員紹介)」です。日本でもリフカムさんやMy Referさんなど社員紹介に特化したアプリケーションが多く活用されるようになってきましたが、そもそもアメリカのほとんどの採用ルートはリファラル採用になります。アメリカシカゴに本社を置くSilkroad社が発表したレポート(Sources of hire, 2018年)によると入社者の50%強がこのルートからの採用です。

なぜリファラル経由での採用が多いのか。その秘訣は、求人サイト経由で応募することは①応募者の質の高さ(リファラルでの紹介=一次スクリーニング完了)」ということ。②コストメリットが高いという事。この2点に集約されます。

私自身もアメリカで就職活動をしていた際にIndeedやLinkedinを活用し応募していましたが、Indeed等のメディアを経由したルートでは、100社応募し5社返信が来るか否か、というようなものでした。同レポートでも「INTERNAL SOURCES」と呼ばれるリファラル・リクルーターの紹介・自社HPからの応募者が6人に1人面接へ進むのに対し、「EXTERNAL SOURCES」と呼ばれるIndeed・Career builderなどの外部サイトは29人に1人が面接を進んでいるというデータが出ています。

私がキャリアアドバイザーや大学の教授にアドバイスを求めた際も「経験値は十分。だからこそ、ネットワークを作りなさい、そして紹介してもらいなさい」という風にアドバイスを受けました。従って、アメリカで働く人々は総じて転職に対してオープンで、互いに会社を紹介しあいます。日本ではあまり見られない光景かもしれませんが、日本においても今後将来的にそのような形になる可能性も秘めているものだと私は感じています。

3.なぜ、リファラル(社員紹介)なのか

リファラル採用がこれまで主流であるのには以下の理由が考えられると思っています。


① 採用(母集団形成)コストが抑制できるという費用対効果
② 社内で一定のパフォーマンスを上げている社員が紹介する=事前のスクリーニングがなされているというパフォーマンスに対する信頼性
③ 入社後のオンボーディングコスト(カルチャーへのフィット、スモールクエスチョンの解消、ネットワーキングコスト)が抑えられるという費用対効果

従って、優秀な人材であるが潜在層(今すぐに辞めたいとは思っていない)母集団に対して、人間関係という力を使い顕在化させ、企業は採用コストを抑制できるのです。

さらに、オンボーディングも非常に大事なポイントです。誰しもが新しい環境下で本来のパフォーマンスを発揮すること自体簡単ではありません。日本でオンボーディングというものを計画的にまた科学的に立証されたコンテンツを実施している企業は多くはありませんが、流動性が高まる労働市場の環境下では今後の鍵となってくるキーワードだと思います。

4.母集団形成の原理原則

アメリカの母集団形成に対する原理原則は以下の3点に集約されます。

• 高いレベルのKSAsを持つ集団を「ターゲット」として設定する(ターゲットしか集めないということではない)
• 母集団形成に最大限マッチするツールを使い、可能な限り最大の母集団を形成する(PR方法・選考方法)
• 募集と評価の各段階で応募者の質を高めていく

従って、「1人の応募者に会い、1人を採用する」という採用スタンスを否定しているのです。ビジネスサイドの利益を極端に追求しすぎているように見えること、またその採用スタイルでは継続発展が見込みずらいのではないかと思うからです。当然選考という段階では、応募者の数を絞っていくわけですが、1名の応募では効果検証が難しくなってしまいます。

私もこの意見に賛成で、母数の少ないマネジメントレベルを除いて、可能な限り多くの母集団をつくり、よりBetterな応募者を採用する事が、最も妥当で継続発展が見込める採用だと私は信じています。

最後まで読んでいただき有り難うございました!

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