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20210607 常滑

こんにちは。旅行4日目です。今朝は愛知県名古屋市にいます。

昨晩、夕寝をした後にnoteを書いていたということもあり、よし寝るぞとなったのが2時を回っていたのですが、急に腹痛が。台湾ラーメンが辛すぎたようで、ひたすらトイレにこもっていました。結果寝たのは4時。

カーテンの遮光が強いな、という気はしていましたが、7時ごろに起きる予定がなんと起きたのは9時53分。チェックアウト7分前です。やばい。

チェックアウト時刻をすぎると1000円の罰金という文字を前日読んでいましたので、怒涛の勢いで、死にもの狂いで荷物をかばんに詰め、出発。ちょうど10時に部屋を出ることが出来ました。よかった。

今日は月曜日ですが、月曜日というのは美術館が基本的に閉まる日でして、美術館に行くことを趣味としている人間からすると暇を持て余しがちな曜日となります。本当はヤマザキマザック美術館メナード美術館に行きたかったのですが、前者は月曜で休み、後者はそもそも緊急事態宣言で休業。近隣で行ったことがない豊田市美術館岐阜県美術館三重県立美術館多治見市モザイクタイルミュージアムなんかも閉まっています。三重県立美術館は「多感覚鑑賞のすすめ」展をやっていて、彫刻に触れたりするらしいので興味があったんですがね。

ということで、常滑(とこなめ)に行くことにしました。常滑市は、古くから陶器の街として、そして平成以降はセントレアのお膝元として有名な街です。

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人生初の名鉄名古屋駅。日本一忙しい駅として鉄道オタクの中では有名で、大都市名古屋の中心駅なのに線路が上り下り1本ずつしかなく、ひっきりなしに列車がやってきます。どれだけ忙しいかというと、自動放送が間に合わないためにすべて駅員さんの口頭で案内がなされるほど。もう11時なので混雑こそしていませんが、たくさんの列車がやってきます。

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混雑防止で乗車口が行き先別に色分けされています。

常滑駅に行くだけなら特急で30分で着くのですが、途中で乗り換えて、一つ先のりんくう常滑駅へ。

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ここはその名の通り中部国際空港(セントレア)を臨む埋立地になっていて、巨大なイオンモールがあります。

5分ほど歩いて、まるは食堂というお店に向かいます。

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食堂という名前が似合わないほど立派な建物。右にはまねきねことエビフライ。

ここはエビフライが有名で、発祥は南知多という知多半島の一番南端の不便なところ。まあ名古屋駅にもあるのですが、知多半島の名物ということでより近い常滑で食べることに。平日の昼間なのですぐ食べれるだろうと思っていたらめちゃくちゃ混んでる。30分くらい待ちました。

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うめさん定食。2150円。朝ごはんのぶんも込みということで奮発しました。直径3cmほどの巨大なエビフライが2本と、お刺身。エビフライ美味し〜〜。エビが好物なのですが揚げ物がそこまで得意ではなく、普段はあまりエビフライを食べないのですが、さすがにこのレベルだとエビのジューシーさも旨味もはっきり主張してきてうまい。お刺身も肉厚で美味しかったですが、さすがに富山の魚には負けますね。

ごちそうさまでした。目的地まで電車に乗ったほうが楽なのですが、りんくう常滑駅に来る列車は1時間に2本と少なく、タイミングが合わず。常滑の街を30分強歩くことに。

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りんくう常滑の近くはイオンモールと少しのホテル以外はだだっ広い野原です。空が広いね。飛行機は見えませんでした。

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海のロマンス工場。日夜海のロマンスを頑張って生産しています。主な輸出先は山下公園です。

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常滑競艇場。常滑という町はその名前から受験生から嫌われているようですが(?)、ボートレースだと滑るように速いみたいな感じで割といい名前かもしれませんね。スキー場が欲しいところですが、あいにく温暖な気候。ちなみに常滑駅では受験シーズンには名産の招き猫の足の裏を滑り止め剤にして、「常に滑らない」ことを応援しているようです。

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競艇ファン専用。ファンて。しぶしぶ付添で来ることになった人は多分使えません。

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この先海。シンプルながら良い文章だ。

常滑競艇場をすぎると市民会館などが現れ、急に昔ながらの町並みになってきます。

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やはり焼き物の街ということもあり、立派な瓦を備えた建物が多い印象。壁は木造だと大体暗い褐色になっていたのですが、塩害防止の塗料か何かでしょうか。

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大変いい感じの小道がたくさんあり、なかなかに歩いていて楽しい町です。日照りが強くてかなり暑い。

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町おこしの一環として、至るところに陶器製の彫刻や人形が置いてあります。かわいい。

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Y軸上で散歩しなきゃいけないっぽいです。

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X軸上でも問題なさそうです。たばこ屋さんがめちゃくちゃレトロで素敵。

ということで歩くこと30分強、INAXライブミュージアムに到着。

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こちらはINAX、現在はLIXILの企業博物館となっており、常滑の陶器の歴史や世界のタイルなどを展示しているほか、いろいろワークショップもやってたりします。子ども向けだったりするのかなと思ってそこまで期待していなかったのですが、大変良かった。

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まずは「窯のある広場・資料館」。総合受付があり、全体の入口的存在です。古来から焼き物産業が栄え、日本六古窯の一つにも数えられる常滑ですが、近代には土管の製造で栄えたらしく、ここは土管を作っていた窯をその中心に、木組みの外枠で囲んでいる建物です。こちらの建物は2019年にリノベーションされたらしく、窯も外側もとても素敵。

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リノベーション時におこなった保全工事も妙に詳しく記載されていて、この時点でこれは子ども向けの施設ではないな、只者じゃないぞ、と感じました。

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窯の中に入ることもでき、土管が焼成されていた様子を思い起こすことが出来ます。

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なんとこちらかなりハイクオリティなプロジェクションマッピングが投影されていまして、実際に火の吹出口(左右の半分の円柱)から火が出る様子がダイナミックに表現されています。クオリティがめちゃめちゃ高い。

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続いて、「世界のタイル博物館」へ。昔のタイル建築を再現しているパートと、実際に過去に使われていたタイルを展示しているパート、そして昔の便器を展示しているパートに分かれます。

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こちらはシュメールのウルで行われていたクレイペグという壁面装飾を再現したもの。ペグの名の通り、頭を彩色した釘のようなものを一つずつ打ち込むことで作っています。紀元前3500年前からこんなにきれいな幾何学文様を作るなんて、人間ってすごい。

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イスラムのモスク建築の内装を再現したパートも。すごいけど、東京ジャーミイに行った経験があるので、屋根だけだとやや物足りない気がしてしまいました。

個人的には、昔実際に使われていたタイルを展示しているパートの方が好きでした。

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これまたシュメールのウルで使われていたタイル。シュメール文字が書かれている…!

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古代エジプトの叡智が今なお色鮮やかに残る壁面装飾。

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モスクを飾ったトルコ石。

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こうした幾何学的な壁面装飾は偶像崇拝を禁止したイスラム教から発展してきましたので、タイルの装飾も中東・北アフリカからスペイン、そしてイタリア、オランダ、イギリスと広がってきたというのが大変興味深い。

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これは聖書をタイルに描いたもの。これの年代がいつごろだったか忘れましたが、産業革命より前のタイルだと緻密な絵を描く技法も発展していなかったということもあり、絵本みたいなイラストになるのがかわいい。

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この見せ方はセンスあるなあと思いましたね。産業革命以後のタイルは裏側にもブランドを示したり、剥がれないように工夫したりということがあったらしく、しっかりそれを見せてくれる。展示としてのレベルが高い(ただ、ガラスの質が悪く割と反射するところだけ難点)。

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なんかこういう人類史的な展示ってあんまり好きじゃないことが多いのですが、ここはタイルという一つの分野に絞っているからか、かなり楽しめました。よかった。

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そして、便器。日本の便器の展示です。こうした青磁の便器は明治中頃から戦後ぐらいまでに栄えたそうで、非常に凝っていてとてもおもしろい。男性用小便器(別名:朝顔)に本当に朝顔の絵が描いてあったり、大便器と小便器の柄が揃えてあったり。便器だって「器」ですからね、なんで今は全部真っ白なのかなあ。ただ、日本の誇るウォシュレットなどを思うと現代では便器に対する技術の粋は見た目ではなく機能に向けられているということなんですかね、それはそれで大変ありがたいことではありますが。日々お世話になってるし。

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その他は「建築陶器のはじまり館/テラコッタパーク」として、日本の名建築を彩ったテラコッタ製の意匠が展示されていたり、

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昔使っていたトンネル窯が復元されていたり。中にレールが走っていて、たくさんのタイルを台車に乗せてゆっくりと移動させることでじっくり焼成していたらしいです。

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こういう施設は技術や歴史など「過去」の展示にとらわれがちな印象がありますが、そこにとどまらないのが個人的に感心ポイント。

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TOKYO 2020のエンブレムをデザインしたデザイナーである野老朝雄(ところあさお)さんと、建築家・豊田啓介さん率いるnoizとのコラボレーションの展示をやっておりまして、野老さんの幾何学模様を活かしたタイルと、noizの得意とするコンピュテーショナルデザインを組み合わせてインスタレーションを作り上げています。ピラミッド型の白いタイルに幾何学模様が映し出されているのですが、INAXの学芸員がインタビューで「あっ、リアルのタイルが動き出した」と驚いたと述べていて、まさしくその感情。小規模な展示ということもあり、この展示自体がなにか強く響いたというわけではない(あくまで私に)ですが、新しい試みをしているというのは大変心強い。

LIXILというと銀座に40年間ギャラリーを持っていましたが、なんと去年で閉館。一度だけ行ったときなかなかおもしろい展示をやっていたので、結構悲しんでいたのですが、常滑で頑張ってほしいなと思います(?)

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野老朝雄の展示をしているのは「土・どろんこ館」。名前のとおり普通はワークショップなどをしているようです。かわいらしい階段を登って2階に行くと、たくさんの引き出しが。

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なんとこの引き出し一つ一つに展示物が入っており、驚き。

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個人的に一番へ〜〜ってなったのは埴染めという、土で染色する技法。確かに顔料だって石や土から出来てるし、岩絵具だってあるわけで、土から色が出ることはおかしくないのですが、染色となるとなんか急にびっくりする。色合いもパステルでかわいい。

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子どもが大好き、光る泥団子。わたしも小さいころ憧れがありましたが作れた試しがなかったです。

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光る泥だんご大会なんてあるんだ…………。

ということで、引き出しのところはわりとかわいらしい内容ではありましたが、展示方法としては子どもも楽しんで開けられるでしょうし、とても素敵で、珍しい。どこかでポスターがこんなふうに展示されていたのは見たことありますが、引き出しを使ってるのを見たのは初めてな気がします。

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というわけでINAXライブミュージアム、なかなか侮れない素敵な場所でした。満足度が高い。ワークショップも泥団子を作ったり、タイルに絵付けしたり、モザイクアートを作ったりなどいろいろあるので、子ども連れも楽しめそう。よかった。

INAXライブミュージアムを後にし、常滑駅まで歩きます。20分程度なので割と距離はあるものの、やきもの散歩道という順路が整備されていて、楽しみながら歩くことができます。

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小学校にもやっぱり焼き物。

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煙突がたくさん立っています。今では使われていません(たぶん)が、こうして残っているのは風情があって大変良い。

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単純に町並みも昔ながらのものが残っており、だいたいが手作りの焼き物のお店になっていて、招き猫やらお皿やら買うことができます。時間がなくてお店を見ている暇がなかったのが名残惜しい。道も狭くて散歩にぴったりです(ただ起伏は激しい)。

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登窯がありました。国指定の文化財になっています。これは多くの陶器を効率的に焼成するために、傾斜をつけて熱気を対流させるというものです。階段部分にも焼き物が使われているのがかわいい。

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ほんとに、かなりいい感じです。観光客はやっぱりいません(平日の昼間なので仕方ないけど)。

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そしてこちら。「土管坂」と呼ばれる小さな坂です。片方の壁は土管、もう片方は焼酎の甕、地面はケサワと言われる焼成時の廃材で埋め尽くされていて、三方を常滑焼に囲まれる空間。これはさすがに昔からこうだったというわけでもなく、観光開発の一環として作られたもの。とはいえもちろんインスタ映えのために作られたということではなく、1970年代のやきもの散歩道の整備に合わせて作られたのだそう。住民と共同で整備したらしく、たしかに非常に細い道を民家もたくさんあるなかで歩くルートになっていますので、常滑の人々の温かさに感謝です。

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煙突って本当に絵になりますね。銭湯のスリムな煙突も良いですが、製陶所の精悍な煙突もすてき。

大きな道を渡る歩道橋に出ると、常滑のシンボルに出会うことが出来ます。

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こちら、常滑を見守っているとこにゃん。巨大なまねきねこ(頭部のみ)です。わたしは性格が悪いのでこれをコンクリートに埋められて脱出を試みようとしている巨大猫と見ることができます。ちなみにとこにゃんの目の前に小さな猫が2匹いますが、こちらも焼き物。こういうの、ずるいですよねえ。本当の猫に見えるんだもん。一本とられましたわって感じ。

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下の太い道から見てみるとこんな感じ。なかなかのスケール感です。わたしは性格が悪いのでこれをパチンコ屋の看板っぽいなと思ってしまいます。

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上の写真にも等間隔で何かが並んでいますが、歩道橋の下側にもまねきねこがたくさん。わたしは性格が悪いですがこれはかわいいと思います。

ということで常滑を離れます。いや、常滑、本当に良かった。名古屋から30分で来れますし、ライブミュージアムも昔ながらの散歩道もとっても良い。飲食こそ私はしませんでしたがカフェも結構ありました。名古屋って観光地ないよね〜と思った皆さん、ぜひ30分名鉄に乗って常滑へ来てほしい。楽しい街でした。

さて、今日はこれから京都に行きます。本当なら朝早く起きて常滑に来て、名古屋から関西線・草津線というローカル線で京都に向かい、途中で東海道の関宿にでも寄ろうかと思っていました。が、寝坊したことにくわえ、友人が京都にいることが判明したので(普通に東京の友人なのですが)弾丸で夜ご飯だけ一緒に食べることにし、新幹線で向かいます。常滑から名古屋まで30分、名古屋から京都まで30分。感覚がおかしくなります。

スクリーンショット 2021-06-08 0.26.39

https://www.tsu-airportline.co.jp/timefare/guid/

ちなみに理想を言えば常滑からセントレアまで出て、セントレアから津までフェリーに乗って、紀勢本線・草津線で京都に行くルートが一番面白そうだったのですが、コロナのせいでフェリーは運休。このフェリーはいつか使ってみたいですね。

あっという間に京都に到着。友人と会い、ご飯を食べます。

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京料理のお店でハモの玄米揚げをいただきました。とても美味しい。京都駅の伊勢丹の上のレストラン街で食べたのですが、全然人がいなくてこわいくらいでした。京都駅は結構人がいたんですが、やっぱり観光客がほとんどいないってことなのでしょう。せつない。

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伊勢丹の上は大階段になっていて、11階?12階?の高さから京都駅を見下ろせます。すごい。知らなかった。ありがとう友人。

ということで友人は東京に戻るので解散。私はホテルに向かいます。

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ぶれてしまった…

TUNE STAY KYOTOというホテルに今日から11泊の長期滞在をします。京都駅から徒歩7分。ここは以前一度泊まったのですが、本当に良い。良すぎてこわいくらい良い。

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大きな本棚があり(24時間いつでも本を読める)、

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毎晩ショートムービーを上映しています。

スタッフの方も(こんなコミュ障でも楽しく話せるくらい)気さくで、クラフトジンのバーや共用キッチンなどもあります。

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お部屋もとっても清潔。湯船は部屋にはないのですが、共用の湯船があって貸し切りで借りることができます。設備も新しくて、不便なところがどこにもない。なのになぜかめちゃめちゃ安い。大丈夫?

前回1泊しただけでもう恋してしまって今回の京都長期滞在の決定打となったのですが、さらに長期滞在者向けに自転車の貸し出しやら朝食1回無料やらのサービスもあることを来てから初めて知り、ホスピタリティが本当にすごい。嬉しい。

ということで、これからは京都を拠点に関西を色々と回っていこうと思います。やっぱり旅行記を書く時間が大変長くなっていますが、これからもがんばります。地図はめんどくさくなってきたのでやめます。それでは。


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