男性アイドル応援論、元旦PRの先

「明日の“私たち”へ。一歩ずつ。」
2023年1月1日、初めて事務所が社長名と共に発信したメッセージ。
「2023年“私たち”の約束」として「コンプライアンス体制の整備・実践」「タレント・スタッフ・経営の三位一体体制」「社会貢献活動の継続・発展」「個性の尊重・人づくり」など4つの「公約」を掲げている。

接点として選んだのは日経新聞全面広告。同日に公開されたのはデイリー新潮のグループ会社社長独占インタビュー。
ついに男性アイドル業界が、「会社」としての存在意義をPRする時代が来たのだな、としみじみさせられた元旦。

ファンへの自然拡散は想定内の副次効果として、基本的にはビジネス面での危機管理広報として、社会全体に事務所の姿勢・パーパス・従業員満足を発信しているように読める。元旦という誰しもが「新しさの幕開け」を感じさせる日に企業姿勢を発信することで変化への期待感を醸成、次いで一般消費者に伝わる言葉の紡ぎ手として最適なトップリーダー兼アイドルのインタビューを週刊誌のWEB記事として配信することで、広告では網羅できない範囲の情報ニーズにも応えている。
恐らくコアファンである女性消費者が広く購読している種類の新聞には、出せる言葉は一つもなかっただろう。事務所を退所する・したいと意思表明したメンバーが相次いだ2022年、12/31のテレビ生放送を見た翌日のファンにとっては、いくら元旦だろうが、いくら言葉を選ぼうが、発信主体者が「会社」である限り、何を言っても全てが虚構に聞こえるに違いない。

発信のタイミングや媒体選定は最適だし、同企業の「2023年はどげんとせんといかん」感がひしひしと伝わるのも相まって、後はどのように世の中に伝わっていくのかが非常に気になっている。
そして、企業側がただ一方的に発信しただけでは、この企業の右肩下がりは終わらない。2023年の早いうちに、本発信内容の具現化と情報公開の両方が実現しない限りは、危機管理が成功したとは言い難いだろう。

1企業全体の従業員満足を、赤の他人がこんなにも願ってくれる会社なんて、今の日本には男性アイドル業界以外、ないはずだ。従業員の幸せが顧客満足とイコールになる会社なんて、ないはずだ。
アイドルを続ける理由も、アイドルを辞める理由も、結局は一人ひとりの人間の人生の話だ。

男性アイドル業界の行く末を偶然担ってしまったトップリーダーのインタビューの言葉に、こんなコメントがあった。
「自分が1番やってみたいと思う場所で生きるべき」
「二十歳超えたら、自分で何かやりたいって考えるのは当然のこと」
「アイドルがすべてじゃないし、辞めた後も長い人生が続く」

トップリーダー自身がアイドルグループを解散した2021年。あの時を経て彼が話す言葉は、恐らく想像以上に肉薄している。ファンに向けた言葉というより、アイドル自身に向けた言葉のようにも思えた。
辞めた彼らにも、辞めなかった彼らにも、今まさに辞めようとする彼らにも、そして今まで涙を流してきたすべてのファンに、誠実なトップリーダーのこの言葉がどうか届いているように、心から祈る。


ありがとうございます。これから筋トレ頑張れます。