どうでもいいことの詰め合わせ
ロサンゼルス国際空港に着いてから、大型の貸し切りバスに乗って何時間も走った。目に映る景色が何もかも新鮮で、誰ともたいして喋らず、窓の外をずっと眺めていた。前方の大きい窓から見える道路は、先が見えないほどまっすぐ、どこまでも続いていて、すぐ隣の窓に目をやると、そこには乾いてひび割れた地面がどこまでも広がっていた。
いつのまにか自分が眠ってしまっていたことに、その時に気付いた。速度を落とさず走り続けるバスの揺れが、まだ目的地についていないことを知らせた。夢と現実の境目が分からなくなりそう、と思ったのもこの時だった。
ほんとうの意味で自分を殺すのは他の誰でもない自分ということに、気づくのが少し遅れたかもしれない。結局は誰かに殺されてしまうのではなく、やっぱり自分で自分を終わりにする時がくるのだ。あたしを殺すのはあたしなのだ。
雲には触れられないし、乗ることもできないと知った時、なんだか心がすっからかんになった。なーんだ、お前にはガッカリしたよって心の中で呟いた。やっぱり、空に浮かぶ白い雲にはどうしようもなく惹かれる。一度でも雲の上に寝転ぶことができたら、それはきっとどんなマッサージやスパよりも気持ちいいはずだ。もし可能になったら、誰よりも早くあたしを雲の上に連れていってほしい。誰か約束してくれないかな。
いいな、と思う人も、なんだよこいつ、と思う人も、何かしらあたしに与えてくれるので、やっぱりあたしは人との出会いを大切にしたい。それゆえやっぱり、挨拶はいつも元気にしたいし、「ありがとう」と「ごめんなさい」は必要な時に素直に言える人でいたい。それに勝ることはきっと、何もないと思う。仕方ないけど腹立つのは、常識的に考えられない価値観の人と出会って、一緒になにかするときの経験が、自分にとって貴重な経験になること。周りを見て考えて行動する自分と違って、好き勝手やる人との出会いが、あたしに「世の中にはこんな人もいるんだ」と思わせ、あたしの視野を広げてくるの、最高に腹立つ。ずるい。でも今までにそんなことがたくさんあったので、どうやらこれは認めないといけない事実らしい。憎たらしいけど、感謝してしまう。
何もかも終わったと思った大学入学初日、高校までメイクしたことなかった自分が初めて化粧をしたとき、化粧ノリが最悪に悪くて、それこそもうこれからどうなってしまうんだろうか、と絶望の淵にいる気分だった。入りたくもない大学に行くことになり、やり方もわからない化粧を顔面に施し、そしてその出来は最悪。誰かあたしの顔を見て笑ってよ、って思ってた。