【理想から自由になった学び】
今日は私の理想の髪型探しでの珍道中と教育の共通点についてお話しします。
私は長年髪に悩まされてきました。髪が太く、くせ毛で、雨が降ると膨張します。
美容室に行くと、大体の会話のスタートは
「ストレートにしないんですか?」
「前髪だけでもストレートにできますよ?」
「量が多いので、すきましょう」
「黒髮は重たく見えますよね」
というものでした。
私は、美容室にそういう問題を解決してもらいたくて行っているのに、むしろ問題を指摘されて、気分が落ちました。
縮毛矯正をすると、何も言われず、定期的に通うだけになりました。しかし、またもう一つ問題が起きました。縮毛矯正で、地髪が傷んでくるのです。すると、新しい提案が出ました。
「カラーをすると、髪にツヤが出ますよ」
私は、聞きました。
「逆に髪が傷まないですか?」
すると
「傷みますけど、すでに傷んでいるので、何もしないより見た目は傷んでいないように見えます」
美容室にはたくさんのヘアカタログがあります。
どの髪型がいいですか?と聞かれますが、必ず言われるのが
「これにはなりません。撮影用にコテをたくさん使ってるんですよ」
美容室ではカタログから選んでくださいと言われながら、現実はできませんと言われるのです。
私の髪型に対する価値観が変わったのは、ある人との出会いでした。
彼はこう言いました。
「何かで一流になろうと思ったら、まず自分自身について、自分が一番知っている人にならなければならない。たとえ、髪型であっても」
実は、彼の髪型はいいなと思っていたのですが、自分で切っていたそうです。
私はワクワクして、自分で髪を切り始めました。
その時にわかったのが、「自分の顔」でした。
しばらく自分で切っていたのですが、ある日バッサリと切りたくなり、恐る恐るまた美容室に行きました。
そこにはアメリカ人の美容師がいて、髪型を決める時に私に色々と聞いてきました。その時の彼女の言葉がけに、私は驚きました。
彼女は「カタログから見つけた私の理想」と「私の実際」のギャップにはまったく触れませんでした。そうではなくて、「私のイメージ」を一緒に作ろうとしてくれたのです。
イメージなのでやや抽象的な表現がありながらも、私のイメージを言語化するサポートをしてくれました。
そして彼女は、「それならできるわ」と自信を持って言ってくれたのです。
つまり、カタログで用意された「理想の髪型」の中から、私の理想を見つけるのではなく、イメージを対話を通して引き出し、そのイメージに近いものを私の髪(極太&くせ毛)から作り出そうとしていたのです。
そういうことだったのか。
「理想」を用意されたものの中から選ぶ時、イメージとのずれに気がついていながらも、そんなものだという諦めもありました。自分の髪は極太でくせ毛だからできないんだと。
しかし、そのアメリカ人美容師と出会い、それは違うんだと発見しました。私と同じような顔、同じような太さやカールの人がどこにいるのでしょうか?
私のような顔や髪はそもそもカタログにすら載りません(笑)なのに、それを見ているから、解決もできない問題を生み出していたのです。
彼女と出会ってから、「どこの美容室行ってるの?」とか「そのカールはパーマなの?地毛なの?素敵!」と言われ出しました。ようやく髪型が私の顔やイメージに合ったのでしょう。長い時を経て、私の髪は活かされました。
この話は教育とも共通点が多々あります。
本人のありのままの姿やこうなりたいという姿とは関係なく、あるべき姿が用意されていることはないでしょうか?
例えば、生徒としてのあるべき姿について。あるべき姿はヘアカタログのように、色々と補正された人間です。いいねとは思うけど、自分ではないということをうっすらと気がついてしまうでしょう。
あるべき姿は理想。カタログは理想。
「ストレートにしないんですか?」=「あるべき姿に向かいなさい」
「前髪だけでもストレートにできますよ?」=「せめてここだけでも直しなさい」
「量が多いので、すきましょう」=「出る杭、打ちましょう」
「黒髮は重たく見えますよね」=「それじゃダメだ」
言葉でやんわりと話しているようでも、狙っている働きはカタログの理想に向かわせることとあまり変わってません。そこにはありのままを受け入れて、なりたい自分をイメージするというものが欠けています。
本人の声を聞くことが大切なのは、その通り。しかし、その声が出るまでには、見えないハードルがあるのも確かです。
時々、「子供がやりたいことを言わない」と聞くこともあります。その理由には、言わないのではなく「やりたいことを言えない」「見せてもらった中からはやりたいことがない」ということもあるでしょう。
アメリカ人の美容師が私にしてくれたのは、「自分の理想のイメージを表現するお手伝い」でした。
理想は自分の内側から出てきた時、その理想は自由に表現でき、現実にも近づくと思います。
理想カタログのない教育、それがアンスクーリングです。
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このお話しに共感された方にぜひお越しいただきたいワークショップがあります。
教育デザイン・参加型ワークショップ開催 〜対話からデザインするこれからの教育〜(オンライン開催)
このワークショップでは、教育は学ぶものそれぞれがデザインできるという考えのもと、少人数での対話を通して、一人一人が自分の教育を見つけ、それを主体的にデザインすることを目指していきます。
今回のワークショップでは、中高生、大学生、お子様をお持ちの保護者の方、保護者コミュニティの参加者・運営者、子供の教育コミュニティの参加者・運営者などに向けた内容となっています。このワークショップは、参加者がお互いの対話を通して気づきを得る参加型のものです。
[ワークショップ日時]
2020年 5/28(木) 20:00ー21:30(日本時間)
[開催形式]
ZOOMオンライン
[ワークショップ内容]
20:00-20:10 (チェックイン:自己紹介)
20:10-21:10 教育デザイン・ワークショップ
・自分の学びの振り返る
・学びのきっかけを見つける
・学ぶ人の世界をみる
・気づきのシェア
21:10-21:30 自由対話、質疑応答
[募集人数]
4名(先着順)
[料金]
3,000円
[お申込み]
こちらのリンクよりお申し込みください。チケットサイトPeatixに移ります
https://educationdesign.peatix.com/
[ファシリテーター]
Akira Morita デザイン思考実践家
高校から渡米し、海外暮らしの知見を生かしてデザイン思考のプロに。世界を股に掛けた暮らしで、アジア各地でデザイン思考を活用したコミュニティ開発やワークショップを実施。活動は、中高生・大学生向けプログラムのメンターから、地域コミュニティリーダーのコンサルまでと、幅広い。自身の子供の教育は、現在アンスクーリングを選択している。
Poko Oya 教育デザイナー / アンスクーリング実践家
カンボジア首都プノンペン在住。カンボジアで大学講師でありながら、我が子にはアンスクーリング(選択的非学校教育)をしている。2019年は母子で地球一周分の旅をしながら、その場とそこで出会った人々を教材にした”共育”に励む、旅スクーリングも実施。大学の授業にも、アンスクーリングの要素を取り入れ、学ぶ者自身が、自らの学びを主体的に考える環境作りに努めている。
「誰もが自分の経験、知恵、学びをシェアできる世の中に。」というビジョンを持って、学びの場を作りをする資金に使わせていただきます!