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記憶の執着 | 2024/02/19

小さい頃の記憶が、あるとは言えど、人よりも少ないと思う。

おそらく、代わりに覚えてくれている大人たちを何度も何度も喪失しているからだと思う。

だから私は、「小さかった頃の自分」の記憶に執着をしているところがある。

幼い頃にみた景色。
幼い頃に感じたこと。
楽しかったこと。
辛かったこと。
何を想い、何を感じ、何に想いを馳せていたのか。

ざっくりとしたことは覚えているけれど、私が覚えていない色んなことを、誰かが語り継いでくれるわけでもない。

記録もほとんど残っていないので、自分の感覚だけが頼り。

だから、小さかった時の記録が紙1枚でやってきた時は手が震えた。

これ以上自分の身体の中にある感覚を研ぎ澄ませてしまったら、いったい自分がどうなってしまうのだろう。

そう考えている自分と、

何を考えていたのか、何を思っていたのかを触れてみたくて記録に残っていた本を読もうとしている自分とが、行ったり来たりしている。

同世代とともに「あれを読んでいたよね」「あれを観ていたよね」と、共有することができるのならば、少しは小さかった時の記憶を辿ることが出来るのだろうか。

この衝動的で、所々抜けているパズルを埋め合わせる作業を、なんとか自分だけの力でこなしていこうとしている。

もっともっと、いろんな作品を触れて、あの時何を想い、何を感じたのかをしっかり記録していかないと案外忘れていくんだな。

一方でこうして書くことが出来るようになったのは、ひとつの成長なのかもしれない。

小さいけれどずっしり重い事柄を、真正面から向き合うことができる。体力と知力が養われてきたのかもしれない。

記憶に執着するなら、紙の上に文字を残していけばいい。

そこが未来の私にとって、私だけの変わらない居場所となる。そして支えになると信じて。

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