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サシ飲みのすゝめ

 世は忘年会シーズン。気づけば、高校1年生から大学3年生になっていて、気づけば、開催場所はファミレスから居酒屋になり、気づけば、ドリンクバーから飲み放題プランになっていました。
 さて、表題のとおり今回はサシ飲みのお話です。私が委員長を務める関西サシ飲み推進委員会からの案件です。かつて、「飲みに行きたい…」とLINEを送ると「いいねぇ、誰誘う?」と当たり前のように返信してきたあいつに届け!それでは行きましょう。

サシ飲みとは

 「サシ」(ふたりが向かい合った状態)+「飲み」(お酒を飲みながら語り合う)の造語です。そこに私なりの定義を加えると、打ち上げや懇親会ように、労ったり,親睦を深めたりなどといった特定の目的があるわけではなく、「飲む」こと自体が目的化している「飲み会」です。非常に純粋な営みです。ホイジンガの「遊び」論ならぬ、いとうかいの「サシ飲み」論です。その相手は確立された関係性を持っている必要性はありません。
 ただ、二人きりで居酒屋で喋ろうと誘うだけで緊張するという人もいるでしょう。当然です。恋人や親友であれば簡単なはずが…。ただそのハードルさえ越えれば、あとは源泉掛け流し温泉にも書ききれないほどの効能があります。

鳥貴族は学生のサシ飲み場として★3つです。

サシ飲みの効能

 2022年楽しかった飲み会ランキングベスト3は全て「サシ飲み」でした。そう、楽しいのです。温泉に入って「リウマチに効く」なんかより「最高の時間が保障されている」と書いている温泉の方が入りたくなりませんか?「楽しい」これ以上の効能はありません。
 次に、相手への理解が深まります。相手と1-1ということで、複数人で飲んだ際に得られる情報量と密度は雲泥の差です。相手のエピソード、価値観、人生観などを知れます。「サシ飲み」はフェスでは聴けない、初期の曲からアルバムのカップリングまで聴かせてくれるワンマンライブみたいなものです。そういう意味では複数人の飲み会はフェス、対バンといった感じです。
 そして、相手の私への理解が深まります。かなり大きいことです。相手にもよりますが、少なからずシンパシーを感じたりする相手にはこれまで自分が蓋をしていた話をしてしまうものです。
 私の話をすると、今秋の「サシ飲み」終わりには、必ず「今日のことは他言無用で!」とLINEで送信しています。発言内容の過激化・自分の歪んだ価値観の披露も「サシ飲み」なら許されるのです。私の場合、「サシ飲み」ではファンも知らないインディーズの曲、新曲を1時間くらい演奏しています。客によっては返金を求めるレベルです。けど、それくらいがいいのです。そこには、相手がどんな私でも理解してくれていると信じられるものがあるから。これも、「サシ飲み」の効能です。

宅サシ飲みは特に過激な話題を喋りがち

サシ飲み=生物(なまもの)

 その時間を過ごせば、その会合の素晴らしさでどんな辛い出来事も乗り越えられる気がします。しかしながら、環境というのは無常的で、思い通りに行くことばかりではありません。特に相手が異性の場合、恋愛環境に変化が生まれると、従来通りにいかないこともあります。また、同性の場合もいつ気まずい関係になるかわかりません。つまり何が言いたいかというと、「サシ飲み」は生物(なまもの)なのです。勢い任せで誘ってみるのがベストなのです。ふとアイツと喋りたくなったなぁ。と思った瞬間、連絡するのです。
 あと、語り合う内容も、当日のコンディション、ひいては前日の自分の身に起きた悲喜、アルコールの回り具合で大きく変わります。そういう意味でも「サシ飲み」は生物(なまもの)と言えるかも知れません。ただ、安心してください。どんなテーマになっても、あなたは店を出ると、こう呟きます。

 「はあ、いい時間…」

飲み放題サシ飲みもたまにはおすすめです。

サシ飲みの用量・用法

 「サシ飲み」は生物(なまもの)だとお話ししました。つまり、同じ人であっても、日によって気まぐれサラダの味が変わるように、美味しさの中身が変わります。つまり用量は無限です。好きな相手と好きなだけ開催するがよしです。ただ、相手と気持ちが一致していることが条件です。「サシ飲み」に置いて一方が楽しくないなんて許されません。では,そのために何をするのか。以下の用法をお守りください。

【用法】
○食事をまず楽しむ。そしてお酒。
○相手を傷つける発言はしない。
○相手の話を全力で楽しむ。
○自分の話したい話もちょっと用意しておく。
○「この場なら話していいかな…」と思った議題が有れば積極的にぶち込む。
○悩み相談会に変えちゃうのもあり。

 これで完璧です。この用法を守るだけで、この人と話が持つか不安…なんてことがあっても、気づけば2件目のお会計をしています。あなたは、その2人の「サシ飲み」でしか生まれない空間の虜になっています。

楽しいお店を紹介してもらえることも。

サシ飲みのすゝめ

 私の性格的に、一気に複数人の時間を借りて、私のパーソナルすぎる話をするのに負い目を感じたり、30秒以上自分のターンになると「長いよな、ごめん」と添えないと喋り続けることができないのだとわかってきました。そんな私を救うのは「サシ飲み」だったのです。  
 「サシ飲み」で躊躇なく自分の抱える悩み、愚痴、意見を話す。相手も「サシ飲み」に乗ってくれているということは、甘えていいという意味です。
 読んでいる方で、そんな人がいれば、誰でもいいです。「サシ飲みいこうぜ!」と誘ってみましょう。あなたの人生の新しい楽しみがそこに待っています。

 以上、あなたからの「サシ飲みいこうぜ!」をお待ちし続けている筆者でした。

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